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MO'SOME TONEBENDER『Baseball Bat Tenderness』インタビュー(後編)

「バンドは効率を求めると長く続かない」モーサムはこうして危機を乗り越えてきた

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小野島大
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新作『Baseball Bat Tenderness』では、バンド演奏の“破壊力”を実感できる。

 MO'SOME TONEBENDERの百々和宏がニューアルバム『Baseball Bat Tenderness』と自身のバンド観、音楽観を明かすインタビュー。前編:「手抜きなしで、常にエクストリームでありたい」百々和宏がバンドに求める衝動とは?では、バンド独自の音楽世界を清々しいほど追求した新作が完成するまでを語った。後編では、バンドを続ける上での苦労や、危機を乗り越えたエピソード、さらにはバンド運営のコツなどにも話が及んだ。(編集部)

――こう言ったら失礼ですが、モーサムはとりわけ売れてるわけでもなければ、大ヒットレコードもない。大金が儲けられるわけでもない。なのにもう17年近くも、一度もメンバーチェンジせず続いている。その原動力はどこにあると思いますか。

百々:ねえ。そんなにセールスもないのに、よくメジャーでやってるなと思うけど(笑)。まだまだこれからって気分がある…てことだと思う。音楽的にもそうだし、セールス的にも、ライヴの動員も、こんなもんじゃないだろうって気分はなくならない。というよりは、ここでやめたら悔しい、という方が強いかな。

――自分たちのやってきた音楽に見合った評価が得られていないという実感。

百々:うん。もう東京出てきて12年ぐらいたつし、まあ自分たちが売れるかどうかだいたいわかると言えばわかるんだけど(笑)。でもね、嘘はついてないバンドだと思うんですよ。あらゆる部分で。もっと上手に嘘がつければなあ、ってタイミングもいっぱいあったけど…。

――ははあ。たとえば?

百々:あのね、東京に出てくる前までは井の中の蛙だったんですよ。福岡の音楽シーンでやってきて、自分らの音楽はすごい売れるものだと思ってたのね。東京の人間みんなびっくりするばい、と思って。でも東京来てしばらくたつと、どうやら違うな、と。すごく特殊バンドなんだと気づくんですよ。たとえば、もっとガレージ・バンドっぽいスーツを着て、かっこよくギターかき鳴らしてジャンプしなさい、とか。パンクなら半ズボンでタトゥー入れて…俺らどれとも違うじゃん、って。

――確かに型にはまったイメージがない。

百々:それはすごい言われましたね。みんなそんなにジャンルって気にするんだ、って思った。福岡にいたころって、なんじゃこれ!っていうバンドじゃないとダメだったんですよ。異端児ほど喜ばれる。それが東京来たら急に、シーンがあって、君たちどれに入るの?みたいな。すごいありましたねえ。

――その方が聴く側が安心できるから。

百々:そうでしょうね。売る側も売りやすいし。君たちはブランキーとミッシェル、どっち?みたいなね(笑)。今だから笑い話で言えますけど、当時はイヤだったなあ…。取材とかもね、久々に会う人に言われるんですけど、昔はすっごく怖かったんだって。全然喋らないし、つまんなそうにしてるし。確かにほんとにつまんなかったからね(笑)。デビュー当時とかすごいたくさん取材入れられて、イヤでイヤで。毎回同じこと訊かれるし。結成時の話とかバンド名の由来とか。でもそういうころからずっと正直だったから、結果的に大きく道を外れてバンドがポシャってしまうことはなかったのかなと。

――バンドの危機的状況、これ以上持たないなと思った瞬間ってありましたか。

百々:もうやめよう、と思った瞬間はいっぱいありますよ。100回ぐらい(笑)。

――メンバー同士の対立ですか。

百々:まあだいたいそうですね。意見が割れて、お互い曲げないんで、スタッフが困って。大きな衝突があった時は――勇が辞めたいって言い出したとか、いろいろあったけど――じゃあ話そうやって話して、どうやら本気で辞める気はないってわかったりとか。わがまま通したくて言ってるだけだとか(笑)。ちっちゃいトラブルだったらしょっちゅう…ライヴでキメが3回ぐらいずれたら楽屋で椅子投げて帰ったりとかしてましたから。でもまあ、バンドってそういうもんじゃないのって思ってやってましたからね。もめたりいろいろ苦労しながらやっていくもの、っていう。

――勇くんが、いきなり独断で、仕上がってた曲を打ち込みにしちゃったという1件がありましたね(「We are Lucky Friends」アルバム『Super Nice』収録)。

百々:ありましたね!あれはまさにそうですね。元のアレンジにあわせて歌もちゃんと入れて完成させたんだけど、勇はサウンド面でどうしても納得がいかなくて、結局タイコを全部打ち込みに替えちゃって。アルバム全体のサウンドの中でそれだけ毛色が違っちゃったんですよね。ロックなアルバム作ろうって話をしてたのに、いきなり無断で打ち込みだからもめてもめて。次のアルバムに入れればって話もしたんですけど、どうしても勇は譲らず、結局アルバムの最後に入れたんだっけな…。

     
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