「ヒップホップは“バイオレンス”を“競技”に変えた」Zeebraが教える、高校生RAPの見どころ

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『高校生RAP選手権』のコミッショナー、Zeebra氏

 スカパー!オリジナル番組『BAZOOKA!!!』から生まれた『高校生RAP選手権』(以下、『RAP選手権』)。不良、ネットラッパーなど個性ある素人の高校生たちが、それぞれの生い立ちを前面にぶつけ、同じラップを通して友情を育む熱い青春バトルだ。その第4回全国大会が9月21日に赤坂BLITZで開催されるのに先駆け、大会コミッショナーのZeebra氏に話を訊いた。

――フリースタイルバトルといっても、さまざまなスタイルがあります。そんな中で、アバウトにいえば、2000年前後のB-BOY PARKで行われていたフリースタイルバトルは、小節でライムを合わせるKREVAスタイルが多かった。一方で、その後のフリースタイルバトルの権威となったULTIMATE MC BATTLEは、細やかな譜割が多かったように思います。『RAP選手権』は、どのようなスタイルが評価されますか?

Zeebra:ラップの良し悪しは、何かひとつのポイントだけで決められるものではないんですけど、英語圏のバトルの方式は、ケツ(小節の終わり)で韻を踏みながら、内容で勝負する。言われたことに対して、「アンサー」を返して、なおかつ最後に「ライム」を入れる。それが基本で、そこに「フロゥ」を入れてきたりする。スタイルの話ですが、実はラップしているヤツらからすると、詰めるほうが簡単なんですよ。というのは、言葉数を合わせなくていいから。詰めないでラップをすると、16ビートなんで、だいたい16文字くらいですよね。息継ぎが入れば、14文字前後かな。そこに文字を当てはめるというのは、俳句みたいなテクニックが必要になるんですよ。

――簡単に見えるけど、実は難しいと言われたダウンタウンの漫才のような深みですね。遊びでラップをしている側からすると、詰めないでラップしたほうが考える時間があって楽だから使いますが、突き詰めていくと、そのようなテクニックがあるんですね。

Zeebra:その中で、カッコいいフロゥを作るのが難しい。ラップの聞こえは、早口で詰めているほうがいいのかもしれない。ラップは、早口っていうイメージがあるから。俺も、誰かとフリースタイルバトルやる時に、向こうが早口で来たら早口で返す。もちろん、早口もフロゥとしてすごくしっかりしていて、2小節の中に3~4個のライムを入れてきてたりするのは別です。ただ、バーって早口でラップして、ケツだけ合わせるのは、比較的簡単ですね。評価の焦点は基本的には内容。こういうこと言って、それに対してこう韻を踏んで、(ストーリーを作って)落としているかどうか。そこに「フロゥ」や立ち振る舞い、キャラクターが加味されます。

――それが、まさに番組内でダースレイダーさんが解説されていた評価基準、「ライム」「フロゥ」「アンサー」「パンチライン」「アーティチュード」ですね。『RAP選手権』では、その総合力で勝負が決まる、と。

Zeebra:そうですね。やっぱりバトルなんで、言われたことに返す「アンサー」。相手をけなすというのは、その特定の相手だけにしか言えないこともあると思うんですけど、それだけじゃないですよね。「お前のラップはダサい」とか、誰にでも言える。それは考えてこれちゃう。つまり、仕込めちゃう。もちろん、多少は自分の得意なラインが入るのはいいけど、アンサーをすることによって、その場での即興性がものすごく重要になるんですよ。パンチラインは、いいジャブを打つのは大切なんですけど、いざという時にバシっとしたストレートをかませないと(筆者注:トラックが『証言』なら「証言で証明するこの上下」など)。アーティチュードは期待度、アーティストとしての期待値。「コイツ、これからやってくれるんじゃないかな」っていうのも踏まえて見ます。

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