ゼンハイザー『MOMENTUM 5』発表 音質だけじゃない時代に挑む、新世代ワイヤレスヘッドホンの完成形

ゼンハイザー『MOMENTUM 5』発表 

 ドイツの音響メーカー・Sennheiser(ゼンハイザー)が新型ワイヤレスヘッドホン『MOMENTUM 5』を発表した。約4年前に登場した『MOMENTUM 4』の後継機となる本機はブランドの核である「妥協のない音質」を継承しながら、ノイズキャンセリング、空間オーディオ、ハイレゾワイヤレス、通話性能、さらにはバッテリー交換対応までを盛り込んだ「全部入り」とも言えるフラッグシップモデルだ。発表に先立って開催されたメディア向け内覧会では、オンラインセールスマネージャーの伊藤涼太氏が登壇。「ゼンハイザー史上最強クラスのノイズキャンセリング」と表現しながら、新世代モデルとしての進化点を説明した。

音質にこだわるゼンハイザーが作るワイヤレスの現在地

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 ゼンハイザーはマイクをはじめとする録音機器からヘッドホン・イヤホンといった再生機器まで、「音の入口と出口」の両方を手掛けてきたメーカーだ。約80年にわたる音響技術の蓄積を背景に、同社は一貫して「ナチュラルな音」を追求してきた。

 今回の『MOMENTUM 5』にもその思想は色濃く反映されている。搭載されるのは、42mmの自社開発トランスデューサー。インハウス設計を継続し、同社の定番開放型ヘッドホン「 HD 600」シリーズにも通じるニュートラルなサウンドチューニングを採用したという。特に興味深かったのは周波数特性の説明だ。『MOMENTUM 5』は、「500Hz付近を滑らかに整えることでボーカルや楽器の自然さを高めつつ、3〜4kHz帯域を持ち上げることで中域の明瞭感を調整した」(伊藤涼太氏)という。

 それは派手さではなく、「長時間聴いても疲れにくい自然な音」を狙った方向性が見えてくる。さらに再生帯域は6Hz〜49kHzへと拡張。『MOMENTUM 4』から高域方向を大幅に伸ばし、ハイレゾ再生への対応力を強化しているのが特徴だ。

Dolby Atmosと「自分専用の音」

 また、近年のヘッドホン市場では音が良いだけでは差別化が難しくなっている。その中で『MOMENTUM 5』は、空間オーディオやパーソナライズ機能にも本格対応。対応するのは Dolby LaboratoriesのDolby Atmosで、専用アプリ「Smart Control Plus」と接続することで立体音響コンテンツを体験できる。さらに「Sound Personalization」機能では、ユーザーごとの好みに合わせてサウンドを自動調整。単純なEQではなく、その人にとって心地よい音へ近づけていくアプローチだ。ワイヤレス伝送では、aptX Adaptiveに加えてaptX Losslessにも対応。Bluetooth接続でもよりロスの少ない高音質再生を目指している。

これまでより格段に、ANCを本気で強化

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 今回、発表会で特に強調されていたのがノイズキャンセリング性能だった。従来の「MOMENTUM」シリーズは、音質面で高評価を受ける一方、ANC性能については競合モデルと比較されることも少なくなかった。そこで『MOMENTUM 5』では、マイク構成や処理性能を強化し、『MOMENTUM 4』比で約3倍の性能向上を実現。伊藤涼太氏は「業界No.1と断言はしない」としながらも、トップクラスへの自信を覗かせた。Hybrid ANCにより、周囲の環境に応じて自動でノイズキャンセリング強度を調整。アプリから手動調整も可能となる。また、外音取り込みも継続搭載し、自然な聞こえ方を重視したという。加えて、風切り音低減機能も強化。屋外利用も強く意識したアップデートとなっている。

長く使えるヘッドホンへの転換

 もうひとつ印象的だったのが、バッテリー交換対応だ。内覧会でメディアから思わずどよめきと拍手が起きたのがバッテリーの交換だ。ワイヤレスヘッドホンは便利な反面、バッテリー劣化によって寿命が決まりやすい製品でもある。『MOMENTUM 5』では、その課題に対し「交換可能」というアプローチを採用した。伊藤涼太氏は「一般ユーザーでも対応できるレベル」とし、本体ごと買い替えるのではなくバッテリー交換によって長く使い続けられる設計を目指したという。これは単なる利便性だけでなく、良いヘッドフォン、お気に入りのヘッドフォンを長く使い続けたいというユーザーにとっては嬉しい対応だ。

ゼンハイザーが「総合力」で挑む新フラッグシップ

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 連続再生時間は57時間(ANCオン時)。前モデルの60時間からはわずかに減少したが、実用上は依然としてトップクラスだ。さらにケースは約20%コンパクト化され、携帯性も向上している。かつて高級ヘッドホン市場はどれだけ良い音を出せるかが差別化の中心的なポイントだった。しかし現在は、ANC、通話、空間オーディオ、AI処理、長寿命化、アプリ体験など、総合的なUX競争へと変化している。そうした中で『MOMENTUM 5』は単なる音質特化モデルではなく、ゼンハイザーが培ってきた音響技術を軸にしながら、ノイズキャンセリング、ハイレゾワイヤレス、空間オーディオ、通話品質、サステナビリティまで含めた“総合力”で勝負する新世代フラッグシップとして登場した。

 特にANC性能を大幅強化した点は象徴的。音質ブランドとしての矜持を守りながら、現代のワイヤレスヘッドホン市場で求められる機能競争にも本格的に踏み込んだモデルと言えるだろう。予約開始は6月12日、発売は6月22日。オープン価格で市場想定価格は6万9960円。カラーはブラックとホワイトで展開する。

■製品情報
MOMENTUM 5 Wireless
メーカー:ゼンハイザー(Sonova Consumer Hearing Japan)
予約開始日:6月12日
発売日:6月22日
価格:オープンプライス(店頭想定価格 69,960円/税込)
カラー:ブラック、ホワイト
型番:M5AEBT BLACK/M5AEBT WHITE

主な仕様:
・型式:ダイナミック・密閉型
・ドライバー:自社開発42mmダイナミックドライバー(HD 600シリーズベース)
・周波数特性:6〜40,000Hz(USB&Bluetooth)、6〜22,000Hz(Analog Line-In)
・感度:108dB SPL(1kHz/0dB FS)
・無線規格:Bluetooth 5.4+Class 1(最大10mW)
・対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、aptX Lossless、aptX Adaptive、Snapdragon Sound
・動作時間:最大57時間(iPhoneボリュームmid、ANCオン時)
・充電時間:約2時間(フルチャージ)/10分充電で最大7時間動作
・本体重量:約290g
・付属品:キャリーケース、USB-Cチャージングケーブル、オーディオケーブル
・対応アプリ:Smart Control Plus
・保証期間:1年

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