『プラグマタ』はカプコンの新たな発明? 『NieR:Automata』『モンハン』との比較で見る戦闘システムの妙

『プラグマタ』戦闘システムの妙を考える

 カプコンの新作ゲーム『プラグマタ』が、発売16日間で販売本数200万本を突破したことが明らかになった。完全新規IPの作品としては、稀に見るほどの大ヒットだ。

 同作の特徴は、アクションとパズルゲームを融合させた独特のバトルシステムにある。なぜこのシステムが今多くのゲーマーたちの心を掴んでいるのか、類似作品と比較しつつ考えてみたい。

アクションとパズルを“リアルタイム”で融合させたバトルシステム

PRAGMATA - Main Trailer

 『プラグマタ』は月面施設の調査に派遣されたシステム監査員のヒュー・ウィリアムズが、アンドロイドの少女・ディアナと出会い、地球への帰還を目指して冒険を繰り広げていくSFアクションアドベンチャー。

 そこでプレイヤーはヒューを操って敵を撃つ一方、敵の装甲を解除するためにディアナのハッキング能力を使っていくことになる。いわば“バディもの”のような設定を、二人三脚のバトルシステムへと落とし込んでいると言えるだろう。

 このハッキングこそが、同作のパズル要素だ。マス目状のパネルを操作し、一筆書きの要領でスタートからゴールまでつなげるのが基本的な目標。成功すると敵の装甲が剥がれて弱点の部分が露出するため、そこを銃で撃つことで大きなダメージを与えられる。

 とくに注目すべきは、ハッキングを発動しても時間が停止せず、リアルタイムで戦闘が進んでいくこと。戦闘中にパズルも同時にこなすとなると、一見複雑なマルチタスクに見えるが、操作が難しくなりすぎない絶妙な設計となっている。また発売前には「テンポが悪くなるのではないか」とも懸念されていたが、いざ蓋を開けてみれば爽快感があるシステムとして高く評価されている様子だ。

 実際にユーザーからの評価を見てみると、Steamでは806件の日本語レビューで「非常に好評」を記録。すべての言語でのレビューでは、約2万5,000件のレビューで「圧倒的に好評」を記録している。

『NieR:Automata』『モンハン』『GUILTY GEAR』と比較してわかる設計の妙

 なお、アクションとミニゲーム的な要素を組み合わせたゲームとしては、前例として『NieR:Automata』が挙げられるだろう。同作も9Sというキャラクターを操作した際、ハッキングを組み込んだ戦闘が行われる仕組みとなっていた。

 とはいえ同作の場合はアクションパートから完全に画面が切り替わり、ハッキングパートに移行するというシステム。リアルタイムで戦闘が進行する『プラグマタ』とは違って、ターン制とでも言うべき作り方だった。

 とはいえ『プラグマタ』も、一見アクションとパズルがシームレスにつながっているように見えるものの、そこにはちょっとした工夫を読み取ることができる。敵NPCの行動パターンのなかに、“ハッキングをするための隙”が巧妙に用意されているのだ。

 といっても、もちろん相手がプレイヤーの行動をわざわざ待ってくれているかのような不自然さはない。このあたりはカプコンが『モンスターハンター』シリーズなどで培ってきたノウハウが活かされているのかもしれない。同作もモンスターの攻撃の後隙などを狙ってプレイヤーが攻撃をするという意味では、巧妙に作られたターン制バトルとも解釈できるからだ。

 バトルとその他の要素を完全に同時進行にすれば、操作の難易度が格段に上がってしまうというリスクがある。たとえば格闘ゲーム『GUILTY GEAR -STRIVE-』に、飛鳥=R♯というキャラクターがいる。このキャラクターは「格闘ゲームをしながらカードゲームをする」といった操作が求められるのが特徴で、斬新ではあるものの操作難易度は“歴代の格ゲーで随一”とまで言われている。

 そう考えると『プラグマタ』は、マルチタスク要素を万人がプレイできる難易度に落とし込んだ、稀有な成功例と言えるかもしれない。

開発陣が語る「パズルが義務にならない」ためのこだわり

『PRAGMATA(プラグマタ)』スクリーンショット

 なお『プラグマタ』の制作に携わったカプコンの趙容煕ディレクターと大山直人プロデューサーは、同作の戦闘システムを洗練させるため、「パズルが義務にならないようなバランス、遊んでいて気持ちのいいエフェクトやサウンド、パズルのマスの変化」などの要素を考え抜き、テストプレイとフィードバックを重ねたことを明かしていた。完全新規IPを多くの人に受け入れてもらうために、おそらくは途方もない工夫が凝らされているのだろう。(※)

 『ロックマン』に『バイオハザード』、『モンスターハンター』、『デビルメイクライ』など、独創的なアクションゲームを多数生み出してきたカプコン。『プラグマタ』はその歴史に輝かしい一歩を刻むことになりそうだ。

参照

※ https://blog.ja.playstation.com/2026/03/19/20260319-pragmata-interview-feature-s/

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