Suno、AI生成楽曲に自身の歌声を録音→反映させる「Voices」追加 人間との共創がより鮮明に?

AI音楽生成プラットフォーム・Sunoは3月27日、最新モデル「v5.5」をリリースした。
公式ブログではこの発表と同時に「最高の音楽は人間から始まる(the best music starts with a human)」という言葉とともに、AIが自律的に音楽を生成するのではなく、ユーザーの感性や個性をAIが増幅するためのツールとしてSunoを位置づける姿勢があらためて示されている。同社が「これまでで最も表現力豊かなモデル」と説明するv5.5は、初めて音楽を作る人から現役のプロミュージシャンまでを念頭に開発されたという。
背景には、2025年11月に締結したWarner Music Group(WMG)との包括的パートナーシップがある。WMGのライセンス楽曲を活用した次世代モデルの共同開発や、所属アーティストがオプトイン方式で自らの声や楽曲の使われ方を決められる枠組みの整備で合意し、AI音楽プラットフォームとメジャーレーベルの関係は対立から協調路線へと転換しつつある。Sunoはその流れのなかで2月にもプロ向け音楽制作ツール「Studio」をバージョン1.2に更新し、エフェクト除去やタイミング補正、拍子記号設定といったDAW的な編集機能を拡充していた。
AI生成楽曲に自分の歌声を反映させる「Voices」が登場
v5.5の目玉機能のひとつが「Voices」だ。Sunoの公式ブログによると、コミュニティから最も多くリクエストされてきた機能で、ProおよびPremierプランで提供される。この機能では、自分の声を録音してVoiceを登録すれば、AI生成楽曲にその歌声を反映させることが可能だ。また、なりすまし対策として、登録時に指定されたランダムなフレーズを読み上げることでアップロードした歌声と照合する音声認証が採用されている。
「音楽的な趣味・嗜好」のパーソナライズを担う「Custom Models」と「My Taste」
v5.5ではさらに、ユーザー独自のAIモデルを構築できる「Custom Models」も追加された。ProおよびPremierプランのユーザーは最大3つのカスタムモデルを作成・保存でき、自分が好む音楽スタイルに特化したモデルとして育てていくことができる。一方、全プランのユーザーが利用できる「My Taste」は、自分のSunoでの制作履歴をもとにAIが好みの傾向を学習し、生成楽曲に反映する機能だ。VoicesがAI楽曲の「声」の個性を担うとすれば、Custom ModelsとMy Tasteは「音楽的な趣味・嗜好」のパーソナライズを担う機能と言える。
WMGとの包括的パートナーシップ締結から数カ月が経つ今も、ライセンス取得済みの次世代モデルはまだ姿を見せていない。ただ、Sunoの公式ブログでCEOのマイキー・シュルマン氏は「今日整備している機能(声の再現性、パーソナライズされたサウンド、カスタムモデル)は、年内に音楽業界と共同でリリースする次世代音楽モデルの基盤となる」と述べている。
つまり、v5.5で導入された新機能は、ユーザー向けの機能拡充であると同時に、音楽業界との共同モデルに向けた技術的な布石でもある。Studio 1.2でプロの制作フローに寄り添う機能を整え、v5.5ではAIの特性を活かしたパーソナライズに重点を置いたのも、その流れのなかでのことと言える。完全自動化で人間の音楽家を代替するのではなく、人間の創造性をAIで補完するという方向性が、ここにきてよりはっきり示されたかたちだ。WMGと共同開発する次世代モデルが登場する頃には、その全容がより具体的な形でユーザーの前に示されることになるだろう。今後のSunoの動向が気になるところだ。
参考:
https://suno.com/blog/v5-5
https://suno.com/blog/studio1_2
https://suno.com/blog/wmg-partnership

























