世界一の携帯電話評論家・山根康宏のスマホ進化論(第8回)
スマホとロボットが合体!? 謎の『Robot Phone』はAI時代の相棒ロボット

世の中には様々なスマートフォンが存在しているが、HONOR(オナー)の『Robot Phone(ロボットフォン)』ほど摩訶不思議な機構を持った製品はなかなか、ないだろう。名前からしても不思議なこのスマートフォン、現在まだ開発中だが、発売されれば日常生活を楽しいものにしてくれることは間違いない。

スマホの裏からアーム付きカメラが飛び出てくる
『Robot Phone』という名前を聞くと、まるでロボットのような外観をしているスマートフォンをイメージするかもしれない。そういえば海外では車から変身するロボット、トランスフォーマーとコラボしたスマートフォンが販売されたことがある。とはいえそれは普通のスマートフォンにトランスファーのカラーリングをした製品で、ロボットのように動くわけではなかった。
ところがHONORの『Robot Phone』は、言われてみるとたしかにロボットかも、と言える機構を搭載しているのだ。普段は普通のスマートフォンのデザインだが、背面のカメラ部分に秘密がある。『Robot Phone』はアームに取り付けられた小型のカメラが収納されており、それがワンタッチで前面側に起き上がって動くのだ。

文章で説明されてもわからないだろうが、写真で見れば一目瞭然かもしれない。『Robot Phone』の背面を見ると、左上側に何かが詰め込まれている。これが自在に動くカメラモジュールだ。

このカメラ部分、まずはアームが立ち上がり、その先につけられているカメラ本体も一緒に動き出す。そしてアームが前面側に回転しつつ、カメラも起き上がって、飛び出すカメラになるのだ。

カメラが回転するスマートフォンは、過去にASUSの『Zenfone 7』などいくつかのモデルがあった。しかしそれらはスマートフォンの上部に埋め込まれたカメラが回転する機構だった。『Robot Phone』は旅行用などに人気のアクションカメラのように、アームのついたカメラがスマートフォンに内蔵されており、それが自在に動くのだ。

このカメラの使い方は、まずは普通の写真や動画の撮影カメラとして使うことができる。アームが付いているのはアクションカメラ同様に強力な手振れ補正機構、ジンバルが内蔵されているためで、『Robot Phone』を持ったまま動き回っても手ブレのない写真の撮影ができる。

ジンバル機能内蔵のスマートフォンは、これもASUSが2025年に販売した『Zenfone 12 Ultra』など過去に何機種か販売されてきた。しかし『Robot Phone』はアームの先にカメラをつけたことで、手振れ補正機能はより強力になっている。またスマートフォンを横向きにしても正面の被写体が撮影できるなど、自在なアングルで使うことが可能だ。

AI時代のスマートフォン
このようにカメラが自在に動くことから『Robot Phone』という製品名がつけられたのだと思うだろう。ところが『Robot Phone』の真の機能は撮影機能ではないのだ。最近のスマートフォンはAI機能を使って様々なことができるようになっている。「今晩は疲れたので、元気のある音楽を流して」とスマートフォンに語り掛け、合成音声で「わかりました、たのしい音楽をかけますね」と回答されても、ちょっと味気なく感じるのではないだろうか?
『Robot Phone』なら、同じように回答しながら、カメラ部分がまるで頭のように動き、また画面にも簡単な顔の表情を表示してくれる。これはまるで自分専用の小型のアシスタントロボットと会話しているような気分になる。

『Robot Phone』はまだ開発中の製品であり、現時点では簡単な受け答えしかできない。これは最近のスマートフォンでよく使われる、こちらの質問に対して回答する「アシスタントAI」だ。たとえば『Robot Phone』の前に立って、2つの洋服を見せながら「今日はいい天気だけれど、どっちの洋服がいい?」と語り掛ければ、アシスタントAIが「右がいいよ」と言いながらカメラを右に向けてうなずく、なんて動きもしてくれるのだ。スマートフォン・ロボットなのに、その動きは愛嬌があり、日々『Robot Phone』を使いたくなっていくだろう。

しかもスマートフォンのAI機能はさらなる進化が進められており、話しかけるだけでネット検索から予約までを任せたり、複数のアプリをまたいだ手続きや買い物を自動で完了させたりという、より高度な作業が行える「エージェンティックAI」が登場しつつある。おそらく『Robot Phone』が製品化されるころにはエージェンティックAIが搭載されるはずだ。そうなれば「この注文ですが、次に進んでいいですか?」と『Robot Phone』が語りながら、カメラヘッドがこちらを向く、なんて動きもしてくれるだろう。

どんなに優れたAI機能がスマートフォンに搭載されるようになったとしても、自分の相手をしてくれるのは音声と画面内の顔や人物だけだ。しかし『Robot Phone』なら見た目は武骨なカメラに過ぎないのに、その動きによって、まるで人が相手をしてくれるような温かみが感じられるのだ。

AI時代に求められるのは、自分を完璧に支えてくれるアシスタントAIやエージェントサービスだけではない。こちらの気持ちに寄り添い、親身に向き合ってくれる「人間味のあるハードウェア」もまた重要になってくる。『Robot Phone』は、まさにそうした新しいニーズを先取りした、AI時代のためのスマートフォンなのである。























