狩野英孝のゲーム実況はなぜ人気? 「天然」「持ってる」では片付けられない面白さの理由
狩野英孝が自身のYouTubeチャンネル「EIKO!GO!!」で展開していた『バイオハザード レクイエム』のプレイ配信が3月28日、パート10でエンディングを迎えた。終盤には同時接続者数が10万人に迫る盛り上がりで、多くの視聴者が狩野のプレイを見守り、クリアを祝い、そして配信の完結を惜しんだ。
現在、ゲームのプレイ配信をする芸能人は少なくないが、リアルタイムで10万人規模の視聴者を集めるポテンシャルのあるチャンネルはほとんどない。狩野のゲーム配信はなぜ、これほどの人気を獲得しているのか。
「EIKO!GO!!」の開設は、芸能人のYouTube参戦が加速していた2019年の12月。当初は、「神主」という異色のキャリアを活かした初詣マナー解説に始まり、大好きな『ちびまる子ちゃん』についてのトーク、大喜利チャレンジやネタ的な恋愛指南など、多岐にわたる内容の動画を届けていた。そんななか、翌2020年4月に配信した『Dead by Daylight』(デッド バイ デイライト)のプレイ配信が大きく盛り上がり、以降、“ゲーム実況者・狩野英孝”の快進撃が始まった。
今回の『バイオハザード レクイエム』も含め、特にホラー要素のあるアクション作品との相性がよく、「持ってる」としか思えないハプニングの連続、視聴者を困惑と爆笑の渦に巻き込む“迷言”の数々、程よくヤキモキさせるプレイスキルが魅力的で、名場面をまとめた動画も多くの再生数を獲得している。その姿は、テレビ番組でハイライトを作る“芸人・狩野英孝”とピッタリ重なっており、つまりゲーム実況においても「スイッチがオン」であることが、この人気につながっていると考えられる。実は、これが普通のことではない。
狩野と同等の知名度を持ち、地上波で爆笑をとっている芸人も多くゲームのプレイ配信を行なっているが、視聴者が数百人程度にとどまっているケースが少なくない。多くの場合は「スイッチをオフ」にしているプライベートなテンション感で、ファンとの交流を楽しんだり、趣味の時間を共有しているという印象だ。スタンスの違いであり、それが悪いというわけではまったくないが、固定のファン以外に広がりが生まれづらいのは事実だろう。そもそもゲームとガチンコで向き合うリソースがなかったり、エンタメとしてのゲーム実況に本気で取り組むことに対する「照れ」があったり、さまざまな事情で狩野のようなスタイルをとることができる人気芸人は多くないはずだ。
その点、狩野は芸人としてのスイッチをオフにせずゲームと向き合っており、単に「天然=笑いの神に愛されている」というより、視聴者を楽しませようという強い意識と、それゆえに時に空回りもする奮闘劇が名場面を生み出し続けているように見える。考えてみれば、ゲーム実況というカルチャーのパイオニアの一人である『ゲームセンターCX』(2003年~)の有野課長(よゐこ・有野晋哉)も、自然体ながら「テレビ番組」というパッケージのなかで程よい緊張感とともに芸人魂を発揮し、ファンを魅了してきた。狩野英孝は、それをよりプライベートな環境に近いライブ配信で実現しているともいえるだろう。
芸能人全般に話を広げると、2018年、リアルタイムで16万人もの視聴者を集めた本田翼というユニコーンが存在し、直近でも人気ストリーマーが主催する競技性の高い大型ゲームイベントに出場するなど話題は尽きないものの、YouTubeチャンネル「ほんだのばいく」の更新は長らく停止中。その他、2025年8月にプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon(CR)」に加入したHey! Say! JUMP・山田涼介、「モンスターハンター」シリーズの愛好者として知られる後藤真希や、ゲーム“実況”の需要が大きい人気声優の花江夏樹など、多くのビッグネームのなかでも狩野の存在感は抜群で、「芸能界でゲーム実況といえば狩野英孝」という立場が確立されつつある。
いずれにしても、“奇跡待ち”ではなく、スイッチを入れて自らそれを掴みに行く狩野英孝のゲーム実況配信には、「神回」を量産する再現性がある。しばらくは「EIKO!GO!!」の天下が続きそうだ。























