なぜ実写を活用するVTuberがいるのか バーチャルな人たちのさまざまな“在り方”を知る
はんなま系XTuber「ナギナミちゃんねる」の衝撃
ここからは、バーチャルの姿とリアルの姿両方で活動するVTuberたちの中から、主に全身を出したことのある面々を一部ご紹介したい。
海月ナギと飛鮫ナミのふたりが活動していた「ナギナミちゃんねる」は2019年7月の活動当初から「はんなま」を売りにしてきたVTuberだ。バーチャルな自分たちがリアルの世界とクロスすることから「XTuber」を初期の段階から名乗っていた。
そもそも2019年当時は、実写の世界を撮影するVTuber自体があまり多くなかった時期だ。そんな中「アバターの姿で実写世界に飛び出す」映像は、多くの人を驚かせた。
基本的にはアバターでの動画が中心だが、このふたりはアクターの実写の手や身体を撮影する動画も頻繁に出しているのが特徴。実写とバーチャルの垣根を行ったり来たりする様子は当時としては斬新だった。
2022年3月31日にナギナミちゃんねるは休止を宣言したが、その後もゆるやかなペースで活動は行われている。 2025年12月の配信でも、バーチャルアバターの姿と実写の姿両方が同時に映され、はんなま系XTuberとして活動する姿を見ることができる。
VTuberは自由だ! おめがシスターズの変遷
おめがシスターズ(以下、おめシス)は現在、バーチャルアバターだけでなく、「顔だけアバター」「身体は実写」という特殊なスタイルで活動をしている、かなり珍しいタイプのVTuberだ。今となってはこのスタイルを見慣れた人も多く、逆にバーチャルの姿のおめシスのほうがレアなくらいだ。
もっとも、おめシスのふたりもいきなりこのスタイルで活動をしたわけではない。ここに至るまで「リアル」と「バーチャル」の垣根を越える挑戦を彼女たちは幾度も繰り返してきた。
2018年初頭というかなり早い段階から「バーチャルの姿でリアルに飛び出す」動画を撮っているおめシス。当時としては非常に珍しいスタイルの動画で、その技術力の高さも相まって、リアルに飛び出すVTuberの先駆けとして多くの人を驚かせた。
2022年には実写+バーチャル顔のVTuberとして活動を本格化。最初はおめがリオも、実写で登場したおめがレイに対して「なにやってんの!? ちょっとやめて! 出てこないで」と制止していたほど。以降は赤と青のパーカーを着た実写おめがシスターズが、顔だけバーチャルな姿で登場するのがデフォルトになってくる。
おめがシスターズの場合は、自身の見せ方を技術実験的に捉えている部分もあるようだ。2023年には、アバターの姿でリアルに登場し物体に干渉する様子を撮影、XR技術のテストとして動画でアップしている。
また、2023年11月にはかぶりものを作ることで完全実写化。2024年3月2日にはサンリオピューロランドで1stリアルライブ『モンスターカミング』をこの姿で行っている(※2)。
バーチャルとリアルの両方を使い分けているおめシス。既成概念にとらわれず新しいことに挑む姿勢を持っているふたりにとって、リアルへ飛び出すことは表現の幅を広げる意味では必然の挑戦だったのだろう。ふたりなら、今後さらに新しい撮影スタイルを見せてもおかしくはない。
暗黙の了解を“あえて”突き破っていくあおぎり高校
「中の人」「転生」などのような、VTuberの間で暗黙の了解的に避けられている言葉でも、バンバン使ってタブーを破り続けているのが、VTuberグループ・あおぎり高校の面々だ。彼女たちも基本的にはアバターを利用した配信を行っているのだが、メンバーの中には手や身体を出すことに躊躇のないタレントもいる。
たとえば上記の動画はあおぎり高校の公式チャンネルの企画だが、素手の写真を参加者に撮ってもらい、誰の手か当てるというゲームを行っている。見ている側のほうが「身バレするのではないか」と心配してしまうくらいのあけっぴろげっぷりだ。
ロケ動画では全身を映すことも多く、ときにはかろうじて顔だけアバターの写真で隠したり、ぬいぐるみだけ持っていることなどもある。必ずしも全員が全身を映すわけではなく、メンバーによっては足は撮影NGなどのように、個々で線引をしているようだ。
メンバーの中では、特に音霊魂子や栗駒こまるなどがバンバン実写動画を出しており、普通であれば絶対に見せないようなモーションキャプチャー時の姿(トラッキングスーツを着た姿)まで公開している。この「なんでもあり」感があおぎり高校のフリーダムなスタイルとして人気になった。
動画には「コレ見せて全然問題無いあおぎり高校最強だよな」「やっぱこういうことできるあおぎりは最高やな」といったコメントも寄せられており、実写を見せるスタイルはすっかり「あおぎり名物」になりつつある。