リリー・フランキーも注目する羽永の価値観 留学の“気まずさ”を伝えるYouTubeチャンネル「はなのにちようび」人気の背景

「はなのにちようび」羽永の価値観

お花畑に雷を落としたような子〜“めんどくさい女”と思われても作りたかった一冊

ーー改めて、ここからは今回のエッセイ『Happy Accidents』についてお話をお願いします。ご自身の“他己紹介”として「お花畑に雷を落としたような子」、動画の内容は「現実だけどちょっと夢」だと綴られていましたが、本当に同感です。

羽永:えっ(笑)。

ーーいまもリモートながら取材をさせてもらっているものの、羽永さんが同じ世界に実在しているのか、正直なところまだ疑っていまして。すごく不思議な空気を纏っていて、褒め言葉として人としての輪郭がぼやけているというか……。

羽永:たまに仰っていただくことがあるんですけど……あの、やっぱり私って、日本に帰らない方がいいですか?

ーー勝手な意見で恐縮ながら、ずっと「現実だけどちょっと夢」な存在でいてほしいです。

羽永:やっぱりかぁ〜。リリーさんも同じご様子でしたし、最近は私もそう考えています。でも本当は「日本に帰りたい」って思っているんですよ(笑)。

ーーあら。

羽永:そもそも、私のことを留学を楽しんだ人とも、そこで成功した人とも思ってもらいたくはなくて。イギリスに来てから「なんでこんなにうまくいかないの?」って、ずっともがき続けているので。

 
 
 
 
 
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ーー先ほどのハイキングの話にも通じるところですね。とはいえ、そんな状況下でも本エッセイの作業はしていたと。

羽永:最終的には締切間際に、3畳くらいしかない自室に1週間こもりっぱなしで、ベッドの上で作業しながら熱なんかも出していましたけど(笑)。それこそ、9月下旬に出版発表がされて以降も赤字を直していたし、「羽永さん、もう辞めてください。これで本当に最後の赤字にしてください」とも言わせてしまいました。担当のみなさま、その節は本当にご迷惑をおかけしました……。

ーー怒涛のエピソードすぎます。制作はどのような流れで進行を?

羽永:出版が決まって、まずは担当ライターさんからインタビューがありました。そこで出てきたエピソードからエッセイに載せるものを選んだ後、ライターさんの書いた原稿を拝見して、私らしい言葉に直す作業の繰り返しでしたね。大体5カ月くらい掛けたのかな。

ーー「5カ月」ですか?

羽永:はい(笑)。赤字のやりとりが7回くらいにまで膨らんでしまって。理由のひとつが、“像”としての動画内での私が明るく見えすぎていること。あのイメージを再現すると、文章がコメディ調に寄ってしまうらしいんですよね。だけど、私がこのエッセイで明かしたのは日記にしか書かないようなセンシティブなお話ばかりで、どうしても真剣な文体にしたかったんです。その部分を何度も話し合って、いまの形にしていただくことができました。

ーー私も編集経験があるのでわかりますが、7回の再校出しは余程です。先ほどのテーマ選定の話題でいうと「70歳のおばあちゃんの過去を生きている」と想像すると、落ち込むような出来事もすべてが幸せに感じられる、という考え方の話が大好きでした。このあたりは、自身のなかに潜在化した考えかと思われるので、アウトプットもなかなか難しいもの。こうして言語化されているのが大変貴重です。

羽永:うれしいです! このエッセイのために、小さい頃のエピソードを父から電話で教えてもらったりもしたので。「コンビニにシャネル」なんかも、そのうちのひとつでした。

 
 
 
 
 
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ーー10年前に出会っていたら20代を生きるのがもっと楽になっていたのに、と思わされる素敵な一冊でした。お父さまの教えだという本書のタイトルの言葉を引用するならば「起こることは、すべていいこと」。制作当時の苦難も、よき思い出になったことでしょう。

羽永:想像以上にたくさんの方に読んでいただけて、時間を掛けて本当によかったです。ライターさん、担当編集さんともに“そんな人”じゃないよと前置きしつつ、あの頃はもう「嫌われても、生意気でちょーめんどくさい女だと思われてもいい。納得のいく本を作りたい!」って想いでしかなかった。そんな私を受け入れてくださって、感謝の気持ちでいっぱいですね。

“スピる”ってなに?〜「起こることは、すべていいこと」という言葉の真意

ーー少し話は変わりますが「起こることは、すべていいこと」然り、今年11月投稿の動画サムネイルに記していた「やったことは絶対返ってきます」然り。あるいはよくいう“引き寄せの法則”など、密かに私も共感している節がありまして。

羽永:おぉ〜、信じていらっしゃる方だ。

ーーとはいえ、周囲から“スピってる”と言われるのは解釈違い。あの言葉って、すごく軽率に“ハマってる奴”というカテゴライズを強いてくるじゃないですか。

羽永:そうそう。“スピる”って言葉自体がよくないですよね。なによりスピリチュアル自体、海外では当たり前の概念だし、どれもすごくポジティブな考え方。にも関わらず、アジア、特に日本だとその類の話を嫌がるし、怖がるし、信じない。「信じたら石を買わされる」とか、なんだって宗教チックな話に結びつけちゃうじゃないですか。

 
 
 
 
 
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ーーUFOや陰謀論の類とは別物なんですよね。私個人の受け取り方としては、“ケセラセラ”のようなおまじないくらいに思っています。特に、生きづらい現代ではなおさら、引き寄せの法則があるみたいに信じた方が楽しく生きられそうですし。

羽永:信じるか信じないかはあなた次第。だけど「信じた方が得して生きられるよ」って、私も思っています。みんな、スピをビビりすぎている……というか、スピってなんなんですかね?

ーーいや〜、なんでしょうね。羽永さんの場合だと、エッセイに綴られていた「母に守られている私は絶対にひどいことが起こる運命にない」という考え方も、このあたりに近いものかと。

羽永:こんなことを話すとまた宗教チックに捉えられちゃいそうですけど、1歳の頃に亡くした母はもはや神に近い存在。私たち家族にとって大切なもの。つまり、母が目に見えなくなることで逆に、見えないものの力すら信じざるを得なくなったんです。たとえば私、大切な日に晴れじゃなかったことがないんですよ。それも母のおかげだと感謝しているし、そう考えられること自体がすごく幸せ。それすらできていなかったら、いまの私はすごく暗い人生を送っていたと思います。

 
 
 
 
 
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ーーすごくポジティブですよね。

羽永:いや、そうでもなくて。自分を肯定することでしか、生きられないからですね。ロンドンでの生活も、なんなら今回のエッセイに記した内容も同じでした。最初は暗いことばかりだったけど「私はこう思うことにした」「こう受け止めることにした」って考えを変えたことばかり書いていて。根っこの部分はずっと、ネガティブなままなんです。

ーー失礼しました。ちなみに「起こることは、すべていいこと」の“起こること”には、能動的に“起こす”ことも含まれる認識ですか? たとえば人を傷つけたとしても、大手を振って「すべてがよかった」と言うのは憚られますよね。

羽永:“起こること”には、起こすことも入ると思います。う〜ん、すごく難しいんですけど……自分が人を傷つけたことも、あるいはその人が私に傷つけられたことも、時間の経過で少しずつ記憶が薄れてくと思うんです。でも、記憶のすべてはなくならないし、間違いなく自分と相手の双方になんらかの影響を残すはず。それがいずれ、自分/相手らしさを作っていく。だからいまがある、みたいな。

ーーなるほど。

羽永:もし相手を傷つけてしまったとしたら、次に出会った相手には配慮できるようになっていたり。そう考えると、お互いにとって傷つけた/傷つけられたことも、将来的にはすべてがいいことに変わると信じています。もちろん、人を殺めたりとかはまた別ですよ。でも、いや、ねー。わかんないです。どこまでも広がっていて無限ですね、考え方は。

年齢、感性、センスについて思うこと〜残り半年を切ったロンドン生活に向けて

ーーまたしても突然ながら、羽永さんはこの世に“オリジナルな人間”って存在すると思いますか? あくまで持論ながら、人は誰しも周囲の存在から少しずつ、色々な要素を寄せ集めて自身を形成していると考えているのですが。

羽永:まさに私と同じ考えじゃないですか!

ーーそう言ってもらえてうれしいです。実際にロンドン生活で、自分だけのオリジナルを形成するために周囲から特に吸収したものがあれば教えてください。

羽永:わかりやすい例だと、ファッションセンス。日本にいた頃の私は、ものすごく洋服がダサかった。それからイギリスに来て、語学学校と並行してファッション関連の大学に通い、「カッコいいっ!」と思える人たちに出会えたんです。たとえ仲間はずれにされても、その子たちと常に一緒に行動するようにしました。そのうち、たぶん目が肥えたんでしょうね。その子たちの感性が理解できるようになったし、いまの自分は彼らと同じくらいのセンスになれたと思えています。

 
 
 
 
 
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ーーいわば、周囲の環境を使って自分だけのオリジナルに磨きをかけたと。近しい話題にはなるのですが、羽永さんは年齢を重ねることをどう受け止めていますか?

羽永:可能なら、ずっと若いままでいたいです。ただ、これは感性とかよりも国ごとに持つ文化の問題になってくるのかな。日本だと年齢という要素が重要視されるし、私もそのなかで育ってきたからこそ、年齢を重ねるほどに「自分もなにかしなきゃ」「みんなに置いてかれたくない」なんて焦りが生まれてきて。逆に海外では、アルバイト採用などで年齢を聞かれないことにすごく驚かされました。

ーー年齢を重ねることは、感性の老化にも繋がりそうです。

羽永:年齢も関係しているとは思います。その上で、このお話には環境への“慣れ”が大きく影響しますよね。私の場合、留学当初に覚えていた感動に出会うのがいまではもう難しいし、目新しいものも見えづらくなってきている。自然なことだから仕方がないのかな。

ーー難しい話ばかりを振ってしまってすみません。留学期間も残すところ約半年のみ。現状でやり残していると感じていることはありますか?

羽永:「私、留学してるっ!」って感覚をもう一度だけ取り戻すこと。いまは一人暮らしをしている一方、この感覚を最も感じられていたのが、嫌でも人と一緒に生活をしていたときでした。なので、改めて語学学校に通ったりと最後に後悔しない努力をしたいです。ちなみに、YouTubeは帰国前には辞めちゃうかも。やっぱり私は写真やファッションに力を注ぎたいタイプの人間なので、動画投稿も続けられたらうれしいけど、そこまで未練もないんですよね。

 
 
 
 
 
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ーー今回のエッセイにも「YouTubeは現実世界ではないので、今はなるべく侵食されたくないかも」と書いていたくらいですからね。羽永さんはあくまでクリエイター。“YouTuber”という限定的な分野に生きる人でもないと思います。

羽永:そう思います?

ーー私はそう思っていますよ。

羽永:あっ、うれしい。それがいちばんかけられたい言葉だし、そう感じてもらいたいと思いながら活動をしてきたから。

ーー「現実だけどちょっと夢」ではないですが、常に遠くにいてくれる掴めない存在であり続けてほしいので。YouTubeという同じ場所に長居するのは、違うと思います。

羽永:ありがとうございます。ともあれYouTubeもイギリス滞在も、私が半年後にどんな決断をするかはそのときになってみないとわからないし、そもそも動画投稿を始めてから、たった半年で人生が180度も変わったわけじゃないですか。“羽永”の人生なんだから、半年後になにも変わっていないはずがない! なにも起きなくたって、私の馬鹿力で無理やり変えてみせます。大切なのは、自分を信じることだと思いますよん。

■著者情報
『Happy Accidents ロンドンで見つけたときめく人生のヒント』
著者:羽永
定価: 1,760円 (本体1,600円+税)
発売日:2025年11月11日
判型:四六判
ページ数:192
ISBN:9784046076373
https://www.kadokawa.co.jp/product/322503001349/

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