赤見かるびの活動に見る、VTuberと『VRChat』の関係性 プレイ歴7年を明かした背景にあるのは“潮流の変化”か
なぜ、今ふたたびVTuberと『VRChat』の好相性が注目されるのか
ところで、彼女が『VRChat』歴7年のベテランであることを知った人の中には「なぜ今なのか」と疑問に思う人もいるだろう。
赤見かるびの「7年目」という言葉から遡るとしたら、彼女がプレイをはじめたのは2017〜2018年ごろと推測できる。そして、その当時の『VRChat』は現在と雰囲気がかなり違う場所で、技術的にも文化的にも「遊ぶハードル」が高かった。
「VTuberが『VRChat』にいること」に対する賛否もあり、今ほど「VTuberと親和性の高いプラットフォーム」という見られ方はしていなかった。しかし、現在の『VRChat』ではもともと表現活動をしていたユーザーがVTuberになったり、動画プラットフォームメインで活動していたVTuberが積極的に『VRChat』を利用して自身の表現の幅を広げたりと、相性の良い空間として認知されつつある。
ひとつ考えられる要因としては、『VRChat』のプラットフォームとしての進化だ。
2025年現在の『VRChat』は、赤見かるびがプレイを始めた2018年頃と比較して抜群にVTuberの姿を視聴者に届けやすくなっている。たとえばカメラ機能の利便性が向上し、自撮りしながらの配信がとても簡単になっていたり、歌などのライブパフォーマンスをする際のギミックやツールも増えており、『Unity』(3D制作ツール)などを扱うための高度な知識がなくとも手軽にエンターテインメントを届けることができるようになっていたりする。
こうした進化によって、VTuberがアバターを用いてワールドを巡る配信をしたり、コラボ配信をおこなったりするのにも適した場所として改めて注目されているのではないだろうか。そして、2018年頃の『VRChat』黎明期と比べて「VTuber」と『VRChat』両方の知名度があがってきたことで、互いの存在や文化をリスペクトするように変化してきたということもあるだろう。
その時代の寵児のひとりが、今回とても楽しそうに『Vket』や自身のワールドを紹介していた赤見かるびだと言えるだろう。赤見かるびのファンで、今まで『VRChat』に行ったことがない人には、ぜひ一度足を運んでみてほしい。彼女のワールドは「初めてのVRChat体験」として大満足できるクオリティのはずだ。
そして忘れていけないのは、これまでも多くのVTuberが『VRChat』を活用して様々なエンターテインメントを届けてきたことだ。
『VRChat』を大いに活用しているVTuberといえば、赤見かるび以外にもぽんぽことピーナッツくんの『ぽこピーランド』や、エンジンかずみの日本人コミュニティを紹介する動画や、交流ワールド「NAGiSA」に興味を持ってプレイし始めた人も多い。実際、筆者もそういったユーザーとは数多く出会ってきた。
それ以外に、ホロライブ公式が『VRChat』上で大人数のコラボを行った「ホロナツパラダイス」のワールドに遊びに行った人もいるだろう。前回の『Vket』に参加していた火威青の出展を見るためにはじめてプレイした、という声も耳にしたことがある。
表現の可能性が無限大な場所『VRChat』と、自己表現の幅を大きく広げられる「VTuber」との関係性が、今後も良いベクトルを保ったまま加速するのを期待するばかりだ。