AIガジェットが取り戻す「考えるための余白」 記者の取材現場で感じた働き方の変化

記者がAIガジェットを使ってみての変化

 2025年、「viaim」「Plaud」「iFLYTEK」「Notta」といったメーカーから、ポケットに収まるサイズのAIレコーダー・イヤホンが相次いで登場している。機能は「録音」「書き起こし」「翻訳」「要約」とシンプルだが、実際に使ってみると「便利」という言葉だけでは言い尽くせない変化が現場で起きている。筆者としての気付きは、まずは圧倒的なスピード感だ。

 取材の帰り道、録音データの書き起こしをどう片付けるか。そんなことを考えながら駅へ向かうのが、筆者の習慣だった。だが最近は、それがなくなった。

 約1時間のインタビューが録音終了と同時にテキスト化され、電車に乗り込む前には、要点だけをまとめたテキストをスマホで確認できる。自分が話した言葉でさえ、客観的な文字情報としてすでに整理されているのに驚く。

 そして次に現場でのフォーカス度の深化だ。たとえばインタビュー。これまでは話を聞きながらメモを取る二重タスクに追われ、肝心な場面で踏み込みが遅れることがあったが、リアルタイムで文字化や翻訳が行われることで、話の脱線や重要なキーワードも、テキストで逃さず確認できる。「聞くこと」に集中できると、相手の表情や心理、言外の意図にもフォーカスでき、会話の深度は驚くほど変わる。

「余白」の時間が「思考」となり、企画を「構成」する原動力を生む

 AIガジェットがもたらしているものをひと言でまとめるなら、「仕事から単純作業を剥がし、考えるための余白を取り戻した」これに尽きる。

 筆者はじめ、記者の仕事を分解すると、大半は意外にも単純作業だ。録音データの書き起こし、翻訳、要点整理などは、どれも時間を消費する割に創造的ではない。AIガジェットはそこを丸ごと削ってくれ、結果として「考えるための余白」が戻ってくるようになった。この「余白」ができると人は途端に強くなる。これこそAIガジェットの「本当の価値」なのだと思う。

 実際、筆者はこの余白のおかげで、ニュースの記事化後に補足を入れつつSNSで解説してみたり、次の企画を生み出してカタチにすることができるようになった。これは確実に最新AIガジェットがもたらしてくれた福音だ。

 来年以降、AIガジェットはまた姿を変えていくはずだ。たとえば「AIグラス」は、会話内容の字幕表示、視界に入った文字の即時翻訳など、いま耳元で起きている変化が、視界そのものへと拡張されるという。

 あなたが日々の業務の中で「もっと考える時間がほしい」と感じているなら、AIガジェットは最も手軽で明快な選択肢になる。AIガジェットが作りだした「余白」をどう使うかで、仕事の質やアウトプットの方向性は、確実に変わっていくはずだ。

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