『サカつく 2026』“ガチャ要素”はクラブ経営にどう作用する? テストプレイに感じた遊び幅の広がりへの期待感

 「プロサッカークラブをつくろう!」(以下、「サカつく」)は、セガより1996年に第1作が発売されて以降、さまざまなタイトルがリリースされてきたサッカークラブ経営シミュレーションゲームだ。

 そんな人気シリーズにおける待望の最新作『サカつく2026』(PS5/PS4/Steam/iOS/Android)が、2026年初頭に発売予定。2025年に『サカつく2025』として発表された後、発売延期に伴いタイトルを“2026”に改めた本作だが、スマートフォン向けの『サカつく ロード・トゥ・ワールド』から8年、家庭用機向けに発売された現時点での最新作『サカつく プロサッカークラブをつくろう』から数えれば実に13年ぶりの新作ということで、楽しみにしているプレイヤーやサッカーファンも多いことだろう。

 そこで本稿では、8月に実施された本作のクローズドベータテストでのプレイインプレッションを、遅ればせながらお届けしよう。なお、ゲーム画像は開発中のもの。

 さて、対応プラットフォームから察したゲーマーも多いと思うが、本作は基本プレイ無料の運営型タイトルである。ただ、基本的には“家庭用機&スマホの両方で遊べる王道の「サカつく」”との認識で問題はない。

 本作では従来の「サカつく」でのメイン要素であった、全権監督としてクラブの経営・強化・試合指揮などを楽しめる「サカつくモード」と、育成した選抜選手やチームでのPvPやPvE対戦が楽しめる「ドリームチームモード」が用意されている。

 “ガチャで獲得した選手でチームを編成し、オンライン対戦で競い合う”という要素がないとは言えないものの、そうした要素は「ドリームチームモード」へと切り分けられているので、じっくりとクラブ経営のみに向き合いたいプレイヤーは「サカつくモード」専門で遊ぶという選択肢も残されているので安心してほしい。

 「サカつくモード」では実在のクラブを選択、またはオリジナルクラブを作成し、複数シーズンを戦い抜いていくことに。

 プレイヤーは全権監督のポジションなので、選手獲得や育成をはじめ、毎試合のメンバー編成、果てはホームスタジアムのある街の発展にいたるまで思いのままに辣腕を振るうことが可能。ただし、予算はもちろんスポンサーから与えられたミッションの達成状況などは常に注視する必要がある。

 クラブ運営の醍醐味といえば、やはり選手の獲得交渉だろう。希望選手にオファーを出すと選手との話し合いが開かれ、代理人から希望する年俸が提示される。

 これを承諾するか、あるいは年俸以外で選手本人がよろこぶような条件をチラつかせつつ年俸額を値切るかといった判断を迫られるわけだが、テキストベースのコマンド選択形式となっており、話し合いといっても短時間でサクッと終わる設計のため、経営ゲーム初心者やサッカーを詳しく知らない人でも問題なく挑戦できるはずだ。

 こうした人事と並行して選手の練習メニュー選択などを続けつつ、毎週のように起こるさまざまなイベント――悩める選手にアドバイスしたり、選手同士の他愛ない会話を見守ったりしながら、所属リーグ戦での優勝やカップ戦の制覇などを目指していく。

 こうした「サカつくモード」においてガチャ(ゲーム内名称は「スカウト」)要素が絡むポイントはおもに2点。「SP選手」の加入と、「特別練習」の設定時だ。

 まず前者について、「サカつくモード」では毎シーズン開始時にガチャから獲得した「SP選手」を最大2名まで、設定された契約金を支払うことでチームに加入させることができる。なお、「SP選手」は1シーズンを終えると選抜選手として獲得でき、選抜選手は「ドリームチームモード」にて使用可能となる。

 後者に関しては、任意の選手の能力値を育成する「特別練習」を利用するにあたり、ガチャなどから獲得した「トレーニングカード」が必要なシステムとなっている。設定した「トレーニングカード」によって成長する能力値や成長幅が左右されるので、選手に狙い通りかつより高い効果のある「特別練習」を受けさせるためには「トレーニングカード」の手駒を増やすことが重要になるわけだ。

 賛否はわかれると思われるが、「SP選手」はほぼ無条件で開始直後から任意の選手をチームに加えられるということで、特定の“推し選手”がいる人にはうれしい要素だ。特に、たとえばゲーム開始直後のJリーグから欧州サッカーのスター選手などを引き抜こうと思ってもまず合意には至らないため、少なくとも遊びかたを狭めるどころかむしろ大いに広げる要素であることは間違いない。

 筆者はJリーグの「川崎フロンターレ」でプレイ中に実績と資金を積み上げ、現実では2022年まで所属していた田中碧選手を海外クラブから大枚をはたいて買い戻したのだが、開始からすでに2シーズンが経過していたため本人の年齢は30歳目前に。しかし「SP選手」として加入させる場合は20歳からのスタートになるため、時の流れの残酷さに悲しむこともなくなる。

 「特別練習」に関しても、個々の選手と向き合って練習方針を設定する作業は個人的に気苦労してしまうタイプなので、見た目的には“カードを使用して強化”というような感触でこなせるようになっていることは、これはこれでアリかもしれないと感じた。

 

 なにより、運営型タイトルとなったことで毎シーズン激変するサッカーシーンに合わせた継続的なアップデートの可能性が期待できることは、希望的観測とはいえサッカーファンには朗報だろう。

 スケジュールや試合進行の良好なテンポ感なども含めて気軽に遊びやすく、かつ腰を据えて熱中できる要素も数々用意されている絶妙な塩梅となっていたので、1日も早いリリースを楽しみに待ちたいと思っている。

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