熱戦が繰り広げられた『LJL 2025 Grand Final』 ファン必見の「選手カメラ」の進化にも注目

 9月15日、eスポーツ施設・ASH WINDER Esports ARENA高田馬場店で『League of Legends Japan League(LJL)』のグランドファイナルが開催された。試合を行ったのはREJECTとQT DIG∞の2チーム。

 会場となったASH WINDER Esports ARENAは、高田馬場から徒歩30秒に位置する国内最大級のeスポーツ施設だ。最大80席のPCバンとして機能するだけでなく、こうした大型大会の開催、収録設備なども備える。さらに今回のグランドファイナル開催にあたっては、各協賛メーカー協力のもと、最新の機材が揃えられた。

 選手たちが使用するデスクをチェックすると、さまざまな機材が並ぶ。その中で、今回注目したいのは選手の顔を映すWEBカメラ。使用されている機材はElgatoの『Facecam 4K』だ。

 eスポーツファンにとって、試合中の選手たちが見せるリアルな姿は貴重なコンテンツ。本稿ではその魅力と、『LJL 2025 Grand Final』で使用された『Facecam 4K』の実力について探っていく。

プレイだけでは分からない、選手の“素の表情”

 eスポーツの競技シーンを観ていて、たびたび思うのは「試合中」と「試合後」とで選手の印象が全く異なること。勝利者インタビューでは比較的冷静なコメントを残すことが多い選手たちも、試合中は情熱的。良い意味で“エキサイトした姿”を見せることがある。

Faker Arrives

 想像してみてほしい。あなたは日本の代表選手として試合に出場しており、相手は海外の名門チーム。筆者がその立場なら、きっとガチガチに緊張してしまうだろう。しかし、意外にも選手たちはリラックスしており、時には笑顔すら飛び出す。「試合の裏側ではこんなコミュニケーションが行われていたのか」「こんな雰囲気でゲームをしているのか」と驚かされることもたびたびある。

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 選手たちの表情にフォーカスした映像によって生まれた名場面も多い。日本の『LoL』シーンでいえば、福岡ソフトバンクホークスゲーミング・Evi選手のサムズアップは、海外『LoL』ファンの間でもミームになったほど。そんな選手たちの試合中の表情を捉えるのが、デスクに設置されたWEBカメラだ。

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高品質なElgato『Facecam 4K』の性能を徹底解剖

 Elgato『Facecam 4K』はレンズに「Elgato Prime Lens」を搭載し、センサーには1/1.8インチの「Sony STARVIS 2 CMOSセンサー」を採用した。製品名が示す通り、4K解像度の撮影に対応し、レンズの焦点距離は21mmと広角な仕様。F値は4で、フォーカス範囲は4K設定時で30cm〜120cmとかなり広めになっている(フルHDの場合は25cm〜∞)。WEBカメラとしてはかなりハイスペックな本製品だが、さらに特徴的なのがレンズフィルターを装着可能な点だ。

 『Facecam 4K』のレンズには一眼レフなどのカメラで使用される49mm径のレンズフィルターを装着するための溝が掘られている。レンズフィルターというと、レンズ保護用のものを想像しがちだが、実はそれ以外にもさまざまなレンズが存在する。たとえば画面収録時の逆光や反射を抑えてくれる実用的なレンズから、あるいは「プリズムレンズ」と呼ばれる特殊効果を施してくれるレンズもあり、これらを使うことでちょっとした彩りを与えることが可能だ。

 また1/1.8インチの「Sony STARVIS 2 CMOSセンサー」を採用している点も評価したい。Sonyのカメラ用センサーといえば、「暗所に強い」という特徴を持つことで有名だ。このSTRAVIS 2センサーも同様で、「Super High Conversion Gain技術」によって多少暗い場所であってもノイズの少ない鮮明な映像を映すことができる。WEBカメラを使うシーンを考えると、大抵は室内であることが多く、撮影用のライトなどを用意していない限りは光量が少なめになるので、暗所に強いのは素直にうれしいポイントだろう。

 設定用のアプリ『Camera Hub』を使えば画角の管理からシャッタースピードやISO感度まで、各種設定を任意で設定できる。部屋の明るさや用途に合わせた調整をしてあげれば、かなり本格的な写りも実現できてしまう。もちろん、「自動」設定もあるので特にこだわりがなければそのまま使えばよい。HDRにも対応しており、明暗差のあるシーンに強いのも特徴だ。

 くわえて、『Facecam 4K』はフォーカス範囲にも注目したい。4K設定時30cm〜120cmという距離はカメラからPCを操作するユーザーの距離をカバーする範囲だ。オートフォーカスを搭載したカメラでありがちな、デスクとの距離を変えた際に発生する「フォーカスブリージング」(フォーカスを再度合わせるために一時的にピントが外れる現象)が起きないのはありがたい。

 また画角が広く4K対応であるため、画質を損なわずにクロップ(切り取り)が可能。4KからフルHDに切り出すとかなり拡大できる。これを活かした顔追跡機能を使うこともできる(ただし、こちらはNVIDIA RTXシリーズのグラフィックボードが必要)。

 百聞は一見にしかず、ということで『MacBook Air(M2モデル)』に標準搭載されている内蔵カメラと比較してみた。内蔵カメラの場合、視認性を高めるためかソフトウェア上でシャープにする処理をしているようで、かなりバキッとした写りになる。そのため、壁の色味などがかなり白っぽく写っているのがわかるだろう。

『MacBook Air』の内蔵カメラで撮影した場合

 『Facecam 4K』で撮影した写真と見比べると、シャープさはあるのだが色味はだいぶ差がある。より自然かつ高級感のある写りに仕上がっている。また画角の広さについてもおわかりいただけるだろう(ノートPCのモニターに台座で固定して撮影)。

『Facecam 4K』で撮影した場合

『LJL』の現場ではどのように活用された?

 ここまで『Facecam 4K』のスペックを紹介してきたが、高画質かつ多様な環境に柔軟に対応できる本機は、『LJL』の現場でも大活躍だったようだ。

 まず、オフライン会場というのは基本的に暗い。しかも、今回の会場は選手たちの背後に巨大なモニターが設置されており、カメラからすると逆光状態になるという、いささか難しいシチュエーションだ。そこで、今回は『Facecam 4K』に偏光レンズフィルターを装着し、逆光への対策としていた。またこの種のレンズフィルターは逆光だけでなくメガネの反射なども抑えてくれるので、選手たちの表情をしっかりと捉えてくれたようだ。

RC vs QTD|LJL 2025 GRAND FINAL

 それから、オフライン会場ではメジャーや定規を持ち込む選手もちらほら見受けられる。これはモニターとの距離やデスクの高さを普段の環境に合わせるためだ。人によってはモニターとの距離が極端に近かったり、あるいはめちゃくちゃに前傾姿勢な選手がいたりするのだが、そうすると通常のカメラでは見切れてしまいがち(DFM vs C9の動画でもyutapon選手は見切れるギリギリだ)。

  一方で、『Facecam 4K』の場合は前述した通り21mmと広角気味のレンズを使っている。『iPhone』のカメラでいうと1倍(1.0x)=24mmよりも少しワイドな画角であり、つまり広い範囲を撮影できるということだ。

 また今回の『LJL』では、プレスルームに試合の観戦用モニターと製品体験用のPCが設置されていたのだが、『Facecam 4K』はPCの周辺はもちろん、少し外れた背後の人物までバッチリ映してくれていた。配信や選手カメラとしてこれほど頼もしいことはない。

写真提供=『LJL』公式

 そんなさまざまなニーズに対応してくれるElgato『Facecam 4K』は、大会の運営にとっても非常に頼もしいアイテムだったに違いない。小型軽量な大会規模の大小や、オフラインかオンラインかを問わず、『Facecam 4K』は選手カメラの有力候補になりうるだろう。

 そして、当日の試合では、これまで3スプリットにわたって王者として君臨し続けたREJECTを下し、『LJL』の新生王者・QT DIG∞が生まれた。選手たちの真剣な表情を配信に映した裏側には、そんな裏側もあったのだ、ということが伝われば幸いだ。ぜひあらためて、アーカイブの選手カメラにも注目してみてほしい。

 ちなみに、大会当日のインターバル時間に行われたキャスター陣によるコーナー「ポチってeですか?」でも『Facecam 4K』が紹介されている。こちらは『LJL』ではお馴染みのコーナーで、キャスターたちの意外な一面も見られるので、選手だけでなく実況・解説の面々の“素”の姿が見たい方はこちらも要チェックだ。

LJL 2025 Grand Final インターバル「ポチってeですか?」Elgato Facecam 4K 紹介

■Elgato『Facecam 4K』
製品ページ:https://www.elgato.com/jp/ja/p/facecam-4k
Amazon販売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0DXF7YH1Y

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