『R.E.P.O.』と「Lethal Company系」他作品の共通点と相違点 面白さの源泉は“不自由さの演出”に

『R.E.P.O.』というインディーゲームをご存知だろうか。2025年2月に早期アクセスでリリースされたのち、実況・配信界隈から人気に火がついたホラータイトルだ。
「Lethal Company系」ヒット作品に数えられる機会も多い同作。本稿では、類似する性質を持つ『Lethal Company』『Content Warning』との共通点と相違点から、『R.E.P.O.』の面白さの源泉へと迫っていく。
ロボットとして貴重な資源の回収を目指すホラーADV『R.E.P.O.』
『R.E.P.O.』は、スウェーデンを拠点に活動するインディーゲームスタジオ・semiworkが開発/発売を手掛ける、オンライン協力型のホラーアドベンチャーだ。プレイヤーは謎のAIに雇われたロボット「Semibot」として、さまざまな場所を探索し、失われた人類の遺物とされる貴重な資源の回収を目指していく。
特徴となっているのは、マップ内のすべてのオブジェクトが物理演算に基づいた挙動を見せる点。手に入れた資源にはそれぞれに価格が設定されており、拠点に持ち帰って換金することで能力のアップグレードや武器購入の資金に充てられるが、運搬の途中で落としたり、壁にぶつけたりなどすると、みるみる価値が低下してしまう。探索を効率化するためにも、資源は損耗させることなく回収しなければならない。また、マップ内には個性豊かな敵キャラクターたちが多数登場する。アクションや能力、アイテムなどを駆使し、彼らの妨害をくぐり抜けることもまた、『R.E.P.O.』のゲーム性のひとつとなっている。
同作は2025年2月、早期アクセスゲームとしてリリースを迎えたが、独創的なシステムと最大6人での協力プレイ、歯ごたえのある難易度などが評価され、たちまちトレンドのタイトルとなった。2025年9月8日現在、Steamプラットフォームでは、約23万件のユーザーレビューのうちの96%が「おすすめ」とし、上から2番目のランクである「非常に好評」へと分類されている。
対応プラットフォームはPC(Steam)のみで、価格は1,200円(税込)。アーリーアクセス期間中の現時点では、コントローラーによる操作と日本語表記がサポートされていない。
勢力強める「Lethal Company系」 ヒット作の共通項と『R.E.P.O.』のオリジナリティ

『R.E.P.O.』は「Lethal Company系」と呼ばれている。『Lethal Company』とは、クリエイターのZeekerss氏によって開発され、2023年10月に早期アクセスが開始された協力型のサバイバルホラーだ。同作において、プレイヤーは放棄された衛星に向かいスクラップを回収することで、課せられたノルマの達成を目指していく。比較してわかるとおり、両者は類似するゲーム性を持っている。
一方で、異なる部分も少なくない。キャラクターデザインや世界観、システムなどはその一例だ。人間の頭身に近いキャラクターが生き物をモチーフにした脅威と対峙する『Lethal Company』に対し、『R.E.P.O.』では愛くるしいキャラクターがゲームカルチャーらしいコミカルでデフォルメされた敵へと立ち向かう。現実的な前者、フィクショナルな後者とも言い換えられるだろう。
反面、『R.E.P.O.』では先にも述べたように、オブジェクトの挙動に物理演算の仕組みが取り入れられている。フィクショナルなキャラクターデザイン・世界観と、リアリティのあるシステムの対照性が同作のオリジナリティであると言える。
また、トレンドに詳しいフリークのなかには、そのインプレッションから、おなじく「Lethal Company系」の括りへと分類されるホラーアドベンチャー『Content Warning』を思い出した方もいたのではないだろうか。
不気味な世界に潜入し、クリーチャーやオブジェクト、超常現象を撮影。その動画をゲーム内のコンテンツプラットフォームに投稿し収益化することで、クリエイターとしての成功を目指していく同作は、2024年4月のリリース以降、実況・配信界隈で話題を呼び、一躍トレンドタイトルの仲間入りを果たした。ゲーム性の根幹こそ『Lethal Company』や『R.E.P.O.』のそれとはやや異なるが、「恐怖世界を冒険することで得た資金を元手に、探索をアップデートしていく」「オンラインマルチプレイに対応し、フレンド同士でワイワイとプレイできる」といった点に共通項を持つ。『Content Warning』もまた『R.E.P.O.』と同様に、『Lethal Company』フォロワーとして成功を手にしたタイトルのひとつとなっている。
このように類似するタイトルが多くあるなかで、なぜ後発の『R.E.P.O.』はヒットを記録することができたのだろうか。その秘密は「不自由さの演出」にあると考える。
同作では、物理演算の仕組みのなかで、グラブツールを活用し、大小さまざまなオブジェクトを運搬しなくてはならない。文字だけで見ると、それほど難しいことではないようにも思えるが、ここには他のタイトルにはない“不自由さ”が多分に含まれている。自身の操作ミスからオブジェクトをぶつけたり、落としたりは茶飯事。当然、途中で敵に遭遇し、運搬どころではなくなることもある。遊び始めた当初ほど、これらの障害はプレイヤーの前に高く立ちはだかる。このことはハードルを乗り越えたときの達成感とも地続きである。
特にソロでプレイする場合にはやや難易度が高い『R.E.P.O.』だが、最大6人による協力プレイの要素がその理不尽さをうまく中和している。壁が高いからこそ、チームは必死になって目的の達成を目指す。なかには探索を効率化するためにメンバーに役割分担を設けるチームもあるかもしれない。場合によっては、複数人で協力し、価値の高い大きなオブジェクトを運搬するケースもあるだろう。この連帯感にも特有の不自由さは効果的に作用している。ある意味でのUI/UXの悪さが面白さへと直結しているのが、『R.E.P.O.』というゲームなのだ。

つまるところ、『R.E.P.O.』の魅力は「思うようにいかないこと」なのではないか。その角度から「Lethal Company系」を見つめると、『Lethal Company』『Content Warning』とのあいだには、ゲームサイクルやオンラインマルチプレイとは別の共通項も浮き彫りとなってくる。このことは次なる「Lethal Company系」ヒット作品の必要条件とも言えるのかもしれない。
現在はアーリーアクセス期間中の『R.E.P.O.』。正式リリースを迎えるにあたっては、CS機への移植やコントローラーへの対応、日本語へのローカライズにも期待がかかる。よりプレイしやすいタイトルとなることで、同作の魅力はさらに広く知れ渡っていくだろう。2025年屈指の話題作の今後に注目したい。






















