TREKKIE TRAXのCarpainter×Seimeiが語る“ネットレーベル”の歴史とテクノロジーの進化 rekordboxとDropboxが生み出す制作への好影響とは

「めちゃくちゃ便利」 rekordboxとDropbox Replayの連動に感じた利便性

ーー国内外のレーベルやDJとの楽曲データのやりとりに関しても、クラウドやストレージの発達により簡単にデータを送れるようになったことで、よりスムーズになったと思いますか?

Seimei:スムーズになりましたね。僕らもよく使っているのですが、DropboxにEPやアルバム、ジャケットなど全部アップロードして、「ここからダウンロードしてください」という感じでリンクをくれるヨーロッパやアメリカのレーベルはすごく多いです。

Carpainter:1番助かったのは、楽曲データをダウンロードせずにストリーミングできるので、レスポンスが明らかに早くなったことです。僕らもリリースのプロモーションはDropboxで送るようになりました。また、Dropboxの場合、楽曲データの波形が表示されるので、「この曲が1番盛り上がるサビの部分はここかな」ということが予想しやすく、時間がないときにそういう部分を波形で判別して聴けるのがかなり大きいです。

Seimei:波形表示で考えると、SoundCloudかDropboxぐらいしか選択肢がないんです。しかも、ストレージ内でちゃんとフォルダ分けできるのは、やっぱりDropboxなので、そちらを選ぶ人がすごく増えていると思いますね。

ーーDropboxはファイルストレージだけではなく、さまざまな機能が利用できます。たとえば、新旧のバージョン管理や特定の秒数にコメントを残すことも可能なDropbox Replayを利用されているとお聞きしていますが、使ってみていかがでしたか?

Seimei:まず、DJのプレイリスト作成時に使ってみました。僕らは「TREKKIE TRAX CREW」という名義で3〜4人でDJすることがあるのですが、普段よりもちょっと長い90分セットの日は、いつも以上にちゃんとDJセットの内容を考えなければいけないこともあって、その流れを事前に共有しなければいけないんです。

 それで一度、事前に「90分間こういうDJセットをしたい」というものを作っておき、Dropbox Replayを使って、メンバーにそのセットに対する意見をコメントで書いてもらうようにシェアしたんです。そうするとほかのメンバーが「ここはこの曲にした方がいい」とか「この部分はすごくいいから絶対使おう」といった具体的なコメントを書いてくれたので、アイデアを共有する際にめちゃくちゃ便利でした。

 以前はZoomでミーティングしてプレゼンテーション形式で共有していましたが、Dropbox Replayなら各自の都合のよいタイミングでコメントできるので、すごく効率的です。

ーーこの機能のおかげで、クルー内の意思共有がやりやすくなったということですね。

Seimei:そうですね。そのおかげで今年の自分たちのDJセットでもかなり良いものができたと思っていますし、曲作りだけでなく、集団でDJしている人にはこういう使い方があるということを実感しました。

Carpainter:個人の制作に関しては自分だけで完結するのであまり使うことはないのですが、最近「F!C!O!」というユニットを始めました。そのユニットでは、プロデューサー2人とラッパー1人で一緒に共作しているのですが、途中経過の曲をDropbox Replayに入れて送るかたちで制作しています。そのときにたとえば、自分が作った部分について、もうひとりのプロデューサーに「もうちょっと硬い音にしてほしい」という要望をタイムスタンプで書いていくのですが、便利だと思ったのは、そういった際にリファレンスとしてYouTubeリンクを貼って「この曲の感じで」という形でコメントできることです。

 以前は、そういったことをする際もいちいち別のサービスを使わないとできなかったのですが、Dropbox Replayではワンストップでできるので、作業効率がすごく上がりました。

Seimei:どこにコメントがあるかがひと目でわかることが大きいですよね。「多分ここのサビ終わりのハイハットの部分のことを言っているんだろうな」とか、コメントが見えることで予測がつきやすいし、何より視覚化できることで相手の要望が理解しやすいんです。

Carpainter:あと、「ここからここまでのフレーズで鳴っているハイハットのパート」という感じで特定の範囲の修正をお願いしたい場合、タイムスタンプ1点だけだとわかりづらいんです。でも、Dropbox Replayは、タイムスタンプを打つときに「何分何秒から何分何秒」と時間の幅を指定してコメントできるのでかなり便利です。

Seimei:実際、そういう特定の範囲の修正要望はクライアントワークの制作案件だとよくあるので、こういう修正範囲を明確に示す機能があるのはすごく便利ですし、やっている側からするとすごく助かります。

Carpainter:それにコメント編集機能や閲覧者表示、承認済みステータス、さらにはデータのバージョン管理など細かい機能も充実しているのも嬉しいです。

Seimei:こうした機能がワンストップで使えるのがDropboxを利用する大きなメリットですね。音楽系でここまでできるサービスは他にないと思います。

ーーDropbox Replay以外にも、利用した機能はありますか?

Seimei:まだ試してはいないのですが、特定のフォルダにみんなから集めたデータを取り込める「ファイルリクエスト」機能は、レーベルのコンピレーションアルバム作成時、音源をまとめる時に便利そうだと思いました。通知機能もありますし、集まった音源も漏れなく確認できると思います。今後、そういう機会があれば使ってみたいですね。

Carpainter:それと海外のレーベルとのやりとりでは、Dropbox Signで契約書に電子署名をすることがあるのですが、めちゃくちゃ手軽なので助かっています。

Seimei:僕らのレーベルも契約書自体は交わすのですが、海外のレーベルは電子署名がシステム化されていることが多いんです。そのことを考えると、このフォーマットの雛形を作っておくと、レーベル運営における事務的な部分で便利だなと思いました。

ーー今後のrekordboxとDropboxの進化において、どのような新機能の搭載に期待しますか?

Carpainter:rekordboxには、すでにDropboxにアップロードしたプレイリストの音源を対応機種にダウンロードしてDJができる「CloudDirectPlay」という機能がありますが、例えばrekordboxにログインするだけで直接ストリーミングでプレイできるようになればすごく便利だと思います。

Seimei:あと、Dropboxに関しては、現時点で至れり尽くせりすぎる状態なのですが、あえて言うと楽曲データの波形表示の部分ですね。rekordboxのように、低音が鳴っているときは波形が赤くなって、それが抜けたときは青や緑になるように楽曲の内容が見た目に反映されるとかなり嬉しいです。実際、僕らはミキシングやマスタリング時にrekordboxの波形の色表示を見て、低音がうるさ過ぎるからここをカットしようとか、音鳴りを確認しているので、意外と音楽系ユーザーの需要は高いと思います。

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