2年ぶりのリニューアルとなったSONYのワイヤレスヘッドホン フラッグシップ機『WH-1000XM6』の実力に迫る

ソニーから、ワイヤレスヘッドホンの新製品『WH-1000XM6』が発売された。同社のノイズキャンセリング機能搭載ヘッドホン最上位シリーズとしては、『WH-1000XM5』から2年ぶりのリニューアルとなる。今回は、「アーティストの思いに満ちる音」を製品コンセプトに、様々な点での進化が盛り込まれているのも特長だ。
第一の進化点は、サウンドエンジニアとの共創。進化した高音質と世界最高クラスのノイズキャンセリング性能を生かして、アーティストの意図したサウンドをありのままに再現することを目指している。
ソニーでは、最終的にユーザーが耳にする音には、スタジオのエンジニアが大きな影響を及ぼしていると考え、『WH-1000XM6』の開発段階からグラミー賞受賞/ノミネート歴のある世界的にも著名なサウンドエンジニアと意見交換を行って音のチューニングを実施している。そこでは耳で聴くのではなく、体で感じる音(低域)の再現性にもこだわったそうで、アーティストが音に乗せた思いを感じ取ることができる仕上がりになっているとのことだ。

「世界最高クラスのノイズキャンセリング」性能が、さらに進化を遂げた
搭載している30mmドライバーユニットは『WH-1000XM6』専用に新設計されたもので、振動板はエッジ部に柔らかい素材を、中央部には硬いカーボンファイバーコンポジット素材を配置している。ボイスコイルのボビン部分に穴を開けて空気の流れをさらにスムーズにしたことで、よりなめらかで伸びのある高音域を楽しめるようになったとのことだ。
また同社では、前モデルの『WH-1000XM5』でも「世界最高クラスのノイズキャンセリング」性能をアピールしていたが、今回はそれがさらに進化している。まず、ノイズキャンセリングプロセッサーが「QN1」から7年ぶりのリニューアルを遂げ、「QN3」になった。
それに伴い処理速度が7倍以上に高速化され、同時に外部の騒音やユーザーの装着状態を音で検知して最適なノイズキャンセリングを行なう、アダプティブNCオプティマイザーにも対応した。内蔵マイクも『WH-1000XM6』では左右6個、合計12個に増えている(『WH-1000XM5』は合計8個)。

映画や動画作品を臨場感たっぷりに楽しめるリスニングエフェクト「シネマ」も新たに装備する
3万円以上のヘッドホンを買う人の多くが映画も楽しんでいるという調査結果があるそうで、『WH-1000XM6』にも映画や動画作品の視聴向けに、360 Upmix fir Cinema機能が搭載された。これに伴い、従来の360 Reality Audio対応に加えて、2ch音源を映画館のような臨場感のある立体音響に変換する「シネマ」モード(リスニングエフェクト)が追加されている。
リモート会議などでヘッドホンを使って会話をする機会も増えているが、そこについては6個のマイクを使ったAIビームフォーミングに独自アルゴリズムを投入、より鋭い指向性を実現した。同時に5億サンプルを超える機械学習を行ったノイズリダクションAIも搭載したことで、自分の声と環境音をわけて処理を行い、聴きやすい声を届けられるようになっている。
Bluetoothの対応コーデックはSBC、AAC、LDACに加えLC3にも対応する。LC3での接続時には帯域が従来の2倍になり、通話時の音声もより自然でクリアーに聴こえるそうだ。

電車の中でも安心して使える、優れたノイズキャンセリング性能が確認できた
今回、『WH-1000XM6』の音をひと足早くチェックすることができた。まず、Bluetoothスピーカーで室内に電車ノイズを再生した状態でノイズキャンセリングの効果を確認する。
ノイズキャンセリング・オフでは外部の音がそれなりに透過して、音楽も聴きにくい(ボリュウムは50%ほど)。しかしノイズキャンセリングを入れると、走行音やアナウンスがすっと抑えられる。オンにした瞬間にわずかに耳が圧迫されるような印象はあったが、使っているうちにそんな違和感もなくなり、自然に音楽を楽しむことができた。
ノイズキャンセリング・オンでボーカルやポップスを再現してみる。音場全体がクリーンで、ボーカルや楽器の立ち上がりのキレがいい。ノイズキャンセリングの効果もあって、静かな中から音がすっと響いてくる。低域はヘッドホンとしてはなかなかの再現力で、バランスのいいサウンドが楽しめる。

リスニングエフェクトを切り替えると、音の響き方が変化した。映画を楽しむなら「シネマ」がぴったり
ここまではBluetoothコーデックでLDACを選んでいたが、試しにAACに切り替えてみると、微細な表現はやや整理されるが、その分音の輪郭がくっきりして、力強いサウンドが楽しめた。ロック系の楽曲ではこちらを選んでみるのも面白いかもしれない。
また『WH-1000XM6』には、リスニングエフェクトとして、上記の「シネマ」の他に「スタンダード」「BGM」のふたつが準備されている。アプリからここも切り替えると、確かにそれぞれで音の響き方が変化する印象だった。
「スタンダード」ではキレの良い低音でノリがいい音として楽しめる。続いて「BGM」を選ぶと、ボーカルはそのままに音場がふわっと広がって、ライブ作品などをゆったり楽しむのに向いているように感じた。
「シネマ」は低音が強調気味になり、メリハリをつけようとしている感じもある。それで動画配信サービスから特撮映画を選んでみると、登場人物のセリフも明瞭に届き、巨大怪獣が銀座で雄叫びを上げるシーンの迫力や残響感がしっかり再現されていた。ヘッドホンでの映画作品鑑賞用として絶妙なまとまりと思われる。

◼︎製品概要・参考資料
・型名:『WH-1000XM6』
・発売日:5月30日(金)
・価格:ソニーストアでの販売価格5万9400円(税込)https://www.sony.jp/headphone/products/WH-1000XM6/
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