にじさんじ・倉持めるとは“学び続ける” 光属性のギャルが大切にする、理解とリスペクト

向上・努力・オープンマインド 根幹にある倉持めるとの魅力

 ダンサーとしての実力はすでににじさんじ内の面々やファンには知られているところ。ところで、「ダンサー」というとどんな人柄をイメージするだろうか。 あえてステレオタイプを挙げると、陽気で明るく、周りのみんなのムードを高めてくれる笑顔の眩しい人間といったところだろうか。

 倉持めるとは、そんな「創作に出てきそうな典型的ダンサー像」を思わせてくれる人物である。

 彼女の配信を視聴していると、ネットカルチャーのようなインドアなイメージとは全く違ったカルチャーを背負っていることが、会話の節々から伝わってくる。

 時に「まるであかちゃんみたい」とも言われるような無邪気な笑い方をみせ、人と真正面から対話しようとするスタンス。分からないことがあればしっかりと勉強し、会話する相手の事情をあらかじめすこし頭に入れたうえで話題を振っていく気の回しようなどなど、スムーズに会話ができるように明るい雰囲気づくりをするのが得意なタイプでもある。“ギャルっぽい”と方々から言われる一番の理由がこれだろう。

 気心知れた相手にはボケやツッコミも遠慮なくぶつけ、屈託なく言葉をかわしていく流れや、なにより明るい声のトーン。こうした振る舞いにも引っ張られ、にじさんじの中でも随一の“陽の者”として倉持を評価する同僚やファンは非常に多い。

 彼女らしさに拍車をかけるのが、やはりネットカルチャーに疎いという点だ。ゲームは『Fortnite』を約3,000時間(!)プレイしたと発言していたことがあり、漫画やアニメも多少は好きだったと話しているが、いわゆる「インターネット育ち」ではないと彼女は明かしている。

 デビュー前に付き合っていた友達にはいわゆるギャル気質な友達が多く、そもそもSNSや動画などを見ることが少なかったことも影響して、インターネットカルチャーやミームについての知識はデビューするまで皆無だったようだ。

 そのため、ネットカルチャーに明るい同僚の石神のぞみや鏑木ろこからはそのことについてツッコまれる事が多く、「なんで知らないんだよ!」「えぇ、知らないもんは知らないもん」といったやりとりでひと笑いが起こることもあれば、ふっと呟いたネットミームに対して正直に返事してしまった結果“ボケ潰し”になってしまうことも。ある意味、それによって誰も予想だにしない瞬間が多々生まれている。

 あまりにもネットミームを知らない彼女に対し、業を煮やして「倉持の見ているインターネットでは何が流行っているの?」と聞いたところ、「香水手作りできるお店だよ……?」「だって(Instagramの)ストーリーでみんながあげてるものでしょ?」と返したシーンは、これまで多数生まれた倉持の名場面のなかでも真っ先に上がるであろうシーンだ。

 同じVTuber~バーチャルタレントのなかで、これほどにインターネットカルチャーから距離があって相対的に映し出せる。ある意味で貴重なセンスや視点を持った人物がデビューしてきたことに、VTuber需要・出自の変化を感じてしまう。

 かつてイメージとなっていた「インドアで陰キャのためのインターネットカルチャー」ではなく、「だれにでも楽しまれるポップカルチャー」としての広がりが、彼女のバックグラウンドを見ていると感じられる。

【Minecraft】inにじ鯖!! 古代都市!?ダンジョン!?同期とリベンジの大冒険だぁぁ!!!【倉持めると/にじさんじ】

 そんな彼女が最近おこなった配信で注目すべきなのは、自身の誕生日である5月19日に配信された「ミリしらなミームでビンゴ凸待ち」企画である。

 デビューしてから約3年が経過し、さまざまなネットミームを学んだ倉持が、自身のリスナーに教えてもらったり同僚らから教えてもらったなかで特に好きな9つのネットミームを選出、ビンゴ図式にあてはめ、通話した相手に当ててもらいビンゴを狙うという企画である。

 古今東西さまざまな種類のネットミームが生まれてきたが、それらの年代やバックグラウンドは全くのバラバラ。古から知られている有名なミームもあれば、アニメ・マンガの原作を知っている人でないとついていけないようなミーム、さらにはテレビ番組発のバックグラウンドがハッキリとしたミーム、「パッといきなり言うには難しい」であろうミームも含めて、意図したわけでもなく高難易度となった。彼女がいかにネットミームを知らなかったかが伺い知れるところだろう。

 約4時間30分ほどの配信のなかで、にじさんじ内の先輩・後輩を中心にした面々が登場するのだが、いくつものミームを倉持に伝えてもなかなかビンゴには繋がらない。逆に参加者の面々が伝えてくるさまざまなネットミームに、「えぇー! なにそれ! 知らなーーい!」と言いながらその場で検索し、「このあとそのミームをちゃんと知っておきたい! 勉強するの!」と今後につながる勉強会として機能させていたのが面白い。

 早乙女ベリー、星川サラ、長尾景といったネットカルチャーやミームに疎い面々とは「やっぱり知らないミームばっかりだよね!?」という話題で盛り上がり、配信中にネットミームで困惑したことをなどトピックにして会話に花を咲かせた。

 逆に社築、リゼ・ヘルエスタ、周央サンゴ、オリバー・エバンス、鏑木ろこ、魁星、栞葉るりといったネットカルチャーに詳しく、日常会話でもネットミームを多用する面々からは「勉強するようなもんじゃない」「教えてもらうもんじゃない」と諭され、しまいには「私達をモルモットか何かだと思っているのか?!」と冗談交じりに言われてしまうシーンも。

 そんな風に諭されながらも「もうこの業界入って3年も経過してて、ちゃんとミームを理解しなきゃと思うの」「それに、ちゃんとミームを理解してみんな会話の輪に混ざりたいの!」と本音をしっかりと伝える倉持。

 この企画は、端から見ればたしかに小馬鹿にしてるようにも見えるかもしれない。しかし、彼女にとってみれば前述の言葉が本心なのだろう。その真剣な言葉を聞いた鏑木が「おまえ、どんだけ“光”なんだよ」とおもわず驚くほどだった。

 おもえば彼女は配信の随所において「見知らぬものをオープンマインドで受け入れよう」という、“学ぶ”スタンスで活動を継続してきた。この1年ほどでいえばカードゲーム『遊戯王マスターデュエル』やタカラトミーの遊具『ベイブレード』に触れたときと同じく、“とにかく触れてみよう”という好奇心や無邪気さが、彼女の原動力なのだろう。倉持本人の資質と置かれたポジションがいかに特異かが浮かび上がる、そんな魅力的な配信へと仕上がっていたのだ。

【 #めるち爆誕2025 】誕生日カウントダウン!! 告知をかけてミリしらなミームでビンゴ凸待ち!!【倉持めると/にじさんじ】

 折れることのない向上心は、先述したダンスや歌に対しても同じである。幼少の頃に「なんでそんなに歌がヘタなの?」「マジで耐えられない、歌わないでくれ!」と友達に言われたことがあったと振り返り、「でも歌を歌うのは好きだったから、歌のうまい友達の歌い方を徹底的に研究した」と話している。

 現在の彼女がリリースしてきたさまざまな動画や音源からはそんなイメージが一切結びつかないほどで、普段の話し声とは違った大人びた質感・トーンの声色を駆使したボーカルには驚かされる。にじさんじ所属メンバーを中心にしたソロシングルリリース企画『FOCUS ON - NIJISANJI SINGLE COLLECTION』を通じて「センチメンタルビート/Odd Night」をリリースしているが、シンセポップ~シティポップのサウンドに合わせたボーカルは必聴だ。

【 #めるち爆誕2025 】誕生日だぁぁ!!! みんなにちょー感謝をこめて🫶歌うぞおおお!!!!!【倉持めると/にじさんじ】

 そんな倉持めるとは、2025年9月13日に予定されている『にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!』福岡公演に出演が決定しており、にじさんじの共通衣装を身にまとって歌い、踊る予定になっている。

 にじさんじの音楽ライブに念願かなってようやく出演できるということもあり、気合の入り方は尋常ではないはず。鷹宮リオン・星川サラ・倉持めるとという、デビュー時期の異なるにじさんじを代表するギャルなライバーが揃っており、各々が並々ならぬバイブスでこの公演に臨むであろう。

 そんななかで倉持めるとがどんな化学変化を生み出すのか? いまから期待していても足りないくらいだ。

にじさんじ・獅子堂あかりは“眠らない” 初手24時間配信など、伝説を残し続ける期待の新人

現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がってい…

関連記事