にじさんじ所属、ソフィア・ヴァレンタインが見せる“ギャップ”に注目 底の見えぬ魅力に迫る

現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。
育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さでシーンに大きな影響を与えている。
前回から数週にわたり、2023年にデビューしたタレントたちにフォーカスした特集記事を書いていく。Idios、Oriens、Dytica、みたらし団といった面々はVTAに所属・学んできたメンバーが多く、2025年現在までに3Dビジュアルを手に入れ、今後のにじさんじを背負っていく中核メンバーとなっていくだろう。前回の小清水透につづき、今回はソフィア・ヴァレンタインについて書いていく。
ソフィア・ヴァレンタインは、小清水透や石神のぞみらと同じIdiosのメンバーとして2023年1月16日にデビューした。
白銀の髪色が毛先にかけて黒に染まっていくロングヘアー、タイト&スタイリッシュな黒い服とロングブーツがあわさったビジュアルは、デビュー前から多くのファンの注目を集めた。しかもSNSの初投稿では「普段はスパイとして活動しており、天才多彩な一流スパイになるため精進する日々を送っております」と書いており、「クールな女性なのではないか」と予想する者も多かった。
初配信を迎えたとき、そのか細いウィスパーな声に多くの視聴者が驚いた。すこしおどおどとしたムードを漂わせつつ発せられるその声はなんとも言えぬ愛らしさも兼ね備えており、デビュー時から多くのファンを生み出し、「Idiosの清楚枠」などと当初は評されることが多かった。
みなさま、はじめまして!
この度、#にじさんじ からデビューさせていただくことになりました!㊗️
初ツイートという緊張感の中ではありますが、しっかりと挨拶させていただければと思います!
普段はスパイとして活動しており、天才多彩な一流スパイになるため精進する日々を送っております。名をソフ— ソフィア・ヴァレンタイン🐰🗞【にじさんじ】 (@SophiaV214) January 16, 2023
クールさと愛らしさにくわえ、どこかか細くて壊れやすさすら感じさせるソフィアだが、それはデビュー時の話。2年の活動のなかで彼女は多くの姿を見せており、さまざまにリスナーやファンを裏切ってみせてきた(もちろん、良い意味でだ)。その意味でいえば、ソフィア・ヴァレンタインほどギャップのあるタレントもいないだろう。
格ゲーで花開く、か弱そうなイメージから漏れ出る“浪速スピリッツ”
デビューから約半年が経過した2023年7月末のとある配信で、彼女はこんな話をしている。
「今日7月28日は引っ越し記念日なんだけど、浪速(なにわ)の日らしいんだよ」(なにわと728をかけている)
「いままでも浪速なことを言ってはいたんだけど、心苦しくて(笑)。引っ越したしいいかなと思って。あたしの中に浪速スピリッツがあるんですよ」
「ごまかそうとしてエセ関西弁を披露した日があって、あの日のことはとても後悔してる」
このように喋りだし、「じゃあ今日ガチを披露しちゃう?」というコメントに反応すると、シームレスに関西弁で喋りだし、「関西弁ってもしかして怖いかな?って思っちゃってさ」と、そのまま関西弁でしゃべりつづけたのだ。
いたいけな雰囲気を醸し出していたソフィアが話す関西弁は想像以上にかわいらしく、勝ち気なイメージが先行しがちな関西弁とは思えぬギャップは、その後の配信でもたびたび披露されるようになった。
普段の会話のなかで「なんなんそれぇ~」と柔らかく発せられれば、確かにかわいらしく気弱な女性らしいイメージをより強くしてくれる。だが一例として、血気盛んにゲームをプレイするゲーマーが思いがけぬダメージを受けたり、ミスが起こったりすれば、カッとなって声を荒げてしまうこともあるはず。“浪速スピリッツ”を宿して配信を続けるようになった彼女は、そんな“あるある”のご多分に漏れず荒っぽい声をあげるようになっていった。
そんなソフィアの罵声や怒りの声がよく聞けるのは、格闘ゲーム『ストリートファイター6』の配信である。
2023年6月10日に『ストリートファイター6』を初プレイした彼女は、2023年11月に開催された『KZHCUP in STREET FIGHTER 6』に出場するため、プロ格闘ゲームプレイヤーであるふ~どに教えを乞い、さまざまな練習をしていくことになった。
大会では先鋒を任されみごとに全勝を収めたわけだが、注目を集めたのはふ~どからの徹底した(極端な)教えと、それを健気に守りつつ練習をつづけた姿だった。ブランカというキャラの特性を活かすために「歩くのをやめましょう」「ずっとしゃがんでいてください。しゃがむの楽しいですよね?」と前後移動を禁じられ、その場から必殺技やコンボを入れることを第一にした動きをこなすようになったのだ。
格闘ゲームはおろか、アクションゲームとしても考えられない型破りな教えを、真顔かつ平然とした表情で説いていくふ~どもそうだが、この型破りな教えをできる限り忠実に受け取り、健気にプレイしていくソフィアの姿も相まって、この構図は多くのリスナーの笑いを誘い、注目を集めるようになった。
こうして彼女は同大会を終えたあとも『ストリートファイター6』をプレイしていくことになるのだが、当初は平然とプレイしつつ、徐々に感情的になって、最終的にはキレたり喜んだりと感情をあらわにしながらプレイするようになっていった。
コーチ役となったどぐらやACQUAといった面々の前では関西弁を抑えて控えめに振る舞おうとするソフィアだが、いざソロ配信となると一変して別人のようになる。そんな彼女を見て、コーチ役である2人はもちろん、彼らのリスナー、普段から彼女を知っているファンやにじさんじのリスナーからも、驚きと笑いが生まれることになった。
どぐらから「相手が幼稚園児だと思って、保育士のような優しい気持ちをもって戦おう」と諭されても、「お前を幼稚園児にしてやる」と“迷言”を残して対戦しはじめるなど、内に秘めた攻めの精神は静まらない(余談だが、後日公式コラボでもこの言葉が引用されている)。
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— カプくじオンライン (@Capcom_capkuji) October 1, 2024
関西弁全開、音割れにくわえて煽り口調と、当初の“清楚”なイメージが吹き飛ぶほどのギャップを見せる、ソフィアの浪速スピリッツ。これは「関西弁ってもしかして怖いかな?」と語っていた彼女の素の表情をうまくアウトプットさせるだけでなく、関西生まれらしいエンタメやお笑いのスタンス、適応力を見せることに繋がったともいえる。
そんな彼女も、現在ではマスターランクへと到達。高いゲームスキルを持ち合わせるようになり、現在でも同作品をプレイしている。いまでも配信中に鋭い一言を発するシーンが頻繁に見られ、相手が対戦を1抜け(ランクマッチにおいて2回まで同じ相手と対戦できるところを1回目で抜けること)した際に「あぁー、屈服かぁ」と思わず口にしてしまうなど、血気盛んな一面も変わらず。ただし、後日「自分が1抜けしづらくなってしまった」と反省の弁も述べており、さまざまな意味でリスナーの注目を集め、楽しませてくれている。
MASTER嬉しい・・・😭
いっぱい応援と対戦ありがとうございました!!
ブランカちゃん、本当にありがとう!!!✨✨ pic.twitter.com/XB8aJqOo3m— ソフィア・ヴァレンタイン🐰🗞【にじさんじ】 (@SophiaV214) March 9, 2025