このロボット掃除機、デザインで選んで正解だった。Roborock『Qrevo Curv』を3ヶ月使い込んで分かったこと

 中国は北京を拠点とするロボット掃除機メーカーのRoborockから発売されている同社のフラッグシップとなるロボット掃除機『Qrevo Curv(キューレボ カーブ)』(希望小売価格は税込み24万1780円)。

 『Qrevo Curv』は、Roborock史上最大となる18,500Paの高い吸引力を備えた、全自動ロボット掃除機。吸引だけでなく、高速回転するモップによる強力な水拭き、水拭きしたモップの自動洗浄および自動乾燥、収集したゴミの回収など、あらゆる工程を任せられるまさに全自動なモデルだ。

 Roborockは2014年設立のロボット掃除機専門メーカーとして、近年その販路を拡大させている。今回、筆者の自宅にて『Qrevo Curv』を約3ヶ月ほど試用させていただいたので、その中長期レビューをお届けする。

曲線的デザインでリビングでも悪目立ちしない

 筆者がもっとも気に入った点は、デザイン。『Qrevo Curv』の充電ステーションは曲線デザインを意識した丸っこいシルエットで、家電らしさを感じさせないものとなっている。おかげでリビングに置いていても悪目立ちせず、ロボット掃除機にありがちな野暮ったさが軽減されていると感じた。

 また、ロボット掃除機がステーションで充電されている際は、本体の大部分がステーションに隠れるかたちとなり、掃除機自体が視界に入りづらい。これもクリーンさを感じる要因となっているだろう。

 昨今は多くのロボット掃除機メーカーが台頭しているが、ここまでインテリア要素を打ち出した掃除機は珍しい。デザインの好みについては個人個人で異なるが、この近未来的な佇まいはモダン建築が主流の現代においては好相性だろう。

壁際や棚の下も安心して任せられる吸引力

 肝心の清掃性能については、文句は一切なし! 筆者はほぼ毎日、スティック型掃除機を取り出すほどにはキレイ好きではあるのだが、『Qrevo Curv』を使うようになってからスティック型掃除機の使用頻度は週1か週2ほどにまで減少した。

 掃除機を差し込みにくい棚の下なども、『Qrevo Curv』はしっかり入り込んでくれる。後述するが吸引掃除だけでなく水拭き掃除もやってくれるため、スティック型掃除機を使うだけよりもホコリが少なくなっている印象だ。

 『Qrevo Curv』は、伸縮式のサイドブラシ、デュアル毛絡み防止ブラシ、回転する伸縮式水拭きモップ(最大毎分200回転)などを搭載している。

 サイドブラシは部屋の隅に集まったホコリをかき出す。サイドブラシも毛が絡まりにくい設計になっており、実際に数ヶ月使っていてもほとんど毛が絡んでいなかった。ロングヘアーの方、あるいはペットと生活している人にとっては心強い機能となるだろう。

裸足文化の日本でこそ、水拭き機能が嬉しい

 『Qrevo Curv』は吸引と同時に水拭きも行ってくれるのだが、この水拭き機能こそロボット掃除機の強みだろう。拭き掃除後は床がサラサラで、足がとても心地良いのだ。

 吸引しきれなかったホコリがあっても拭き掃除で綺麗になるし、床には目には見えない人の皮脂なども溜まっている。こうしたわずかなホコリ・アブラなども人の足裏は敏感に察知してしまうが、拭き上げられた床のなんと心地良いことか。

 回転式モップは延長することで、壁際0mmまで寄ってくれる。写真のように壁の隅にまで水拭きが行き届いており、キッチンなど油汚れが溜まりがちな場所での掃除も心強い。

 ラグを掃除する際は、自動的にモップがリフトアップしてラグを濡らさないようにしてくれる。だがこのリフトアップはやや高さ不足で、わずかにラグ表面が湿っていた。ラグの毛足の長さにも影響されるが、もしモップにラグを当てたくないというのなら、いっそラグを敷いた部分を禁止エリアに設定するのも有効だ(自動的にラグのエリアを認識してくれるので、禁止エリアにするのも簡単)。あるいはラグ掃除時はモップを濡らさないよう、拭き掃除とは個別に設定しておくのも良いだろう。

メンテナンスは5〜6日ほどに水を換えるだけ

 『Qrevo Curv』の充電ステーションは、モップの洗浄機能および乾燥機能、ロボット掃除機が吸い込んだゴミの回収などの機能を備えている。

 上部の天板を持ち上げると、ゴミを回収する紙パックと、水のタンクが確認できる。

 紙パックは奥側に格納されており、普段は見えないように蓋が付いている。ステーションがゴミを回収するにはどうしても騒音(吸気音)がするものだが、『Qrevo Curv』の吸気音はそれほどうるさくなかった。例えるなら掃除機のモーター部分に毛布をかぶせたようなこもった音になっており、同価格帯の充電ステーションの中では控えめな音量といえる。

 水タンクは、モップを洗浄するための清水タンク(写真右)と、洗浄後の水を溜め込む汚水タンク(写真左)に分かれている。毎日の掃除後、水拭きを終えたロボット掃除機は清水タンクの水を使ってモップを掃除し、汚水タンクへと水を溜めていくわけだ。清水タンクに十分な水が溜まっていない場合は、アプリから通知が飛んでくる。

 こちらは汚水タンクが溜まった状態。清水タンクの水に比べて、いくらか濁りがあるのがわかるだろう。毎日水拭き掃除をしてもらっているのに、まだここまでの汚水が出てくるのかと驚くばかりだ…。実際に汚水タンクをひっくり返すとホコリなどが出てくるので、床が綺麗になっている実感もある。

 筆者の使用環境では、約5〜6日間隔で「清水タンクが空になりました」とアプリから通知が来た。通知が来たらタンクを取り出して、清水を満水に、汚水タンクは中身を取り出して軽く洗浄。これが最低限のメンテナンスとなる。

禁止エリアや掃除スケジュールはアプリから

 近年のロボット掃除機は、何をするにもアプリが必須。初期設定や掃除のスケジューリングなど、あらゆる設定はアプリから行う。

 とはいえ導入初期に軽く設定をしておけば、普段はアプリを使う必要はない。ロボット掃除機自身で「ここは段差があるから止まりますね」「ここで部屋が切り替わっていますね」のように認識をしており、そのログはアプリにも残る。

 センシングについてはロボット掃除機上部にLiDARを、前面にカメラを搭載している。コードやスリッパなどの障害物もある程度は認識してくれるが、やはり完璧ではない。玄関にスリッパを置いて外出し、帰宅すると玄関側にスリッパが落ちていることも何度かあった(ロボット掃除機が押して落としていた)。

 そんなときはユーザー側で進入禁止エリアを設定するのが有効。コードがまとまっている場所、ロボット掃除機が引っかかりがちな椅子の付近など、危なそうな場所にはあらかじめ進ませないようにしておくわけだ。

 掃除をする時間や日程のスケジューリング、部屋ごとにどんな掃除をするかなど、アプリからは柔軟な掃除設定が可能。例えばキッチンではモップの水量を増やしたり、子どもが遊ぶエリアだけ一日に数回掃除させたりも可能だ。音声入力にも対応しているが、そもそもロボット掃除機は人がいない時間帯に動いて欲しいものであり、その場で「リビングを掃除して」と言いたくなるニーズはあまり感じなかった。

現代のロボット掃除機の最先端がここ

 『Qrevo Curv』の大きな特徴として、最大4cmまでの二層の段差の乗り越えが可能というものがある。我が家には段差がなくその機能は試せなかったが、ドアの段差や引き戸の足元などを超えて掃除ができるロボット掃除機というのは、とてもユニークだ。

 ロボット掃除機において20万円近い価格は、どのメーカーでもフラッグシップクラスとなる。『Qrevo Curv』は、機能面に注目すれば価格相応で文句は一切ない。だが、独特なデザインの充電ステーションは、他メーカーのフラッグシップモデルのステーションと比べるとやや大ぶりではある。

■各メーカー同価格帯モデルの充電ステーションのサイズ(奥行き×横幅×高さ)
・Roborock Qrevo Curv…450×450×450mm
・ECOVACS DEEBOT X8 PRO OMNI…350×477×533mm
・Dreame X50 Ultra…340×457×590mm
・Roomba Combo 10 Max Robot…401×510×446mm

 比較してみると、「Qrevo Curv」の充電ステーションは奥行きが特に広い。曲線デザインは確かに魅力的ではあるが、貴重なリビングのスペースを使うほどかどうかは一考の余地があるだろう。個人的には充電ステーションのサイズ感よりも、天面が曲面ゆえちょっとしたモノを置くのも難しい(スマホなどを置くと滑り落ちてしまう)のが、気になる機会が多かった。

 筆者宅に友人が遊びに来た際は、「それ、ロボット掃除機? そうは見えなかった!」とまで言われた。家電っぽさをデザイン性で隠すアプローチは、ロボット掃除機においてはまだ例が少ない。映えるロボット掃除機、なおかつ性能も最高クラスという『Qrevo Curv』は、これこそリビングに置きたい掃除機だと思わせてくれた。

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