FRUITS ZIPPERが届けた“超めでたい”青春の贈り物 サプライズがつなぐアイドルと人の物語『FRUITS ZIPPERの超めでたいさぷらいずTV』

一見するとシンプルな企画構成のようだが、そこに込められた熱量や感情のやりとりは、従来の“アイドル番組”とは一線を画す濃度を持っていた。単なるドッキリや仕掛けものではなく、“人生の節目”に向き合う真摯さが、視聴者の胸を打った。その構造の中で浮かび上がってきたのは、彼女たちがアイドルである以前に“人として”誰かの背中を押そうとしているという姿である。番組の幕開けを飾ったのは、FRUITS ZIPPERがとある高校の卒業式に潜入し、式典の最後にサプライズでライブを披露するというものだった。関係者以外には一切情報を伏せた上で、生徒たちにバレずに会場入りする緊張感。そして緞帳が上がると同時にステージに現れた7人の姿に、卒業生たちは驚きと歓喜の声を上げる。
注目すべきは、ライブパフォーマンスそのものだけでなく、そこで巻き起こる“化学反応”のような空気感だ。生徒たちがスマートフォンを取り出す余裕もなく、ただ目の前のステージにくぎ付けになり、彼女たちの動きに自然と身体を揺らしていく光景。それはまるで、アイドルという存在がスクリーンの向こう側ではなく、自分たちと同じ空間で「祝福」を届けてくれているという実感に満ちていた。
続く第2話では、卒業生たちへの“人生相談”がメインコンテンツとして展開された。ここでは進路や人間関係、新生活に対する不安を抱えた高校生たちのリアルな声に、FRUITS ZIPPERのメンバーたちが耳を傾けていく。
印象的だったのは、ある生徒の「大学で友達ができるか不安」という言葉に対し、仲川瑠夏が「何でもいいからサークルに入れってこと」と即答し、満面の笑みでエールを送った場面である。そこには台本的な“励まし”ではなく、本人なりの人生経験と、共感を込めた温かさがあった。まるで年の近い“ちょっと先を歩く先輩”が、そっと背中を押してくれるような親密さが、その場に流れていたように思う。
そして、その空気の延長線上で涙を流したのが月足天音だった。卒業生のメッセージに涙を流したその姿に、メンバーたちからは笑いとツッコミが入りつつも、画面越しに伝わってくるのは、彼女たち自身が“送り手”でありながら、同じように人生の節目を重ねている存在であることだ。






















