恋愛はいらない? ならば何が欲しい? 現役女性アナウンサーの“引き出し力”に感嘆した『ラブパワーキングダム』3話

『ラブパワーキングダム』3話

重きの置くのは、“戦略”か“恋愛”かーーけいし&めるの対照的なスタンスが顕在に

 オンエアも3話目を迎えて、視聴者もそろそろ、こんな疑問を抱きつつあるのでは?ーー結果的に、この番組では恋愛をすべきか。あるいは、すべきでないのか。

 かくいう筆者もこの問題に頭を悩ませているのだが、恋愛に没頭するには、流れに身を任せればよい。だが、もしそれを選ばず、周囲を騙しながらひたすら“モテ”の沼に叩き落としていくこと。こんな修羅の道の先に、本当にキングとクイーンの称号は待っていてくれるのか? 今週のオンエアでは、こうした問題についてあくまでメンバー数名のため、性別ごとの絶対的な意見ではないのだが、男女間での対照的な捉え方が大きく映し出された。

 注目したいのは、める。いっせい(森長一誠)とともに、多くの異性の好感度を上げようと、ライバルたちに比べて積極的に動いているメンバーである。そんな彼女が2日目夜、けいし(荒井啓志)と2ショット。処世術ではないが、この後の展開を見越して「長く生き残りそうな人に“私、あなたに投票したよ”」と囁くのが効果的だと、賢い戦略を伝授された。この場面ではメンバーの恋愛的なやり取りについて、スタジオから「本当なんてないのかも」との言葉が漏れたが、何がリアルで何がリアルじゃ無いか。そんなこと誰にわかるというか。

 ただ、めるはこの意見には反対らしい。3日目に入り、今度はあり(亜莉)と2ショットしたときのこと。「勝ち進むには、ちゃんと恋愛した方がいい」「恋愛ってさ(振る舞いに)差がつくじゃん。興味ある人とない人の。そうやって人間らしいところを出していった方が信ぴょう性があるから、ゲームには残りやすいかな」と、前述のけいしとは少し異なる持論を述べていた。

 筆者は先ほど「男女間での対照的な捉え方が大きく映し出された」と記したが、厳密に言うと少し違う。本番組においては、けいしの考える戦略(あるいは頭脳)も、めるの求める恋愛(あるいは気持ち)のどちらも必要。言い換えれば、“静”と“動”の両方が必要であり、それを自覚的に操れる者が、真のキング&クイーンとなるのだろうし、けいしも恋愛をまったく意識しないとは言っていない。とはいえ、これはけいしの特性かもしれないが、負けん気の強さからキザな一面まで、ときとしてそれは“みんなにいい顔をしようとしている感”として見えてしまい、女性陣としては彼の言葉すべてがウソに聞こえてしまうらしい。

 実際、3日目には男性同士でのトルコ相撲対決をしたのだが、下馬評ではけいしはあえて勝負に真剣にならず、いわゆる“斜構”な姿勢でスカしてしまうのではないか、との声が。最終的に、この対決でけいしは準決勝まで進むも敗退。その際、誰よりも勝ち負けに悔しがる姿から、女性陣には彼のこの共同生活に懸ける本気度が伝わったようだ。けいし、見事に“蛙化”を回避。とはいえ、前述のような彼の負けん気の強さや、それゆえ“みんなにいい顔をしようとしている感”は結果的に……。

あかね(瀧山あかね)が示す“第3の解” 話していて気持ちよくさせる魔性の“引き出し力”

 そんななか、“第3の解”を提示し続けているのが、あかね(瀧山あかね)。初日から、選ばれし者たちのグループ行動には必ず招かれ、かつモテVOTEでも常に上位層にランクイン。彼女はとにかく“魔性”のメンバーである。

 というのも、前述のけいしやめると異なり、ゲームの進め方、あるいはどのようにモテていくかなど、あかねは自身の本心をほとんど漏らさないのである。それを語るとしても、ソロインタビューの場面のみ(もはや、我々視聴者に向けた言葉すら、ホンモノなのか疑いたくなるのだが)。周囲のメンバーからしてみれば、彼女の本心が読めないだけに、絶対に敵に回したくはない存在のひとりに違いない。

 加えて、あかねの恐ろしいところは、相手の気持ちを引き出して、話していて気持ちよく感じさせるのがとにかく巧みなこと。これはアナウンサーという職業柄なのか、あるいは過去の恋愛経験のなかで培ったのか。それとも天性のものなのか。とにかく“魔性”。今週も彼女を本命指名するひろき(田中宏樹)と2ショットした際、彼が今回のゲームに対する自信がないと弱音をこぼすと「でも上手に言えるでしょ?」「上手にウソついても大丈夫だよ」と、甘い言葉で勇気づける。ひろきから「どっかで一緒にデートしたい」と出てくると、「あかねも」と優しく全肯定をするのだった。全肯定女子の前で、男はなにもできない。

 賢さを選ぶのか、あるいは恋愛に重きを置くのかーーそもそも、その二項対立についてまったく触れないのか。あくまで数名ながら、今週のオンエアではメンバー個人のスタンスがより顕著に見られるようになった。

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