超待望の本格四駆『ジムニー ノマド』、ついに登場! キーワードは「4」「1.5」「5」だ

超待望の本格四駆『ジムニー ノマド』

 日本が世界に誇る小型四駆「ジムニー」に、三つ目の個性が表れた。その名も『ジムニー ノマド』。ノマドとはフランス語で遊牧民を意味するもの。つまりは、自由さ、広大さ、自然、道なき道を行く旅、そういったイメージに由来するネーミングである。『ジムニー ノマド』は日本発売に先んじて2023年より生産国であるインドをはじめ、アフリカ、中東、オーストラリア、中南米各国で販売され、好評を得ている。

 筆者は『モノ・マガジン』編集部時代、現行ジムニーが登場する前年の2017年夏に「冒険四駆ジムニー」という大特集を作ったが、これが大変よく売れたことを思い出した。取材した方々はみなアツかったし、読者もまたアツアツだった。「もっとこんな内容が読みたかったぞ!」と激励の手紙を頂いたのもいい思い出だ。そんな筆者ゆえ、ビッグルーキーに期待するなという方が酷というものだ。

jimny
1970年の発売以降、ジムニーシリーズは世界199の国と地域で累計約350万台が販売された。

『ジムニー ノマド』を読み解く三つの数字

jimny

 『ジムニー ノマド』の特徴は三つの数字、「5」「1.5」「4」に象徴される。順を追って解説しよう。まず「5」。

 5につく単位は「枚」、つまり5枚ドアであることだ。「ドアが5枚って……普通では?」と思っても無理はない。SUVはもとより、昨今の車は「前2枚+後2枚+リアハッチ1枚で5枚ドア」が一般的。しかし、この“一般的”な5ドアスタイルを誕生以来もたなかったジムニーにおいては、『ジムニー ノマド』がひとつの「挑戦」であることに納得いただけるだろう。

jimny
ドアが5枚という「昨今の当り前」がなかったジムニーにとって、『ジムニー ノマド』の登場は画期的なのだ!

 続いて「1.5」。これは排気量が1500㏄であることの意味。スズキの伝家の宝刀・マイルドハイブリッド仕様やターボ仕様はラインナップされず、ずばり、漢の1.5L自然吸気エンジン一本勝負というのも潔い。もとよりこれは『ジムニー シエラ』と同じである。ミッションは4速ATに加え、当然顔で5速MTもラインナップ。「ジムニーならマニュアル一択!」というのは信者的正解だが、「ATでジムニーが楽しめるのがいい」「ママも買い物で運転するからオートマでなければ」という声は大きい。

 

 最後に「4」。この数字にはふたつの重要な意味がある。まずジムニーが55年間「ジムニーであり続ける」根源的な要素つまり4輪駆動であることと、大人4人が快適に乗れる車格であること。まず4輪駆動だが、ここに価値を見出さないジムニストはいないだろう。初代ジムニーが誕生した1970年当時、4輪駆動車は特殊なクルマであった。現にジムニー誕生の立役者、鈴木修前相談役(故人)すらその当初においては「全輪駆動ってどういう意味?」と言ったというが、まずはプロユースとして、次第にレジャー用として、ジムニーは世界唯一のマイクロ4WDとなったのだ。

jimny
厳しい路面状況においてもバンパーやアンダーボディが障害物に接触しにくいよう設計。この卓越した足回り設計が、ジムニーの悪路走破性を支えている。

 また大人4人が快適乗れる~といったふたつ目の「4」にも説明が必要だろう。一度でも『(軽)ジムニー』や『ジムニー シエラ』に乗ったことがある方ならお判りになる、はたまた、痛感するはずだが、4人乗りとはいうものの後席がヒジョーに狭い。そして後席を利用すると荷室がこれまたヒジョーに狭い。軽規格ゆえ仕方ないが、この点をもって、軽ジムニーやジムニー シエラを諦めたファミリーも多いはず。つまり「4」の示すところは、ジムニーを熱望するファミリーへの福音、つまり天使のラッパに他ならないのだ!

jimny
「窮屈じゃなく後席に大人ふたり乗れるじゃん!」「4人乗って、さらに荷物も積めるじゃん」と、既存ジムニーオーナーなら感涙必至! ジムニー シエラ比で全長+340mmの余裕がここにでる。

 

鈴木社長が発売に反対(!)した『ジムニー ノマド』

 1月30日、新宿にて開催された『ジムニー ノマド』発表会において、もっとも意表を突くコメントを発したのが、誰あろう鈴木俊宏社長だ。

jimny
スズキの代表取締役社長、鈴木俊宏氏。

「ジムニー ノマドのこのタイミングでの日本発売には反対したんですよ!」

「ええっ!?」と記者席から声が上がる。

 「それというのも、軽ジムニー、ジムニー シエラ共に納車待ちが続いているのに、いくらインドからの輸入車だからと言って今この状況下で、ご迷惑をかけずお届けできるのか、そこなんです」

 「月販1200台であれば、スズキ湖西工場での完成車チェックもしっかり対応できる、だからやりましょうと、社長を押し切り(笑)ました」と言葉を継ぐのは国内営業本部長の玉越義猛氏だ。

jimny
スズキ国内営業本部長の玉越義猛氏。

 1200台とは随分少ないなと思っていたが、なるほど、『(軽)ジムニー』、『ジムニー シエラ』に加わる『ジムニー ノマド』となれば、これで精一杯が正直なところなのだろう。そうそう、精一杯といえば

「価格の方もたいへん、がんばりました!」(玉越氏)

「ちょっと安すぎるんじゃないかと、文句を言いました(笑)」(鈴木社長)

 と二人が掛け合う、プライスタグにも注目だ。価格設定は5MT車で265万1000円〜。4AT車だと275万円〜のみとインフレ気味の日本としては、驚異的なお得プライス。カラーはルーフを塗り分けたツートーンが2色、ワントーンが4色の計6色を展開。カタログのメイン色は赤、その名も「シズリングレッドメタリック」だ!

jimny
これがカタログのメインを張る新色「シズリングレッドメタリック」。ブラックルーフとのツートーン仕様となる。

 1970年誕生。当年とって55周年という途切れぬ歴史の持ち主ゆえ、ファン・マニア・うるさ型がおり、コミュニティも多いジムニー。だからスペックやクロカン性能、ファミリーで楽しめるジムニーというライフスタイル提案についてはWEBでも誌面でも枚挙にいとまがない。それに今回は発表会レポートだから、乗り心地についても、

 「3ドアジムニーに比べるとホイールベースと全長が長くなった分、乗り心地もずいぶんよくなっています」(鈴木社長)

 とは言うものの、体験してみないことには鈴木社長の真意は判るまい。だから試乗レポートはきっとお約束したいと思う。

jimny

 『ジムニー ノマド』の発売日は4月3日の発売日を待たず、そのあまりの人気ぶりから注文停止となっているのはご承知の通り。しかし、待てば海路の日和あり。キミが『ジムニー ノマド』に恋焦がれるように、『ジムニー ノマド』もまた、キミがハンドルを握ってくれるのを待っているのだから。

◯商品情報
ジムニー ノマド
5MT車/265万1000円〜。4AT車/275万円〜。
https://www.suzuki.co.jp/car/jimny_nomade_jimny_sierra/

話題のヒロミ・カスタムカーも展示! 三菱のカスタム軍団が本気すぎる

毎年恒例の東京オートサロンにおいて、三菱自動車が提供するヒロミカスタムのトライトンと「メタルギア」シリーズとのコラボレーションが…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる