若手お笑い賞レース優勝コンビ「エバース」は“テレビスター候補”? 動画から垣間見える片鱗とは
いま、最も勢いのある若手芸人を挙げるとすれば「エバース」と答えたい。『M-1グランプリ2023』敗者復活戦で披露したネタ「ケンタウロス」で話題となり、上方漫才大賞、ツギクル芸人グランプリ、ABCお笑いグランプリなどの大きいお笑い賞レースで爪痕を残し、先日行われた『NHK新人お笑い大賞』ではついに優勝。今年のM-1グランプリでも優勝候補の一組として数々のメディアで名前が挙がっている。
青いスーツに甘いマスクのボケ・佐々木隆史と、身長180センチを超える巨体で刈り上げ頭のツッコミ・町田和樹からなるコンビで、特殊なリアクションやツッコミがあるわけでもない、あくまで自然な会話を軸にして展開される王道のしゃべくり漫才は「文字に起こしても面白い」。一度ネタを見れば2人の虜になることは間違いないだろう。
そして、その魅力は漫才だけではない。漫才の会話が面白いということはイコール「漫才以外の会話も面白い」ということなのだ。彼らのYouTube「エバースチャンネル」ではネタ動画以外にも様々な動画がアップされている。
基本的には、どちらも1993年生まれの同い年で、現在もルームシェアをしているという2人の空気感から生まれるトーク動画が中心だ。佐々木がポケットモンスターの初代ポケモン151匹を言う代わりに町田がいままでLINE交換したキャバクラ嬢の名前を151人言う回、町田が行く3対3の合コンに神保町よしもと漫才劇場所属芸人の誰を連れて行くのか決める回、『天空の城ラピュタ』を見たことがない町田にほとんど内容を憶えてない佐々木が内容を教える回、AKB48のミュージックビデオ再生回数のトップ10を当てる回、お互いが当時お世話になったセクシー女優で野球チームを組む回、2023年にドラマ『古畑任三郎』を放送するなら犯人役を誰にするかを考える回など、2人の趣味嗜好と関係性を知ることができる。老若男女誰が聞いても面白いトークばかりだが、特に「平成初期生まれ」であれば、彼らが触れてきたコンテンツや価値観が刺さり、より楽しめるだろう。
またエバースチャンネルの「メインコンテンツ」とも言えるのが町田だ。まるで漫画『東京卍リベンジャーズ』(講談社)のキャラクターのような強面な出で立ちからは想像しにくいが、いじられたときのリアクションの面白さと愛くるしさは、すでにテレビスターの風格すら漂っている。それを実感できるのが町田が異常な速度で早食いに挑戦する動画で、町田和樹という人間がどんな存在なのかが視聴者に伝わるだろう。途中でどんな事態が起きようともいっさい動じることなく集中して早食いに興じるその姿に「只者じゃない」と思わせられてしまう。個人的にはオードリーの春日俊彰のような、ただそこにいるだけでなにかが起きる凄まじいオーラを感じた。
そして、そんな町田の魅力を120%引き出しているのが佐々木だ。時に暴走する町田の手綱をしっかりと握り最も面白い方向へと導いていく。「町田がキャバクラ嬢を落とす方法を教える」回では、キャバクラ来店回数が数百を超えるとてつもない経験則を誇る町田がガチデートに行ける方法を伝授してくれるのだが、「都心部ではなく地方に行く」「週3回以上出勤しているキャストはNG」「2回目以降は店に行かない」「自分の話はほとんどしない」と、恐ろしいほど具体的にそのテクニックを熱弁する横で聞き役に徹しながらも「本当は?」と矛盾を詰めることで町田のプランをどんどん崩していき素の面白さを引き出していく。私生活では佐々木がネタを作る代わりに町田が家事を担当しているらしいが、この絶妙なコンビ間のパワーバランスにエバースの魅力が現れているのかもしれない。
エバースというコンビ名の由来は野球用語「バントの構えからバットを引いて投球を見送る動作」から。今年確実にその名を全国に轟かす彼らの存在を、誰も見送ることはできないだろう。
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