FNATICとの共同開発でゲーマーにとっての“超万能機種”に 『INZONE M10S』先行レビュー
最大リフレッシュレートは480Hz! 未体験の“高フレームレート”の世界へ
画質面での表現力の高さや幅広さから、普段使いでも十分に効果を発揮することが分かった上で、ここからは『M10S』のもう一つの特徴でもある高フレームレート/応答速度に着目して確認を進めていく。ちなみに今回の検証はGPUに『GeForce RTX 3060 Ti』を搭載したPC環境で『VALORANT』を対象に実施しており、基本的なグラフィック設定は「高」、解像度はフルHDにセットしている。
その結果、通常時で平均250fpsという数値を出してくれた。そもそも普段の筆者の環境では144Hzのモニターを使っているため、この時点で未知の領域なのだが、実際に試してみると、(よく言われる通り、人間の目で見える映像は約60fpsとされるため、もはやこうなると感覚レベルではあるものの)視界に入る出来事の一つひとつ、たとえばエージェントが一瞬だけ垣間見える瞬間などを的確に捉え、画面内の出来事にシームレスに反応するような、まるでモニターが自分の目と一体となったかのような感覚に驚かされる。
高フレームレートはもちろんだが、前述したように『M10S』は輝度と色の表現力に優れたモニターであり、視界に映る要素の変化を的確に捉えることができるため、こうした感覚を実現することができるのだろう。まさに、eスポーツ水準の“本気のゲーミングモニター”としての真価が、十分に発揮されているというわけだ。
こうなってくると、せっかくなのでさらなるフレームレートを追い求めてみたくなるのだが、480Hzの壁は高く、どれだけグラフィック性能を落としても、もはやPC側の性能が追いつかない。
そこで今回は、そこまで性能を求めない一方で鮮やかな表現に定評のある『ULTRAKILL』を使ってフレームレートの高みに挑んでみることにした。その結果、叩き出したのは平均360fpsというさらなる未体験ゾーン。
実際に試した感覚としては、あまりのフレームレートの高さにあとちょっとでモニターの中に入れるのではないかと思ってしまうほどの没入感と、高輝度/コントラストの世界に広がるおびただしいほどの鮮血と攻撃エフェクトの数々にあまりにも圧倒されてしまい、もはや身の危険すら感じてしまうほどだった。
より高性能の環境であれば、恐らくは480fpsも実現できるだろうし、eスポーツタイトルに慣れ親しんでいるというプレイヤーはもちろん、未体験ゾーンに突入してみたいという方にも、是非オススメしたいと思う。
27インチと24.5インチの“いいとこ取り”が可能
画質やフレームレートなどの性能の高さに加えて、eスポーツを徹底的に意識した『M10S』ならではのユニークな機能も存在する。モニターの表示サイズを本来の27型から24.5型に切り替えることができる「24.5インチモード」だ。これは、実際の競技シーンで広く使われているモニターが24.5型であることに由来するもので、このモードに切り替えると24.5インチサイズのモニターとして使用することができる(表示位置はセンターかボトムを選択可能。余白は黒く表示される)。
驚くべきは、まるでもう一つのモニターに切り替えたのではないかと感じられるほどに、表示に違和感がないということ。バックライトなどの余計な発光がないため、余白の部分が気になることもなく、画面にしっかり集中できる。これは有機ELであることの大きな利点だ。
実際、27型サイズだと、タイトルによっては画面に表示されている全体の情報を捉えるのが難しい場合があり、特にFPSでは非常に高い効果を発揮してくれる。この辺りの仕様からも、『M10S』がカジュアルなプレイヤーからeスポーツの競技シーンまで幅広く対応できることを目指して開発され、その目的を実際に達成していることが分かる。このモードでも、ここまでに書いてきたような機能や魅力はそのまま発揮されるため、好みやプレイスタイルに合わせて、自分に合ったものを選ぶのが良いだろう。
今回は約1週間ほど『M10S』を試用することができたのだが、製品をダンボールから取り出すところから、実際にeスポーツ系タイトルをプレイするに至るまで、その取り回しの良さや高輝度/コントラストの表現力の高さなど、隅々までゲーミングモニターとして見事な性能を発揮していることを十分に確認することができた。
単に性能を突き詰めるだけではなく、デザイン面においてもしっかりとゲーマーに寄り添った仕上がりとなっており、eスポーツ系タイトルを中心にプレイする層はもちろん、カジュアルなプレイヤーでも十分にその真価を味わうことができるのではないだろうか。
『INZONE M10S』は2024年10月25日より発売予定だ。