THE PRIMALSが振り返る“チャレンジ”の夏 フェス、東京ドームを経て舞台は「横浜アリーナ」へ

クリッシーをボーカルに迎えた新曲「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」

ーー9月7日には、『THE PRIMALS - Riding Home』をリリースします。

祖堅:前に出したCD以降にリリースした曲を全部入れちゃった、という。Blu-rayでしかリリースしていなかった曲も、全部リマスターし直して収録しています。気がついたらこんなに曲が増えていて、最初はCD1枚に厳選して収録しようと思っていたんだけど、選曲をすればするほどどうやっても1枚には収まらなくて、「じゃあ2枚組にして全部入れちゃえ!」ってことで、こうなりました。

イワイ:並べてみると、この曲数は恐ろしいです。これだけ弾いたんだなって。

『THE PRIMALS - Riding Home』ダイジェストPV

ーー新曲「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」も収録されていて、新たな女性ゲストボーカルとして、アメリカのオルタナティブバンド「Against The Current」のChrissy Costanza(以下、クリッシー)さんを迎えています。

祖堅:いまのところ、みんなの反応はめちゃめちゃいいです。思っていた以上の良さで、クリッシーさんの声のハマりも良かったし。経緯としては、もともとゲームチーム側から参考曲として挙げられたなかに、クリッシーさんのバンドの曲もあって。クリッシーさんがゲーマーだという情報も入っていたので、じゃあ声をかけちゃったほうが早いじゃん! ということでお声がけさせていただいたら、「ファイナルファンタジーシリーズが大好きだから、ぜひ!」とおっしゃってくださったのでお願いしました。

ーーゲームを介してこういうコラボに発展するのは、世界的なゲームだからこそですね。レコーディングはどんな風に行われたのですか?

祖堅:リモートだったんですけど、クリッシーさんがAgainst The Currentの欧州ツアー中で、スケジュールの調整も大変だったと思いますが、そんななかでもなんとか録ってくれました。

ーーこういう疾走感のあるイントロで始まる曲は、ありそうでなかった気がしました。

たちばな:たしかにそうかもしれないです。

祖堅:大体クサイ感じで始まるから、こういう風に「おりゃ~!」って始まるのは、たしかにそうかも。まあでも、ゲームで流れるタイミングが、そういう感じですから。

GUNN:テンポ感もいいし、これを音源に封じ込めるにはどうしたらいいか、すごく考えました。ドラムが炸裂していてカッコイイです。最初に聴いて、本当に久しぶりにびっくりしました。テツさん(たちばな)すげえな! って。

祖堅:コソ練したんですか?

たちばな:バリ練だよ(笑)。コッソリどころか、バリバリ練習した!

ーーイワイさんの楽曲の印象は?

イワイ:僕も速ぇなっていうのが一番でした。

ーーバリ練したんですか?

イワイ:いえ、僕はチョコ練です(笑)。でも演奏はすごく楽しいです。

ーーサビのクリッシーさんの歌声は胸をつかまれる感じで、おじさんたちが叫ぶコーラスがいいですね(笑)。

祖堅:実はコーラスを録り忘れてしまって(笑)。

ーーみなさんで歌ったのではなく?

祖堅:家で、たくさんの祖堅が録りました(笑)。まず8人分のキャラを作って、その8人が歌っているようにしなくてはいけなくて、コーラスとは言え意外と時間がかかってしまって。ちゃんと8人分キャラ設定しないとコーラスがグチャっちゃって。

GUNN:でも、よく録りこぼしを家で録ってるよね?

祖堅:そうですね。「Open Sky - The Theme from Dawntrail」も途中で「ヴォエ~」っていうデスボイスが入っているんですけど、あれも家で録りました。

たちばな:デス系忘れがち。

ーー『THE PRIMALS - Riding Home』リリースの同日には、1月に東京ドームで開催されたファンフェスのライブを収録した『And Back Again: Live Performances from the FINAL FANTASY XIV Fan Festival 2024』もリリースされます。率直に東京ドームは、いかがでしたか?

たちばな:ぶっちゃけた話、非常に戸惑いました。盛り上がってくれている様子は視覚的に入ってくるんですけど、みんなの声があまり聴こえてこないというか、圧があまり感じられないというか。建物の構造的な問題もあると思うけど、それで最初は「ん? 盛り上がっているのか?」っていう感じで、みんなキョロキョロしてしまって。リリースにあたって映像をチェックしたら、みんなバリバリに盛り上がっていてひと安心した、みたいなところがありました。でもやっていたときは不安で。

イワイ:なんかフワフワしていて、でも頑張らなきゃと思って必死でしたね。

祖堅:分かります。いつもなら、つかみにガッとつかみ取れる手応えがあるんですけど、いつまで経ってもつかんだ感触がなくて。でも、きっとつかんでいるはずだと信じてやるしかなくて、「行くぞ~!」って勢いよくやっているけど、内心はまあまあ不安だったりしました。

ーードームの魔物というやつですね。

GUNN:ですね。視覚的に見えるものと、歓声や圧みたいなものがリンクしなくて。より一生懸命やらなきゃという気持ちもあるし、「やれてるよな」「大丈夫だよな」っていうのもあるし。

たちばな:そういうときにこそ、演奏はちゃんとしようと基本的なことに立ち返ることができたのは、長くやっていて良かったと思えるところです。

ーー東京ドームに立ったという感動とかは?

イワイ:作品になったものを家で観て、「ああ~」ってやっと感動した感じです。ただやっている間は、「そんなことを考えている暇はねえ」って感じでしたけど。

ーーバックステージの映像も入っています。

祖堅:「東京ドームに挑む我々」みたいな映像が観られます。THE PRIMALSの映像作品にはメイキングがよく入るんですけど、毎回メイキングのできがすごくいいんですよ。映像監督の守屋さんが、すごく上手いんです。付き合いも長くてかれこれ10年以上だから、どういうことをしたいかお互いよく分かっているし、メンバーがどういうタイミングで面白いコメントを言うかも分かっているから、匂いを嗅ぎつけて面白い場面に駆けつけるんです。

ーーキャッチボールしているシーンも。

祖堅:こっちから「撮りにきて」と言ったことはないのに、気がつくと撮っているんです。

ーーイワイさん的な見どころは?

イワイ:見どころと言うか、最後まで止めることなく一気に観れるなって。自分が映っている映像作品はあまり観たくないタイプなんですけど、これは音楽としても映像としても楽しめました!

ーーそして、9月21日、22日には横浜アリーナで『THE PRIMALS Live in Japan Darkest Before Dawn』が開催されます。

たちばな:東京ドームのBDで予習して来ていただけたら!

ーー今回は朱雀のCVである南條愛乃さんが、2019年のファンフェス以来となるゲスト出演します。

祖堅:出てほしいと、常々思ってはいたのですが、なかなかきっかけがなくて。でも今回は『黄金のレガシー』できっかけがあったので、お声がけしたら「客席で観ていたかったんだけどな~」って(笑)。いつも我々のライブを観にきてくださっていて。

GUNN:でかいところはなんぼでもやっている方なので、横アリ対策をぜひ聞きたいです。東京ドームでも、結構アドバイスをいただいて。

祖堅:東京ドームは当日来られないということで、ゲネプロを観てくださったんですけど、「天つ風~白虎征魂戦~」で吉田直樹P/Dが登場するときの観客の目線誘導の仕方を教えてくださって。みんなで「さすがッス!」って。

ーー当日は南條さんのアドバイス通りに?

祖堅:できました。やっぱり、やっている方じゃないと分からないことってありますから、非常に助かりました。

ーー横浜アリーナへの意気込みはいかがでしょうか?

イワイ:盛りだくさんなので、全力で頑張るしかありません。頑張ります!

たちばな:楽しいステージになればいいなと思っていますし、お客さんも楽しんでいただければと。LuckyFesで初めて観て、ファンになって来てくれる人がいたらうれしいです。

GUNN:一生懸命準備をしていきますので、一緒に楽しめたらうれしいです。みなさんに喜んでいただけるように頑張りますので、期待していてください。

祖堅:前回の幕張メッセイベントホールでやったときは、まだ「ENDWALKER」の最中だったんですけど、いまはもう「DAWNTRAIL」も収録され、ゲームのうえではシーズン1が終わりシーズン2に突入した感じがあるので、シーズン1の締めくくりとしての音楽興行の見え方がやれるといいなと思っています。純粋に音楽だけで楽しめるライブにしたいのはもちろん、ゲームをプレイした光の戦士であれば、もっと得られる楽しみがたくさんあると思います。その二つを全うして、「幕張を超えたい」と思っています。

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