AIAIAI×Arturiaが展開する最新の音楽制作機材に感じた“確かな実力” ポップアップスタジオ「STUDIO A」レポート
デンマーク生まれのAIAIAI(アイアイアイ)と、フランス生まれのArturia(アートリア)。ともにユニークかつ独自性の高い製品を開発しており、質の高いプロダクトで人気を博す音響ブランドだ。
AIAIAIはデンマーク・コペンハーゲンを本拠地に、ロサンゼルスやベルリンにもオフィスを構えるオーディオブランドで、2010年のローンチ以来、北欧デザインの伝統に基づいたプロダクトを生み出してきた。製品が長寿命であることはもちろん、材質としてアルカンターラやビーガンレザーを使ったイヤークッション、スピーカーユニットからパッケージまでリサイクル素材を使用、サステナブルに重きを置いたものづくりで高い評価を受けている。主な使用アーティストにはベンジー・Bやケイトラナダなどがいる。
一方のArturiaは1999年、フランスのグルノーブルで設立され、「イノベーション」に重点を置き、最新のコンピューターミュージックの研究とテクノロジーを使った製品開発に日々取り組んでいるシンセサイザーブランドだ。独自技術「TAE(True Analog Emulation)」によって、往年の名機と呼ばれる『Minimoog』や『Jupiter-8』などのビンテージシンセの音色を再現、ソフトウェア音源として現代に蘇らせたことでも知られる。
筆者は先日、7月上旬まで開催されていたポップアップスタジオ「STUDIO A」を訪れ、2社の優れた製品に触れてきた。このイベントでは、気鋭のクリエイターたちによるワークショップなども催され、開催期間中の予約枠があっという間に埋まるほどの盛況ぶりだったようだ。今回は、その貴重な体験で感じたAIAIAI&Arturia製品の魅力をお伝えしていこう。
中に入ってみると、白を基調としたシンプルな空間。ここで実際に触れることができた機材は『AIAIAI UNIT-4 Wireless+』『AIAIAI Studio Wireless+』『Arturia Astrolab』『Arturia Polybrute 12』を始めとする、2社の注目商品の数々だった。
サステナブルなオーディオ製品って? AIAIAI製品の斬新な製品設計
さっそくDAWを立ち上げて音を鳴らしてみる。真っ先に驚かされたのがモニタースピーカー『AIAIAI UNIT-4 Wireless+』である。無線周波数帯域を使用する独自システム「W+Link」により16msという超低レイテンシーを実現しており、まったく聴いていてストレスがない(もちろん、Bluetoothや有線接続も利用可能だ)。出音もスタジオモニターとして申し分ないフラットな音に感じた。
それでいて最大約20時間のバッテリー駆動が可能、1台あたり2.5kgという軽さながら、スタジオレベルの音を鳴らしてくれるというのは非常に頼もしい。コンパクトさも相まって取り回しが良いところも気に入った。これがあれば、どこでも普段の環境で音をチェックできる。
くわえて、専用の緩衝材やキャリーケースも販売されているので、たとえばキャンプなどアウトドアに持ち出しても優れたパフォーマンスを発揮してくれるだろう。「まさかこのミニマルなスペースでこんな音を出せるとは」と、思いもよらぬ出会いを果たした気分だ。
ワイヤレスヘッドホン『AIAIAI Studio Wireless+』も同様に無線とは思えないサウンドクオリティである。最大80時間の長時間再生が可能な高い省電力性能で、装着したフィット感も耳に優しい……のだが、それには一つ秘密がある。
本製品最大の特徴は、そのカスタマイズ性。ヘッドホン側の接続端子が両サイドに備わっているのでLRのどちらからケーブルを伸ばすか自由に決められるほか、スピーカーユニット・イヤーパッド・ヘッドバンドなどほとんどのパーツが取り替えられる。
7種類のイヤーパッド、6種類のスピーカーユニット&イヤーカップを自由に組み替えられるので、自身の求める“最高のサウンド”や“究極の使い心地”を追求することもできるというわけだ。
くわえて、万が一不具合で修理が必要になった場合でもパーツの交換だけで修理できるメンテナンス性の高さも魅力的だ。なるほど、こうした面でも「持続可能性(サステナビリティ)」が高い。