VRで体験する“異変”は本能が“ヤバイ”と警告してくる……! 『8番出口VR(The Exit 8 VR)』レビュー

8番出口VRをプレイしたら本能に警告された

VRで体験する“異変”は一味違った

 肝心の“異変”に関しては、基本的には通常版にあったものが現れる。ポスターの絵柄が変わったり、水が流れてきたり、右側の扉が開いたり……。初見の方ならびっくりするだろうが、すでに知っている方は“見慣れた異変”の登場に「キターッ!」と思えるだろう。

 ……しかしながら、内容は同じなのに“異変を見つける難度”と、見つけた時に感じる背筋がぞっとするような感覚は、通常版とまったく異なる。もちろん、よい意味で。

めっちゃこっち見てくるじゃん。

 異変を見つける難度に関していえば、通常版と比較してシンプルに難しくなったと感じた。理由は、VRならではの「視野の狭さ」にある。モニターで周囲を見渡しやすかった通常版に比べて、VRヘッドセットを装着して“自分の視点”で異変を探してみると、すぐ隣のものですら見逃してしまうので不思議だ。

 たとえば、下の画像を見てもらいたい。

 ほとんどの人が、一発で「蛍光灯、めっちゃ曲がってるじゃん!」と思っただろう。筆者だってそう思う。なんなら、この異変は通常版にも登場するので事前に知っているし。

 そんな筆者でさえ、実際に遊んでいる時は、“真下で見上げるまでまったく気づかなかった”のである。見つけた時には「えっ。いま、これ見逃してたの?」と驚愕した。本当に。

 “自分の視界”で探すという行為は、それくらい視野が狭まってしまうのだ。「なにかあるのではないか」と焦点を絞っていると、特に天井と足元は見落としがち。みなさんも注意して進んでほしい。

 そして、“見つけた時に感じる「ゾッ」という感覚”。文字通り“感覚”の話なので、人によって感じ方は変わるだろうが、VRホラーへの耐性がそこそこあり、通常版を予習済みの筆者ですら、VR版でホラー系の異変を見つけた時には体がぞっとしてしまった。没入感があるあまり、“異変”に対して本能が「ヤバイぞ!」と本気で警告してくるようだ。楽しくて仕方がない。

 たとえば、“通路に見知らぬスーツの男性がふたり立っている”という異変。

 通常版で体験した時には、「おっ、なんかおるやんけ」くらいでまったく驚かなかったのに、VR版では角を曲がった瞬間に現れたふたりが目に入った瞬間に「なんかやばい! 逃げろ!!」と本能に命令され、体がビクッとなった。全部知っている光景なのに、不思議なものだ。これで初見だったら……腰が抜けていてもおかしくない。自分の目と耳で感じる“異変”は、まさに“異変”であると強く感じられるものだった。

曲がった瞬間、反射的に逃げた。

 なお、VR版で新たに追加された異変もある。ネタバレになるため内容は伏せるが、通常版をやりこんだプレイヤーほど探すのが難しいかもしれない。筆者が見つけた時には「うお……まじかぁ……」と、かなりびっくりした。ぜひ楽しみにしておいてほしい。

目の大きさを手で図る筆者。

 そんな感じで、本能的に恐怖を覚える感覚に快感を覚えながら、ウキウキ気分で通路をお散歩してみた『8番出口VR』。試しに本気で挑んでみた1周目は10分ほどでクリア。ゲーム自体に大きな変更が加えられてはいないので、プレイタイムとしてはそんなものであろう。

 2周目以降は、“お知らせ”も登場して、異変収集にもいそしめる。いろいろな異変を探してみようとすればするほど、見落としが増えるのはなぜなのだろう。

 さあ、異変ハンターとして、今日もまた0番から歩いていこう。

追伸:本作で“地下通路”にハマった方。ぜひ千葉県成田市・成田空港の第二ターミナルと東成田駅を結ぶ地下通路を訪れてみてほしい。きっと気に入るはずだ。

新作『8番のりば』と『8番出口』はどう違う? 本家続編が提示した“新たな遊び心”の面白さ

5月31日、『8番のりば』がリリースとなった。『8番出口』のように多くのフォロワー作品を生むことができるだろうか。おなじシリーズ…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる