東京ドームを“XRの聖地”に 200名以上が参加した『enXross 2nd』ハッカソンレポート
最優秀賞に輝いたU.D「ウルトラ調査隊」はIPによる“デジタル拡張フォーマット”を披露
最優秀賞には、プレゼンテーション時に会場が湧いた「ウルトラ調査隊」が受賞。賞金300万円と、8月にシンガポールで開催されるXRカンファレンス『AWE ASIA 2024』への参加権が贈られた。
本プレゼンテーションで発表されたプロダクトは、「ウルトラ調査隊」という名称の通り、ARグラスとNFCカードを用いて、「ウルトラマン」に登場するIPたちをARグラスで楽しめるテーマパークだ。
腕に装着しているガジェットは3Dプリンターで専用のものを制作したとのことで、ARグラスとカード、腕のガジェットがセットになっているところは、かなり遊び心をそそる設計だと思った。
本プロダクトは、コラボするIPやカードのデザイン、配置などを変更することでさまざまなコンテンツに対応させることが可能。まさに、ARグラスを用いて「東京ドームを未来のゲームセンターにする」というアイディアだ。発展性や遊び心をもとに現実空間を“拡張”するような内容が素晴しかった。
チームU.Dは、受賞に際してのコメントで「ハッカソンを見たときからこれしかないだろうと思っていたし、以前から一緒にARのプロジェクトをやっているチームで参加したので受賞できて嬉しい」と喜びをあらわにした。
審査員長を務めたAR三兄弟・川田氏は「大切なのは、XRだからすごいのではなく、XRを使った上でどんな人を楽しませるかということ。今のところXRにハマっている人ってちょっと変わった人ですが(笑)、ガジェットをつけて“向こう側”で楽しんでいる人を見た時に、いかに一般の人が楽しそうだと思ってもらえるか、自分もやりたいと思ってもらえるかが大事」と語った。
最優秀賞を獲得したチームU.Dのコメント
発表後、「ウルトラ調査隊」のチームU.Dにお話を伺うと、「檀上では緊張して言えなかった」と、追加でコメントをしてくれた。
「本当はみんなでこの場を盛り上げたいというのが一番言いたかった事でした。僅差でファイナリストに選ばれなかった人たちもあわせて、ひとつのエンタメを作りたい。今後、今回の取り組みが実施されることになったら、今回参加されたクリエイター達みなさんで一緒になってやれたらと思います」
今回のハッカソンにおいて特筆すべきは、前述したようにファイナリストに残れなかった作品がパートナー特別賞に選出されるなど、ファイナリストと奨励ステージの作品のクオリティに大きな差がなかったことだ。優秀賞、最優秀賞に選ばれた作品は、クオリティはもちろん、プロダクトの意義やデザイン・設計から優れていたのは間違いない。しかし、それだけではない、レベルの高いさまざまな作品を見ることができた。
東京ドームシティという、さまざまな属性の人びとが行き交う特異な場で、こうしたチャレンジングな試みが行われていること自体に未来を感じるとも思った。
川田氏が話した、「XRにハマっている人はちょっと変わっている」という認識は、まだまだ世間の中にある。そんな中で、その可能性を信じ、技術研鑽を惜しまずに日々開発を続けているエンジニアたちに拍手を送りたい。
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