辻希美、YouTubeで「世間の目が変わった」 ブログにはない“生活感”に好評価が集まる理由

辻希美が語る「YouTube」を始めてからの人生

「子育てに正解はない」から、ハウツー動画はやらない

――ここ数年だと、片付け動画や料理動画など、日常の延長線上のような企画が多いイメージです。ありのままの姿を見せることに抵抗はありませんでしたか?

辻:もともとはありました。うしろで子どもがガチャガチャ騒いでいるし、部屋も汚いし……。でも、見ている方が「その汚さがリアルでいい!」と言ってくれたことで、ありのままを出そうと思えるようになりましたね。

 正直、いまとなっては「動画を撮ろう」と思ってカメラを回しているわけでもないんですよ。カメラを回すこと=私の家事に対するやる気スイッチをオンにしなければいけないので。いろんな意見はありますが、いまは「撮らなきゃ」っていうよりも、「みんな聞いて!」っていう気持ちでカメラを回していますね。だから、割と企画が似ちゃうことも多いんです。

――たしかに、そう言われると……!

辻:気づいたら毎回ハンバーグを作ってるか、衣付けしてますもん(笑)。もはや視聴者の方にもネタとして受け取られているので、いいんですけどね。私のなかで簡単というか、手抜きであることがバレています。私自身も、動画を見ながら「これ、前にアップしなかったっけ?」って思うこともあります(笑)。

【愚痴りながら】食べたかったピーマンの肉詰めを作ったけど、子どもたち用にはハンバーグちゃんと作りました!

――子育てや家事に関するYouTube動画では、育児のお役立ち情報や自分の経験をハウツーのように語る方も多い印象です。辻さん自身、一番上のお子さんは高校生。もはや先輩ママ的な存在ともいえますが、そういったハウツー企画は見当たりませんね。

辻:考えたこともなかったかもしれないです。というのも、私自身、あんまりハウツー動画を見ないんですよね。子育てに正解はないですし、人それぞれ違うので、自分の実体験は話すものの「こうしたほうがいい」と断言できることは少ないと思っているんです。

 それに、子育てって予想外なことだらけですからね。私自身、ひとり目を育てるときは、育児本通りにいかないことがたくさんあって。それがストレスになっちゃったんです。だから、それ以降は「育児本はあくまでも目安」と考えるようにしています。その通りに進むことが正解ではないし、自分を追い詰めることも嫌だったので。

 それよりも、私は大家族YouTuberさんの動画をめっちゃ見ます! 「なかよしだいかぞく」や「漆ちゃんfamily」とか。

【大家族】寝れなかったので9人分のお弁当を作って大家族ごはん

――そうなんですね! なぜでしょうか?

辻:大家族のお母さんを見ているだけで「自分なんてまだまだ」「もっとがんばらなきゃ」って思えるというか、パワーをもらえるんです。ご飯の量もすごいですからね!

 だから、自分自身の動画を通して「学びになった」というよりも、私が大家族の動画を見てそう思うように「パワーをもらえた」という方がいたほうが、うれしいのかもしれない。

「子どもの顔が写り込んでいないか」時間をかけて入念にチェック

――いまは週に3本ほどアップされていますが、動画はどのくらいストックしているのでしょうか?

辻:ストックが直近1ヶ月分を切ると焦りますね。家でカメラを回している日常動画が多いので、チェックする部分も多いんです。子どもの顔や学校関連のものが反射していないか、映り込んでいないか、細かくチェックしています。絶対にミスできないので、なるべくチェックの期間は長めに取っているんですよね。

――お子さんを出す・出さないの線引きや、気をつけている点はありますか?

辻:思春期の長女に関しては、一切出さない……というか、自分から出てこないです。なので、いないときに撮影するようにしています。もし声が入っているのも嫌なときは音声も切っちゃいますし、その子の状態に合わせて編集しているんです。

――それは、動画をチェックしているときに、お子さんにも確認するのでしょうか?

辻:確認しますし、カメラを回しているときも、子どもは「いま、撮影しているんだな」とわかっているので、機嫌がいいときや入りたいときは自分から入ってきますけど、そうじゃないときはスッといなくなります。子どもの意思が最優先で、無理強いしないことにしていますね。

 YouTubeが仕事であることは子どもたちも理解はしてくれているし、リスペクトしてくれているので、協力体制ではあるんですよね。反抗期のときも「もうやめて」とか「なんでいま、回してるの?」と言われたことはありませんでした。

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