”不動産の真実”について取り上げる動画が話題 おたくのやどかり社長とこく兄が語る「不動産の闇」

”不動産の真実”を暴露する動画、なぜ制作?

「オタクに優しい物件」から「オタクの社員がやっている素直な不動産屋」に

ーー「オタクに優しい不動産」というコンセプトを掲げていますが、オタクの方からはどんな要望が多いですか?

平田:最初はオタクに優しい物件に特化していましたが、最近は“オタクの社員がやっている素直な不動産屋”に転換しているので、一般の方が多いです。もちろんコアなオタクの方も結構いらっしゃって、たとえば防音の部屋を希望されることはありますね。ただ、防音室の導入された部屋は家賃が高いので、防音ではないけど、音が響きにくい部屋や、角部屋をご提案するなどしています。あとは配信するときにこの方向に向かって話すといいとか、机や吸音材をここに置くといい、といった細かいアドバイスをできるのがうちの強みです。

ーー予算の範囲内でニーズを満たせるように工夫するわけですね。

平田:要望を深掘りしていくと、結果的に防音でなくてもいい方もいらっしゃいます。丁寧にヒアリングをして、本当のニーズに合う部屋を提案することが、AIではなく人がやる意味であり、うちの強いところですね。

こく兄:顧客に優しいよね。仲介業者は普通、物件をバンバン契約させて仲介手数料をふんだくるのが仕事なんです。「おたやど」はそんなことを気にせずに、お客さんに合った良い物件をちゃんと紹介してるからすごいと思います。

平田:うちは営業のノルマがないんです。僕自身が元々ブラックな会社にいて、ノルマに追われながら、お客さんの要望に合ってない物件を契約させることもあったので、同じことをやりたくなくて、ノルマを排除しました。そうするとお客さんファーストで動けるので、「この不動産屋良かったよ」と口コミを広げてもらえるから、次に繋がるんですよ。

こく兄:格闘ゲーマーは、かなり多くの人がお世話になってるよね。

平田:おかげさまで。

こく兄:「おたやど」を紹介されて、実際に部屋を探してもらった人はみんな満足してるもんね。僕も引っ越すとき、結構難しい条件でお願いしたんですよ。そしたら「いや、ちょっと難しいです」とか言いながらも探し続けてくれて、最終的にかなり良い物件が見つかりました。

ーーゲーマーや配信者の方たちは、音や回線速度を気にされますよね。

こく兄:配信者は確実に気にしますね。防音室を入れるかどうかも考えないといけないし、そもそも部屋の防音性が高い方がいいし。あと回線は、僕らの生命線です。「おたやど」はビルの回線速度のデータをすべて持っているからすごいよね。

ーー“回線ガチャ”と言われるぐらい、当たりを見つけるのは難しいですからね。インフルエンサーさんやストリーマーさんの要望を叶えるにあたっては、苦労も多いのでしょうか?

平田:こく兄さんぐらいビッグな方だと結構大変ですね。真剣に対応して、3ヶ月かかりました。

ーー具体的にどんなところが?

戸倉:入居審査ですね。検索したらこく兄さんってすぐにわかっちゃいますから。当然動画の内容も見られるので、声が大きめだと判断され、審査落ちとなることもありました。

ーー騒音問題の観点ですかね。

平田:インフルエンサーさんやストリーマーの方たちの審査に関しても、手厚くサポートしています。こく兄さんほど有名ではない方たちの場合、たとえば“YouTuber”ではなく広告業としたり、“ストリーマー”ではなくGoogleから広告をいただいてる職業、という言い方にしたり。ストレートに言うと聞こえが悪いみたいで。

こく兄:いろんなやり方で頑張ってくれるんですよ。

不動産業界をクリーンに リアル『正直不動産』が目指すこと

ーーオタク社員が顧客に真摯に向き合う不動産屋として、今後やりたいことはありますか?

平田:SNS等で発信して、不動産屋のシステムをより多くの人に知ってほしいです。引っ越しなんて人生で数回しかないですし、ほとんどの方がよくわかっていないんですよね。SNSでもインフルエンサーさんの宣伝でも、入口はなんでもいいんですが、僕らが伝えたいことがもっと広まるといいなと。だからこく兄さんの存在ってすごく貴重なんですよ。

こく兄:原状復帰のこととか、知らない人が多いですもんね。だからぼったくられちゃう。「おたやど」は仲介会社だから、出る時のことは教える必要がないんですが、そこまでちゃんと教えてくれるから優しいよね。

ーー退去時のことをまとめた投稿がすごく伸びてましたよね。最近では東京以外に拠点を広げられているのも印象的です。

平田:昨年の12月に大阪支店をオープンして、良い反響をいただいています。ただ東京とは結構差があって、その理由を調べた結果、東京店はリピーターがめちゃくちゃ多いことがわかりました。8年ぐらいやってますから。

ーー信用の表れですね。不動産屋と借主は一度きりの関係であることがほとんどですが、「おたやど」はそうではないように思います。

平田:仲介したあとに起こったトラブルにも対応しちゃってます。ある程度限界はあるので、声を大にして「全部サポートします!」とは言えないですが、うちを使ってくれた人に嫌な思いはしてほしくないので。

ーーこく兄さんが今後取り上げてみたいテーマはありますか?

こく兄:結構いろいろ取り上げてきましたが、やはり1番ぼったくられることが多い原状復帰について、もっとみんなに知ってほしいです。高額な回復費用を請求されていたのに、借主が「国交省のガイドライン(※)」について触れた瞬間に、金額が大幅に下がるといったことも多いので。不動産屋としては、面倒くさいからぼったくるのをやめておこうと考えるんです。

(※)国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

平田:そんな簡単に費用が下がるなら、最初からぼったくりだったとお客さんにバレますよね。

ーー直近では『正直不動産』のドラマが話題となるなど、業界をクリーンにするムードが高まっているようにも感じますが。

こく兄:それでもまだまだですよ。

平田:僕は漫画を全巻読んでますが、すごく深掘りされていて、後半にかけては僕でもやっとわかるぐらいディープな内容ですね。うちではもう少しライトな部分を発信できたらと思ってます。ちなみに漫画だから大げさに描いていると思うかもしれませんが、『正直不動産』に出てくる話は全部本当ですよ。

ーー「おたやど」は『正直不動産』をリアルに体現していますよね。今回だいぶ攻めたお話を聞くことができて良かったです。

平田:普段からこういうスタンスなので、いろんな方に絡まれますけどね。お客さんを騙して商売している業者が、うちの投稿を見て「商売の邪魔すんな」と文句をつけてきたり。でも最近そういう悪質なところは売り上げが悪化してるみたいです。

こく兄:今は借主側が強くなってきてますからね。ガイドラインができてすぐの頃、あまりに悪質な入居者に対して少額裁判をかけたんですよ。部屋中ぐちゃぐちゃで、物がまだ残っている状態で出て行ったので、さすがに勝てるだろうと思っていましたが、負けました。それくらい訴訟では業者側が弱いですし、悪いことなんてできないですよ。

平田:逆にぼったくられた側は、訴訟するといいですよ。少額訴訟なら結果もすぐに出ますから。

ーーすごくためになるお話ですね、ありがとうございます。

平田:最後に「おたやど」のちょっとユニークな採用条件の話をしますね。現在おたくのやどかりは創業8年目、グループ全体で従業員数約100名となっているのですが、未経験者がうちに入る場合、まず同業他社で1回修行してから、入社してもらうようにしています。そして、「前社で学んだことはすべて間違っていて、正しくはこうだよ」って教えるんです(笑)。詐欺を撲滅するには、まず詐欺のやり方を知る必要がありますからね。より説得力が増すんです。

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