『崩壊:スターレイル』アベンチュリンはなぜ「第2の主人公」に? 制作陣の愛と“ブラフ”とは
制作陣に対するアベンチュリンへの想いが伝わる情報の展開
ところで、このアベンチュリンを巡るバージョン2.1は、情報の露出という点で、これまでのHoYoverseとは異なる手法がとられていた。
そもそも『崩壊:スターレイル』の運営は、リーク対策の一環として積極的に物語の種明かし・ネタバレをすることで有名だ。2バージョン先のプレイアブルキャラクターが発表されたり、事前の告知生放送でボスキャラクターが誰であるかも堂々と発表されるなど、「ネタバレなしで物語を楽しみたければ、公式アカウントをミュートするほうがよい」と推奨されるほどである(とはいえ、ネタバレを見てしまった状態でもゲームを楽しめるよう努力するという姿勢を示してもいる)。
たとえば、『崩壊:スターレイル』で最高レアリティの星5キャラクターに実装される専用PVとショートムービーなどがまさにそれを示す良い例だろう。
PVの中では、キャラクターの根幹に迫る描写や新情報が分かることがある。何も知らない人でも楽しめるように作られているものの、真相の匂わせをしたり、推理が可能になる要素が盛り込まれていたりするのだ。
しかし、アベンチュリンに関しては徹底して表層の部分しか示されていなかった。ショートムービーも本編からの引用にとどめるなど、彼の真意についてはまったく触れていないのだ。専用PVにおいてもギャンブラーとしての側面しか描かれておらず、一切の匂わせはなかった。敵モンスターとギャンブルしている様子がひたすらに映されており、「いつも通り」賭けに勝っている様子を映しているだけだ。
一方で、HoYoverseが事前におこなった生放送では、アベンチュリンが主人公に立ちはだかるボスとして実装されることだけがなぜか告知されていた。アベンチュリンの「現在」と「結末」だけがわかる状態で、過程を徹底的に伏せていたのだ。
制作陣であるHoYoverseも、意図して伏せているのだろう。ネタバレされたプレイヤーでも楽しめるように物語を作っているとして、これまでは派手にネタバレをしてきたのにも関わらず、アベンチュリンに関しては徹底して情報を出さないようにしていることからもそれが伺える。アベンチュリンもHoYoverseも、「ブラフ」を張り続けているのである。
アベンチュリンが一体何者であるか。それについて語るのは、バージョン2.1のクライマックスの瞬間しかなかったのだと、プレイした今なら言える。
アベンチュリンがボスとして実装されることが生放送で示された時点で、アベンチュリンの運命は主人公に敵対し敗れることが決まっていた。そして、繰り返しになるがバージョン2.1はアベンチュリンの視点で描かれる物語だ。「なぜアベンチュリンがボスとして立ちはだかるのか」という、主人公の知らない事実をプレイヤーは知ることとなる。
アベンチュリンに関しては「結末に至るまでの過程」がキモなのだ。そして、ストーリーにおいても、同様のメッセージが込められている。
ここまでひた隠しにされたアベンチュリンの「ブラフ」の裏側に一体なにがあるのか。ぜひゲーム内で自分の目で確かめてもらいたい。
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