「ライブ配信サービスのリアルイベント」が生み出す“凄まじい熱狂” 17LIVEの『真・戦国時代』を観て

17LIVEの『真・戦国時代』に感じた熱狂

 コロナ禍で大きく需要を伸ばしたライブ配信サービス。これまでリアルサウンドテックでは、ライブ配信サービスによって人生が変わったライバーや、各サービスが行っている興味深い施策について取り上げてきた。

 そんなライブ配信業界だが、ここ1年ほどはオンラインだけで完結するものではなく、オフラインの施策が目立つようになってきた。筆者は先述したバックグラウンドからこの業界に興味を持ったため、ライブ配信サービスがオフラインでイベントを行うことの意義について、半分は理解しつつも、もう半分では懐疑的に思っている部分もあった。

 だが、先日訪れたイベント『真・戦国時代〜イチナナ大坂の陣〜』にて、そうした筆者の固定観念は見事なまでに壊れてしまった。普段はオンラインで活動しているライバーたちが一堂に会することによって起こる熱狂は、もはや新たなエンタメの形のひとつといってもいい。本記事では実際に会場となった帝国ホテル大阪を訪れた筆者が、現地で起こったこと、感じたことについて記していくことにする。

 まずは前提として『真・戦国時代〜イチナナ大坂の陣〜』とはどんなイベントなのか解説することにしよう。『戦国時代』は17LIVE(イチナナ)でも恒例となっているイベントで「実力者が三国に分かれての白熱のチーム対抗戦」が最大の特徴。紅ノ國/蒼ノ國/翠ノ國の3チームに分かれた約60名のライバーたちが天下統一を目指し、自国のライバーたちと結束して占領戦に挑んでいく。簡単に言えば「3チームに分かれたチーム戦と個人戦を組み合わせてギフティングで競うライブ配信バトル」といったところだ。

 開場時間になり、続々とライバーたちが会場へと集まっていくが、いきなり戦いスタート!とはならない。まずは事前交流会として、普段はオンラインで活動する各ライバーがコミュニケーションをとっていく。同じチームになるメンバーと挨拶&交流し、戦いへ向けての士気を上げた後は、いよいよバトルへと向かっていく。

 各円卓にリングライトとスマホスタンドが並んで、全員が一様にライブ配信をしている光景は、1卓だけだと異様に見えるが、15卓ともなると圧巻。これが新しいエンタメの形か……と気圧されてしまった。20年前にタイムスリップして「何をしている光景でしょうか?」といろんな人に尋ねても、おそらく一人も正解できないだろう。

 バトル前から繰り広げられる光景に気を取られていると、一回戦である北海道と九州を取り合う「南北争奪戦(チーム戦)」がスタート。出場者には「国順位に応じて【総合ボーナス】ランキングにボーナスポイントの付与」と「各国の1位に意気込みインタビュー権」が贈られるという。チーム戦ということもあり、開始前には各国がそれぞれに団結の声出しを行うが、いざ戦いがスタートすると各自がとにかく自分の配信を盛り上げる。戦国を意識した出立ちでそれぞれが着飾っていることもあり、着物や袴、甲冑、得体の知れないマスクまで、個性的な全身コーデを披露したり、コメントに反応したりとそのアピール方法も六十者六十様。南北争奪戦の結果、北海道を紅ノ國、九州を翠ノ國がそれぞれ制した。

 また、17LIVEの公式アカウントでは、戦況やポイントの獲得状況、MC陣による会場のレポートもライブ配信されていた。普段は正面の画でしか彼ら彼女らを見られない視聴者にとっても、別の視点からライバーたちを見ることができるまたとない機会なのだという。

 続いて、四国・関西・中部・関東のエリアを取り合う「総力戦(チーム戦)」へ。このパートはかなり各チームの思惑や途中経過を把握した上での方針転換など、戦略的な動きも見られ、オフラインの団体戦らしい面白さを感じることができた。戦いの結果、四国は紅ノ國、関西は翠ノ國、中部は紅ノ國、関東は翠ノ國をそれぞれが制する形に。占領した国の数が4つずつで並んだが、総合ポイントの差で紅ノ國がTOPに。各チームには「国順位に応じて【総合ボーナス】ランキングにボーナスポイント」が付与されたほか、1位の国には「所属ライバー全員に戦国コスプレコンテスト参加権&紅ノ國ベイビーバッジ2024」「ライバーへの現物プライズ」が贈られた。

 戦いの合間では、それぞれが席を立ち、違うライバーの配信画面に映り込んで一緒にトークをしたり、集合写真を撮る様子も見られた。17LIVEにはコラボ配信(グループコール)という機能が存在するが、こういったオフラインの場でしか成立しない偶発的な“リアルコラボ”もこの日限りの特別さがあっていい。

 8エリアの大将を決定する「大将決定戦(個人戦)」では、一度手を組んだ面々が今度は敵になるという、まるで少年漫画のような展開。大将決定戦で各エリア「北海道・東北・関東・中部・関西・中国・四国・九州」の1位になったライバーは、TOPライバーの“天下人”を決める最終決戦「天下人への道(個人戦)」への進出権と、それぞれのエリアの看板への掲出権が贈られた。その後「戦国コスプレコンテスト(個人戦)」を挟み、「天下人への道(個人戦)」へ。

 「天下人への道(個人戦)」では会場中央の金屏風ステージで、まさに頂上決戦に相応しい戦いが繰り広げられた。公式配信も人数が少ないこともあり、4分割で各ライバーをしっかりと見せる演出に。順位は「ななぴ」が1位と予選の勢いそのままに2連覇を果たすかと思ったが、中盤で「さら sara サラ」が逆転。しかし、終盤に「ななぴ」が再逆転し、「さら sara サラ」が再々逆転、さらに「ななぴ」が再々々逆転と、手に汗握るデッドヒートを繰り広げた。結果、1位は「ななぴ」、2位は「さら sara サラ」、3位は「りほやん riho」がそれぞれランクイン。「順位に応じた豪華プライズ」「順位に応じた真・戦国時代バッジ2024」「上位3名へのインタビュー権」「称号【戦国時代2024 No.1】」が贈られた。

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