話題の「AIカバー」「音楽生成AI」の法的現状とは? AI×知的財産に強い弁護士に聞く”問題点”

プラットフォームは「AIカバー」にどう向き合うか

――直近ですとユニバーサルミュージックグループがTikTokについてAIによる音楽使用についての問題も含める形で、非常に強い語調のステートメントを出していました。プラットフォームの責任という点についてはいかがですか?

山城:もともとYouTubeが立ち上がった00年代初頭などは権利侵害コンテンツが多かったですが、「コンテンツID」という権利者がコンテンツを管理するシステムを用いるなどして改善してきました。技術の進化とともに「AIカバー」のような投稿者側のコンテンツの多様化に、プラットフォームがどのように向き合うかはポイントになっていくでしょう。

柿沼:ほとんどのユーザーを握っているプラットフォームのなかでしかクリエイターが商売できないという問題は、AIとは無関係に以前から指摘されてきました。ゲームだったら「Steam」、スマホアプリを売るにも「Apple Store」や「Google Play」ばかりで高い手数料を取られてしまうと。

 それに加えて、AIがプラットフォームの力をさらに増強させるという懸念もあります。たとえば、彼らが保持する膨大なデータを、プラットフォームの利用規約を根拠に学習させてしまうような場合です。

最後に

 今回のインタビューを通じて特に印象的だったのは、「現行の著作権法のもとでは人間が創作意図をもって創作的関与をすることで著作権が発生する」という生成AIを用いた創作物にも適応できる著作権の発生基準が明確に設けられていることだ。今回の記事の内容を、クリエイターが生成AIを用いて作品を発表する際にも是非役立ててほしい。(編集部)

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