『Rise of the Ronin』完成披露イベントレポート 「幕末の再現」と「人間の因縁」に心血を注いだTeam NINJAの開発秘話

『Rise of the Ronin』完成披露イベントレポート

 3月17日、コーエーテクモゲームスは「『Rise of the Ronin』完成披露イベント プレミアム体験会」を開催した。本稿では現地の風景をはじめ、開発陣が登壇したステージイベントの模様をお届けする。

『Rise of the Ronin』日本版特別トレーラー

 プレイステーション5(PS5)用ソフト『Rise of the Ronin』は、コーエーテクモゲームスの開発グループ「Team NINJA」が手掛ける完全新規のオープンワールドアクションRPGである。

 時は1863年。黒船来航によって国体が揺らいだ日本を舞台に、プレイヤーは地位も名誉も失った浪人として、思想や立場が異なる人間たちと因縁を結びつつ、幕末の動乱を生き抜くことになる。筆者が今回取材したのは、そんな『Rise of the Ronin』を発売に先駆けて先行体験できるユーザー参加型イベントだ。

『Rise of the Ronin』プレミアム体験会・東京会場
『Rise of the Ronin』プレミアム体験会・東京会場

 3月10日に京都で開催された「PlayStation Presents PLAY! PLAY! PLAY!『Rise of the Ronin』 SPECIAL EVENT in KYOTO」に続き、3月17日は「東京タワーメディアセンター」内にプレミアム体験会場が設けられた。

『Rise of the Ronin』試遊コーナー
『Rise of the Ronin』試遊コーナー

 会場内の照明は控えめで、全体的に落ち着いた雰囲気。『Rise of the Ronin』が遊べるPS5が2台1組ずつ並んでいたほか、来場者や開発スタッフの手書きメッセージが書かれた大型パネル、作中に登場する装備品の設定資料、「坂本龍馬」や「ペリー」など主要キャラクターの等身大パネルが展示されていた。そして来場者は試遊コーナーで同作品の先行プレイだけでなく、展示物の鑑賞、後述するステージイベントの観覧を楽しむことができた。

約2畳のフォトスポット
約2畳のフォトスポット

動乱期の幕末をプレイヤー自身が切り開くオープンワールドアクションRPG

 ここからは、当日15時30分より行われた『Rise of the Ronin』完成披露イベントの模様をピックアップしながらお届けする。

 ステージに登壇したのは、同作品の開発を指揮した早矢仕洋介氏(プロデューサー)と安田文彦氏(開発プロデューサー兼ディレクター)。開会に際し、両名は「Team NINJAにとっても開発期間が一番長い。とても緊張しているがお客様に楽しんでいただきたい」(早矢仕氏)、「みなさんが実際にプレイしている光景を見て、発売を迎えることができるという実感が湧いた」(安田氏)とコメントした。

早矢仕洋介氏(左)と安田文彦氏(右)
早矢仕洋介氏(左)と安田文彦氏(右)

 続くパートでは、早矢仕氏と安田氏によって『Rise of the Ronin』で描かれる世界観やゲーム内容にまつわる説明が行われた。最初に触れられたのは、本作が時間をかけて作られたという開発背景。早矢仕氏は「2015年にはすでに原案が出来上がっていた」と明かし、「実際に開発が始動したのは『仁王』(2017年)の発売後。これまでの開発経験を活かし、Team NINJAらしいオープンワールド作品を模索した」と語った。

 幕末の動乱期を克明に描く『Rise of the Ronin』では、横浜・江戸・京都の3個所が広大なマップとして再現されている。早矢仕氏によれば、プレイヤーは各拠点を自由に駆け巡りつつ、「倒幕」「佐幕」「西洋」という陣営と邂逅し、自分自身で選択を繰り返し歴史の行く末を見届ける……というのが本作のコンセプトだと言う。また本作には、「坂本龍馬」や「井伊直弼」「マシュー・カルブレイス・ペリー」といった史実に名を残す偉人が登場する。そうした主要キャラクターに関しても、早矢仕氏は「思想はそれぞれ違えど、彼らなりに日本の未来を思い描いている。どの陣営に与するかはプレイヤー次第なので、選択肢で生じる物語の変化を楽しんで欲しい」と投げかけた。

『Rise of the Ronin』 | 武器・流派紹介映像「刀」篇

 オープンワールドアクションRPGを標榜する本作において、戦闘アクションはとりわけ重視されているポイントだ。安田氏は『Rise of the Ronin』のアクション要素について、「『仁王』シリーズは舞台が戦国時代だったが、本作は幕末ということもあり、和洋が入り混じった背景をゲームシステムに反映させた」と回答。気力ゲージを管理しながら攻撃・防御・回避を織り交ぜつつ戦う基本スタイルを紹介すると共に、「作中でプレイヤーが扱える武器は刀剣にくわえ、槍や薙刀、銃など様々な装備品が登場する」と答えた。さらに実際に存在した流派もゲーム内で再現されているほか、真正面から複数の敵と渡り合ったり、逆にステルス戦を意識した立ち回りもプレイヤー次第で可能だと言う。また気になる難易度は3段階に分けられ、ゲーム中に気軽に変更できるとのこと。安田氏も「アクションが苦手な方にもぜひ楽しんでもらいたい」と語った。

会場入口に設置されたメッセージパネル
会場入口に設置されたメッセージパネル

『Rise of the Ronin』の見どころは「人間同士の因縁」

 開発者2名による説明の後、全国のユーザーから送られた質問に回答する公開Q&Aがスタートした。

 最初に掲げられたのは、「『Rise of the Ronin』をオープンワールドアクションRPGにした理由」。Team NINJAが手掛けた『仁王』や直近の新作『Wo Long: Fallen Dynasty』がステージクリア型のゲームフローを採用していたのに対し、早矢仕氏は「プレイヤー自身に“幕末に生きている”という感覚を味わってもらいたかった」と回答。制作過程でさまざまな難題を突破し、「これまでとは違うオープンワールドアクションRPGとして開発した」と力強く語った。

 一方の安田氏は、作中の登場キャラクターやプレイヤーが操作する隠し刀の背景についてコメント。「『Rise of the Ronin』では縁を結ぶことが重視されていて、プレイヤー自身が操る隠し刀の2人にも同じことが言える」と明かし、「任務を全うするべく絆を結んだ隠し刀の2人は、家族や兄弟や友人とも違う距離感で描かれている。実際にプレイして彼らの関係性を感じ取っていただきたい」と語った。なお、本作では隠し刀の2名とも自由にキャラクターメイキングが行える。男性×男性、男性×女性、女性×女性……という風に組み合わせられるほか、ネットワーク機能を介して人気のメイキング設定をダウンロードすることもできるようだ。

『Rise of the Ronin』 |「Story」紹介トレーラー

 ステージイベントの終盤では、隈部宣道氏(ディレクター)による本作のデモプレイがお披露目された。隈部氏は拠点となる横浜の探索、フィールド上に点在するならず者の討伐を終えると、高難度ミッション「勝海舟の撃破」に挑戦。「リハーサル段階では勝率が5割ほどだった」と語られるも、コントローラーを握る安田氏は強敵とされる勝海舟と善戦。攻撃を受ける瞬間に発動可能な特殊アクション「石火」を使いこなし、見事に勝海舟の撃破を成し遂げた。

 実際に勝海舟の打倒に成功した隈部氏も含め、開発陣3名は来場者の拍手に包まれながらホッと一息。締めくくりとして、安田氏と早矢仕氏はそれぞれ「今日はお越しいただき本当にありがとうございました。幕末でお会いできることを楽しみにしております」(安田)、「本作はTeam NINJAの集大成という位置付けで開発してきました。ぜひ皆さんも一緒に楽しんでいただけたら」(早矢仕)とコメント。長い開発期間の末にユーザーへ作品を提供できる喜びを表したところで、完成披露イベントは閉幕となった。

 オープンワールドアクションRPG『Rise of the Ronin』は、PS5向けに3月22日に発売予定だ。

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