災害情報は『X』で確認 現役大学生のリアルな防災事情とは?

Z世代が考える災害対策

 地震大国である日本では、南海トラフ地震や首都直下型地震など、地震に対する不安からは逃れられないものがある。2011年に東日本大震災が発生してから、防災に対する意識が高まった人も多いと思うが、Z世代の学生たちはどうなのだろう。防災グッズなどを、家に常備している人はいるのだろうか。

 今回は、『ミスキャンパス同志社2024』エントリーナンバー1番の澤葵衣と、『ミスター&ミス中央コンテスト2024』エントリーナンバー5番の濱口花桜、そしてZ世代をターゲットにしたブランディング・マーケティング支援を行う株式会社bienoの代表取締役・奥原ゆきのに話を聞いた。

 なお、今回の取材はbienoが実地した「Z世代の防災事情」の結果をベースに進行する。(編集部)

防災グッズの中身は把握している?

ーーまずは、澤さんの自己紹介をお願いします。

澤葵衣(以下、澤):『ミスキャンパス同志社2024』エントリーナンバー1番の澤葵衣と申します。同志社大学社会学部社会学科の4回生です。大学では、おもに社会学について勉強しています。実際は、社会問題よりも怪談が好きなのですが……。

澤葵衣

ーー怪談ですか!?

澤:はい。社会学って社会のことなら、幅広く取り扱えるので、卒論で怪談の調査を行なっています。

ーーどのような調査をされているんですか?

澤:ホラーコンテンツが好きだと言う人には、どんな傾向があるのかとか。いろいろな人にインタビューをして、まとめているところです。

ーーそれは、面白そうですね……! 続いて、濱口さんもお願いします。

濱口花桜(以下、濱口):『ミスター&ミス中央コンテスト2024』エントリーナンバー5番の濱口花桜です。大学では、商学部経営学科に所属しております。わたしは、経営専門なので、会社の経営方法だったり、アントレプレナーシップ論だったりを学んでいます。

濱口花桜

ーー卒論は、どのようなことを書かれているのですか?

濱口:わたしは、卒論を書かなくても卒業できる学科なので、ゼミの方で地方創生をしています。東京都の檜原村のお土産開発だったり、そういったフィールドワークを中心に行なってきました。

ーーでは、ここからは今回のテーマ“防災”についてお聞きします。そもそも、おふたりはご家族と一緒に住まれていますか?

澤:わたしは、実家暮らしで祖父母と両親と一緒に暮らしています。

濱口:わたしも、実家暮らしです。祖母も一緒に住んでいて、ペットもいます。

ーーおふたりとも、三世代で住まれているんですね。奥原さんは、ひとり暮らしですか?

奥原ゆきの

奥原ゆきの(以下、奥原):ひとり暮らしです。

ーー防災セットなどは用意されていますか?

奥原:ひとり暮らしを始めたときに、Amazonで防災グッズを買ったので、それを玄関に置いています。ただ、わたし眼鏡をかけると気持ち悪くなっちゃうんですよね。なので、コンタクトレンズが足りなくなっちゃったら、視界が見えなくなってしまう……。だから、被災したら、どうしようと思っています。コンタクト関連のことって、困る人かなりいるんじゃないかな。

ーー澤さんと、濱口さんはご家族が用意されているのでしょうか?

澤:家族が用意してくれています。

ーー中に入っているものは、把握していますか?

澤:してます。非常食に、水に、怪我したとき用のバンドエイドや、携帯用トイレとか。必要最低限のものは、そのなかに入っていました。

濱口:わたしは、学生時代に支給された防災バッグを自分の部屋に置いています。食品は賞味期限が切れていてダメなんですけど、簡易トイレだったり、バンドエイドはそのまま使えるので。

Z世代にとって、東日本大震災とは

ーーZ世代のみなさんは、東日本大震災の記憶はあまりないのでしょうか。

澤:わたしは、ずっと京都に住んでいるので、震災も水害も実際に体験したことがないんです。いつかは来るものとして、危機感は持たないとと思いつつ、現実味がない感じがあります。

濱口:東日本大震災の揺れは経験しましたが、実際に避難所に避難したりしたわけではないし、当時小学生だったので、被災したという感じはないかもしれないです。

奥原:わたしは、東日本大震災のときは小学校5年生くらいでした。学校で、親が迎えに来るのを待っていたのを覚えています。

ーーみなさん、ご家族と「何かあったら、ここに集まろうね」など話し合いはされていますか?

澤:そこまで深くは話し合っていないです。ただ、祖父母から、「何かあったらここに行ったらいいよ」と地域の避難所を教えてもらったことはあります。

濱口:わたしも、すごく昔に「震災が起きたら、家の近くの小学校に避難してね」と言われた記憶があります。ただ、最近は話をしていないので、よく考えたらちょっと不安ですね。

奥原:わたしはひとり暮らしをしているので、誰に連絡をすればいいんだろう? という不安があります。たとえば、家ではなく外出しているときに地震や水害が起きたら、電話もつながらなくなっちゃうだろうし。公衆電話を使うにしても、小銭持ってるかな? とか。そもそも、実家に固定電話がないので、スマホが使えなくなったら、誰ともつながれなくなってしまう。それに、LINE電話での通話がほとんどで、家族の電話番号も暗記していないので心配です。

ーーインフルエンサーのなかには、災害についての啓蒙活動をされている方もいたりしますが、みなさんはそういった動画を見たことはありますか?

澤:おすすめに流れてきたことがないので、見たことがないです。多分、流れてきてくれたら、覚えておこうと思ってブックマークとかするんだろうけど……。

濱口:わたしも、見たことがないです。同世代の人の意見だったら、スッと入ってきそうだし、見てみたいです。

ーーZ世代のみなさんは、災害などの情報はテレビよりもSNSで入手することが多いのでしょうか?

澤:まずは、テレビのニュースでどういう状況なのか確認します。ただ、リアルタイムの情報を得たくなったら、やっぱり『X』を見ますね。

濱口:わたしも、揺れたなと思ったら、テレビをつけます。ただ、「これ、本当に地震かな?」くらいのちょっとした揺れなら、『X』で「地震」と検索をします。

奥原:あるあるだ〜! わたしも、小さな揺れだったら、『X』か『LINEニュース』のトップを開きます。

ーーSNSのなかには、災害予知みたいな情報を流している人も多いですよね。そういったものが回ってくることもありますか?

澤:ありますね。ただ、誰が発信しているかも分からないので、間に受けることはないです。

濱口:わたしも、あまり興味がないですね。災害が起きたあとって、必ず「大地震の前兆だ」とか言い出す人が出てくるじゃないですか。だから、「またか」という感じで。ただ、親や友人が「地震雲じゃない?」とか「雲がなんか変な感じだよ」と言っているとちょっと気になるので、まったく信じていないわけではないのかなぁ。

奥原:bienoscopeのアンケートでも、「SNSだけでは信用しないけど、テレビなどのメディアから情報を受け取ると信じちゃう」という意見が多かったですね。

ーー地震が起きた地域の映像が流れてくることもあると思いますが、しんどくなることはないですか?

澤:わたしは、そういう映像が流れてきたら、どんな感じなのかチェックをしています。同じ国で起きていることですし、自分がいつ同じ状況に置かれるか分からないので。ただ、それを見て自分ごとのように深刻に捉える……ということはないかもしれないです。でも、被災された方々の日常が少しでも早く戻ったらいいな…と感じています。

濱口:わたしも、あえて見ないとかはしないです。知っておくことは、大事だと思うので。ただ、実際に被災をした経験がある人は、精神的にしんどくなったりすることがあると思うので、拡散はしないようにしています。

奥原:『X』とか『TikTok』で世界中の様子が見られるからこそ、同じ国のことでもどこか達観してしまう部分があるのかもしれないですね。Z世代の情報収集の軸ってやっぱりSNSなので、SNSで流れてこないと、どれだけ訴えてもむずかしいのかもしれないです。それこそ、『Snapchat』では、災害AIフィルターみたいなものがあるんです。「災害が起きたら、煙がここまで来るから、これくらい身体を低くしましょうね」とかいう動画を見たときは、勉強になるなと思いました。

ーーやはり、みなさんの情報収集源はテレビよりもSNSなんですね。

奥原:コロナ禍のときも、コロナになった申請をしたら食料が送られてくるという情報は、『X』で知りました。それで、どんなものが送られてくるのか? というのは、『TikTok』で調べたり。

ーーだからこそ、防災グッズを持っておくことの重要さなどは、SNSを通して伝える人が増えるとありがたいんですよね。

奥原:たしかに。ひとり暮らしをしている友達で、ちゃんと防災グッズを持っていそうな子はいますか?

濱口:話したことがないので想像になりますけど、いなさそう……。親から持たされてとかならあるかもしれないけど。

澤:自分からは、なさそうですね。

奥原:防災グッズって、キットみたいなのを買おうと思ったら、1万円くらいかかりますもんね。大学生にとっては、手を出しづらいのかも。

ーー大学で地震が起きたらどうするかなどは聞いていますか?

濱口:ないです。想像したこともなかった……。小中高は、避難訓練があるけど、大学ではないので。ただ、きっと備蓄とかはあるだろうし、どうにかしてくれるだろうとは思っているけど。広いし、みんな泊まれるだろう! みたいな。

澤:わたしは、一度だけ大学で避難訓練をしたことがあります。でも、避難経路の確認くらいでサラッとやった程度で。やっぱり、小中高のときとは違うなぁと思いました。

奥原:そもそも、非常階段がどこにあるかも分からないし。夕方とか休日だと、ほとんど人がいないので、誘導してくれる人はいるの? とか、不安があります。小中高のときは校庭があったけど、大学だと木とかも多いし、ビルもあるし。どこに集まればいいんですかね。シミュレーションを始めると、分からないことがたくさんあるなと思います。

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