wacci・橋口洋平が『今日好き』提供楽曲に込めた想い 「青春時代なら違う歌詞が書けたとは思わない」

「天才肌」に「誰かになろうとしない感じ」……メンバーそれぞれの歌の印象

ーー「花束」の制作はどんなふうに進められたんですか?

橋口:「花束」というキーワードがあったので、その言葉をどういう位置に置くか、メンバーたちによとって花束とはなんなのか? ということを考えるところからはじめました。ひとりひとりが個性のある花で、それが集まることで花束になるというイメージもあると思うんですけど、自分としては、「みんなで集まった日々、一緒に過ごした時間こそが花束なんだ」というほうがシックリ来て。いつか束ではなくなったとしても、一緒に過ごした時間したときのことは消えることはない。そこから「さよならなんかに負けない」というサビのフレーズが出来て、それが自分のなかでストンと来て。

ーー「さよならなんかに負けない」「思い出は/さよならなんかじゃ枯れない」ですね。

橋口:はい。その後はけっこう早かったし、スムーズにできたねました。軸になる歌詞があると迷わないし、スッと書けたりするんですよね、やっぱり。みなさんからもらったワード(花束)にいい形で乗っかれたし、よかったです。

ーー曲調はミディアムバラード。生楽器の響きを活かしたバンドサウンドも歌詞の雰囲気にぴったりだなと。

橋口:ピアノ1本で合唱曲としても成立するし、バンドサウンドで青春っぽさを表現できたらいいなと思ってましたね。男性メインのパート、女性メインのパートがあり、最後はみんなで歌うという構成も最初から考えていて。(複数メンバーの)ボーカルグループが全員で歌うときのパワーって、すごいじゃないですか。それはバンドでは絶対に出せないものだし、今回もぜひ取り入れたくて。

ーーさらに男女のハモリのパートもあって。聴きどころ満載だなと。

橋口:キーの設定もいろいろ試しました。1番のAメロは男性メンバーが中心で、Bメロとサビは女性メンバーがメイン。2番のAメロは女性がオクターブ上で歌って、最後に大きな転調があって、全員で声を合わせて歌う。女性シンガーへの楽曲を提供させていただいたこともかなりあるので、その経験も活きてますね活かせているように思います。

ーー歌のレコーディングはいかがでした?

橋口:正直、大変でした(笑)。7人全員が揃う1日のみで全てを録るのは、大変でした(笑)。1人につき65分で順番に録っていったんですよ。55分1時間くらいで録って、僕とエンジニアさんの2人でセレクトして、エディットして、「次の人どうぞ」という感じで。限られた時間でしたけど、みんなすごくいい歌を歌ってくれて。仮歌のときとは比べものにならないくらい歌えていたし、たくさん練習したことがわかり、感動しましたね。

ーーメンバー一人ひとりの歌の印象についても教えてもらえますか?

橋口:はい。最初にレコーディングしたのは、ゆのん(中島結音)ちゃんだったんですよ。歌が安定してるし、ゆのんちゃんのボーカルを最初に録ることで、みんなの軸になってくれたと思います。彼女の明るさが声に乗っていて。しっとりした感じ、切ない雰囲気のなかで、しっかり明るさを出してくれたのもよかったです。

ーーたつや(南平達矢)さんは歌い出しを担当。

橋口:歌い出しはすごく大事だし、曲のはじまりをしっかり担ってくれましたね。たつやくん、いい声なんですよ。音楽経験があって、ミュージシャンとしてやっていきたい部分もあるみたいで。

ーーはなみち(植野花道)さん、さんざ(久保田燦)さん、くにはる(國本陽斗)さんはいかがでした?

橋口:はなみちくんは涙もろいんですよ。レコーディングでも泣いたりするのかなって思ってたんですけど、ぜんぜんそんなことなくて、笑顔で歌ってました(笑)。低めのトーンが優しくて、この曲にも活かせていると思います。僕も歌うときに低いトーンを大事にしているので、そこは共通している部分なのかな、と。さんざくんはとにかく元気。彼の熱量によって成り立ってる部分もすごくあると思います。リーダーシップもあるし、自分がダメなときは誰かに頼る素直さもあって。そういう力強さや優しさは歌にも出ているんじゃないかな。くにはるくんは起用器用というか、天才肌なところがあって。歌録りのスピードもいちばん早かったし、声もいいし、シンガーとしての地力があるなと感じました。ちょっとミステリアスなところも彼の良さですよね。

ーーるる(実熊瑠琉)さん、その(平松想乃)さんに関しては?

橋口:るるちゃんはかわいい声だし、歌い方にクセがなくて、まっすぐに聴こえてくるんですよ。すごく素直だし、誰かになろうとしない感じもいいですね。そのちゃんは自身自信がないタイプかなと思ってたんですけど、これまでの活動のなかでしっかり意思を持って、胸を張って歌えるようになって。「花束」のレコーディングもこちらの要望にハキハキと応えながら歌ってくれましたね。自信が乗ってくると、歌はすごく変わるので。

ーーやっぱりメンタルが大事なんですね。

橋口:そうだと思いますよ。メンバーのみなさんの歌を聴いてると、「歌は気持ちなんだな」と教えられますね。キャリアのあるプロのシンガーには感じられない力があるというか。

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