なぜゲームにラジコンや歌番組の応募券が? 今では考えられない“レトロゲームの付属品”たち

 さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年いろいろな意味であらためて注目されているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。

 連載第9回で取りあげるテーマは「ゲームグッズ」。古今東西さまざまなゲームを遊び、愛してきたMCUにとっては、ゲームパッケージの同封物から、果てはゲームコラボ食品の包装にいたるまで、すべてが愛でるべき収集対象だ。そうした秘蔵品の数々について、自身の思い出を交えながら語ってもらった。(編集部)

『エアー・フォートレス』に同封されていた“ラジコン応募券”

 レトロゲームを求めてショップに行くと、僕はやっぱり外箱と説明書が揃った“完品”を探してしまいます。ゲームの説明書や、同封されているチラシには、当時の世の中が色濃く現れている気がして読んでいてすごく味わい深いんですよね。その意味では、いまや説明書などの同封物も一種のゲームグッズに思えて、コレクター心理をくすぐられますね。

 たとえば、僕が「2023年に遊んだゲーム10選」でも挙げた『エアー・フォートレス』には、なぜかパッケージの中に“ラジコンのプレゼントキャンペーンの応募券”がいっしょに入っていたんです。

 発売元のハル研究所さんが、どこぞのラジコンメーカーと提携していたという話は聞いたことがないですし、おそらく単に「このゲームを買ってくれた人はラジコンがもらえたらうれしいだろう」との発想で応募券を付けたのだと思いますが、当たるのがゲームグッズなどではなく、しかも“ラジコン”と記載されているだけで実際にどんなラジコンが当たるかすら書かれていないのが、ツッコミどころ満載でおもしろいですよね(笑)。

とにかく情報が少なすぎる“4大特典”

 『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』の説明書なんか、もっとブッ飛んでいて、説明書の最後のページに“4大特典”に関する記載があるんです。これもいわゆるプレゼントキャンペーンで、何が当たるかというと、1つ目は“日本テレビ系『歌のトップテン』12・1・2月ぶんの入場券”。たぶん番組収録の観覧券ですね。

 2つ目に記載されている本作のオリジナルテレホンカードは、まあうなずけるとして。3つ目の“本作のゲーム体験をもとにしたオリジナル劇画を募集”という項目が目を引きます。“優秀者にはCD・Wラジカセほか豪華賞品を贈呈”とは書いてあるものの、いまいち募集内容がふんわりとしていて応募しづらいパターンなんじゃないかなと。

 そして4つ目が、“天竺親子ファミコンゲーム駅伝大会”の参加者募集。これがイチバンよくわからないです(笑)。いったいなにをする大会なのか謎ですし、僕もこのゲームはクリアしていますけど、そもそも本作に“駅伝”の要素は皆無なんです。とにかく情報が少なすぎるよね、という。

彼女はなぜ、『マインドシーカー』を手に取ったのか――

 ゲームによく同封されがちな“アンケートはがき”に関しても印象深いものがあって。これは中古で手に入れた『マインドシーカー』なんですけれども――。

 一応ゲームの説明をしておくと、超能力者として有名だった清田益章さんが監修を務めた“超能力開発ゲーム”です。プレイヤーが念を込めながらAボタンを押すと、念の強さによって画面内のスプーンがちょっとずつ曲がっていく、みたいな。かなりうさん臭い感じなんですけど、個人的にはすごく好きなゲームです。

 ――それで、僕が中古で買った『マインドシーカー』には、当時同封されていたアンケートはがきもセットで付いてきたのですが、そのアンケートがすでに記入済みだったんです。たぶん、元の持ち主の方が書いたのでしょう。住所はもちろん、名前、年齢、趣味なんかもバッチリ記入されていました。

 それによると、この方は女性で当時19歳。“ファミコンのカセットを何本持っていますか?”という項目では、「4本」と答えています。若い女性が『マインドシーカー』を手に取ったというだけでも驚きだし、よりによって4本中の1本にこのゲームが入ってしまったというのも闇が深いというか……なにか悩みでも抱えていたんでしょうか(笑)。

 コレクションとして見たらアンケートはがきも無記入のほうがうれしいんですが、これに関してはいろいろと想像を掻き立てられてしまって、おもしろかったですね。

“コピーの説明書”で、在りし日のゲームショップに思いを馳せる

 こちらにいたっては、もはや公式の同封物ですらないんですが……これはゲームショップ「トップボーイ」でかつて配られていたオリジナルのカセットケースです。どこかで見たことのあるような姿のSDキャラたちが並んだデザインなのですが、版権とかどうなっているんでしょうね(笑)。

 ついでに紹介しますが、当時はゲームショップで中古ゲームを買った人向けに、こういったコピーの説明書が50円とか100円とかで売られていたんですよね。昔はいまのように、ネットで操作方法を調べることなんてできませんでしたから。お店側で原本の説明書をコピーしたものを、ゲームといっしょに並べておくと。

 僕もファミコンショップで働いていたことがあるからよくわかるんですけど、これってじつはかなり面倒な作業で。原本のホッチキスを外して、バラしたものを1枚1枚並べて、コピーをとって……。『信長の野望』とかだと説明書のページ数もめちゃめちゃ多いので、仕事量が増えて嫌だった記憶があります(笑)。

 そんな思い出もあって、中古で買ったゲームにたまたま当時のコピーの説明書が入っていたりすると、「ラッキー!」って思っちゃうんですよね。いまの若い方が見たら、モノクロコピーだし、文字も潰れていてほぼ読めないしで、「なんだこれ?」って思われちゃうかもしれないんですが。

大人になったいまだからこそ愛おしい“販促の下敷き”

 ここにきて、ようやくゲームグッズらしいグッズの紹介になります。こちらは、僕が大好きなビッグ東海さんから発売された『カケフくんのジャンプ天国スピード地獄』の、販促として配布されていた下敷きですね。ちなみにゲーム内容としては、“スピード感がないソニック・ザ・ヘッジホッグ”といったところで。いやまあ、開発開始から発売までのスピード感はものすごく速かったんですけれども(笑)。

 いまの子どもたちって、下敷きとか使うのかな……? このゲームが発売されたころ、僕は14歳くらいだったと思うんですけど、当時の僕は「下敷きなんかもらっても、邪魔だしいらないかな」と捨てちゃっていたような気がします。いまとなってはこういうものほど心がくすぐられるので、大事に取っておけばよかったなぁと。

 販促物系だとこれもお気に入りですね。テクノスジャパンさんから発売された『くにおたちの挽歌』の、パッケージを模したボックスティッシュ。どこで配布されたものかはわからないのですが、ひょっとしたら業界関係者向けに配られたものだったりするのかもしれません。

 わずかに空いた箱の隙間から覗き見る限り、中身はおそらくふつうのティッシュペーパーだと思うのですが、未開封品のままにしておきたいので確かめる術はありません(笑)。もしかしたらティッシュにも、くにおくんがプリントされていたりするのかな……と思うと夢が広がりますよね。

大人になっても変わらない“ゲームグッズとの距離感”

 こちらは、当時発売されていた「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)関連のグッズ情報が網羅されている、「ドラゴンクエスト パーフェクトコレクション 1995」です。「ドラクエ」グッズはいまもたくさん発売されていますけど、この本には超合金だったり、ジオラマフィギュアだったりも載っていて、「そんなものまで発売されていたんだなぁ」と驚きます。

 ここに載っている「ロトの剣」風のシャープペンとか、超かっこいいけどさすがに使いづらそうだな、とか。読んでいて心躍るんですが、いまとなっては入手困難なものばかりでしょうね。とはいえ、仮に当時の僕がこの本を持っていたとしても、グッズを買う前にまずゲームを買うのを優先したでしょうから、読んで心を躍らせて……そこまでだったかもなと。

 そういう意味では、大人になったいまも状況としてはあまり変わらないです(笑)。

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