ホロライブRobloxコラボ、にじさんじEN騒動、サンリオVfes開幕 バーチャルの一週間まとめ

『Weekly Virtual News』(2月20日号)

“マルチバース”なホロライブと、騒動が続くにじさんじEN

 昨年VRChat社のバーチャル・ナビゲーターを「ホロライブEnglish」から輩出したホロライブが、またひとつ『VRChat』の活用例を増やした。「ホロライブIndonesia」が昨年実施したツアーイベントのアーカイブを、『VRChat』上で再上演するという試みだ。特設ワールドが公開され、『VRChat』公式運営アカウントからも大きく告知されており、気合の入れ具合がうかがえる。

 それから、『Roblox』にもホロライブメンバーの姿が現れた。東京都による観光施策「HELLO! TOKYO FRIENDS」にて、東京観光大使に就任しているさくらみこ、森カリオペ、がうる・ぐらのコラボアイテムが登場したのである。これ自体だけをみれば小粒な事例だが、なにぶん『Roblox』は人口の多いプラットフォームである。どの程度の効果が期待できるか気になるところだ。

 とはいえ、ホロライブの“本命”はおそらく自社開発のプラットフォーム『ホロアース』だろう。昨年に一部機能が体験できるβ版の提供が始まったが、まだまだ全容は見えていない。複数のメタバースの中から、どのバースを選択するか、あるいは複数をうまく使い分けながら多面的に展開していくのか、ホロライブの模索は続きそうだ。

 一方、「にじさんじEN」では大きな騒動が発生している。きっかけはにじさんじEN2期生・Selen Tatsukiの契約解除だ。ANYCOLOR社によれば、「複数の契約違反や虚偽の言動」が積み重なった結果とのことで、異例ともいえる詳細な経緯発表と合わせて2月5日に契約解除に至った事案だ。

 そんな中、ANYCOLOR社は主に投資家向けを想定した資料の中で「契約解除による業績に与える影響は極めて軽微」という声明を発表。これが海外を中心にファンから大きな反発を招き、同社CEO・田角陸氏が謝罪する動画を公開する事態にまで発展した。所属タレントの一部からも声明が発表されており、各所で対応に追われている。

Addressing Your Concerns

 ANYCOLOR社の言い分が正しければ「違反行為に基づく契約解除」そのものは真っ当な対応と推測されるが、「にじさんじEN」では過去にも類似する契約解除の事例が発生している。それ以外にも大規模イベントが開催を中止したり、活動終了者が相次いで発生したりするなど、ファンの間で不安をもたらす出来事が続いているのも事実だ。一言で片付くような単純な話ではないが、ファンへの配慮は大きな課題となるだろう。

ショート動画はVTuber参入のカギになるか

 新規勢力としては、ショート動画作成サービス『VARK SHORTS』などを運営するVARKが、「STAR BLOOM」という新設事務所を設立し、オーディション開催を発表した。活動プラットフォームはアバター配信アプリ『REALITY』だ。

 やや別領域からの参入ながら、「アドトラックやマンガ喫茶店頭サイネージ掲載」「ショート動画制作に使える3Dモデルアバター提供」など、豪勢な入賞者特典を用意する姿勢からはかなり力が入っていることがわかる。そのうえで、自社プラットフォームも絡めた展開を仕掛けるのか、純粋な実力勝負を求めるのか、動向が気になるところだ。

 グリー系列のREALITY Studiosからも、新設事務所の始動が続いている。つい先日には、最も新しい事務所『Vebop Project』よりの1期生がデビューし、初配信が完了した。

 この『Vebop Project』だが、初配信前に登録者数2万超のタレントが登場するなど、新興勢力ながら幸先は上々だ。デビュー時点でタレントの“クセが強さ”が明らかになったことに加え、初配信前からほぼ毎日ショート動画を展開していたことが功を奏しているように見える。今後のVTuber業界において、やはりショート動画は欠かせない武器になりそうだ。

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