『BADHOP 1000万1週間生活』#5ーー「本当に悪い奴はラップやってない」川崎の不条理な現実
出会いは聖美保育園 T-Pablowら思い出の場所で明かされた幼少期のエピソード
国内のヒップホップアーティストとしては、異例の大快挙。2月19日に開催を控える東京ドーム公演のチケットが、なんとソールドアウトに。そんな吉報が届いて最初のオンエアとなった【#5】ではタイミングよく、BAD HOPが幼少期を過ごした、思い出の場所を巡っていく。聖美保育園、中留公園、川崎市立川中島中学校と、どれも川崎市川崎区内にあり、彼らのルーツを語るには欠かせないスポットばかりだ。
まずは、この日のメインイベントである、聖美保育園の訪問から振り返ろう。目的は、子どもたちにおもちゃのプレゼントをするため。T-Pablow、YZERR、Tiji Jojo、Barkがまだ生まれて間もない、0歳の頃に出会った思い出の保育園への訪問を前に、メンバーが大型家電量販店のおもちゃ売り場にぞろぞろと集まり、思い思いのおもちゃを手に取っていく。YZERR曰く、パチンコを連想するらしい3Dパズルボールは避けた方が無難で、逆に現場仕事で乗ることの多いハイエースのおもちゃは、“川崎生まれだから”という理由で、早めに慣れ親しんでおいた方がよいらしい。相変わらずのギャグセンの高さだ。
また、このおもちゃ選びで特に輝いたのが、G-k.i.d。T-Pablow(一応、3児のパパ)が、リカちゃんとプリンセスの人形でどちらを選ぶか悩んだ際、「絶対、プリンセスだよ♡」と強くレコメンド(この保育園訪問でたびたび、G-k.i.dのキャプションの後ろに♡が優しく添えられていた)。さらに、人形との触れ合いについて、G-k.i.dを中心に、Benjazzyが「自分の赤ちゃんのように育てる」、Barkも「愛を学ぶもの」と共感。今後、おもちゃ選びに悩んだ際には、彼らに相談をすればよいのだろうか。おもちゃ評論家としての一面も備える、多方面に造詣の深いBAD HOPだった。
いよいよ保育園に。もしもラップを職業としていなかったら、保育士になりたかったと、以前に語っていたBark。やはり、彼の足が前のめりになり、子どもたちにも真っ先に触れ合う。小さな手のひらに挨拶のタッチをし、その後は購入したおもちゃをプレゼント。ここでは、Benjazzyが人形の髪の毛のとかし方を教えるといったハイライトも見られた(彼自身、フェードカットでとかす髪の毛もないわけだが)。
すると、T-Pablowらの面倒を見ていて、かつての先生たちが登場。当時を振り返りながら、人の話を聞かないTiji Jojo、話を聞かない以前に、違う世界に没入してしまうBarkと、メンバーの幼少期が暴かれる。そのなかで、T-Pablowは周囲のリーダーで、YZERRはマネージャー。ドッジボールをやるとなれば、T-Pablowが真っ先に声をかけ、YZERRがあぶれた子を拾っていく。さらに、“お前がそっちだと強すぎる”など、チームのパワーバランスを考慮していたなどのエピソードは、Benjazzyが驚いていたとおりで「いまと一緒」。BAD HOPを語る際、T-Pablowは心臓で、YZERRは頭脳だと喩えられることが多いが、当時から双子同士の役割があり、達哉と雄哉ではなく、“T-Pablow“と“YZERR”としての片鱗を感じさせていたことが明かされた。
ちなみに、前述のおもちゃ購入費は、約13万円。大量のおもちゃを前に、YZERRは「10年は安泰だろ」と笑っていたが、それでもたったの13万円。思い出してみてほしい。この金額を、これまで番組で使用したものに比べてみると……Tiji Jojoが韓国行きの際に購入したGUCCI 3点セットで、0.77 GUCCI。十文字幻斎の出張催眠術ですら、0.86 十文字。初日に訪れた焼肉・韓国料理マダンでの飲食代(チップ込み)だと、1.7 マダン。最後に、韓国カジノですった全額にいたっては、0.04 カジノ。……本当に、BAD HOPは1000万円全額を使って、保育園訪問を一生していたほうがいいと思う。
さらに余談だが、昨年大晦日オンエアのラジオ番組『#リバトーク TO THE DOME』(interfm)では、今回のオンエアに先駆けて、この保育園訪問の感想戦が繰り広げられていたのだが、G-k.i.dは実は「人のガキ、そんな好きじゃねぇ」らしい。Tiji Jojoがのべ10回、聖美保育園卒ではないBenjazzyすらのべ4回ほど涙を誘われていたらしいが、G-k.i.dはもちろん0回。それを聞いて、T-Pablowが「お前は現代社会から弾かれろ」とパンチラインを放っていたのが最高だった。