『BADHOP 1000万1週間生活』#4ーー資金不足で社長に土下座、催眠術体験……暴走止まらず

『BADHOP 1000万1週間生活』#4

Benjazzy&G-k.i.d、池上町チャリレースで大クラッシュ「210円払ってバスで来なさい」

 ちどり公園チームの4名が、今度は大師公園に。そこに待っていたのは、Benjazzyの希望で番組が購入してきた人数分の自転車。今回は無料イベントということで、多くの小中学生が自転車で来場することを想定し、メンバー自身も同じ目線で"中学生マインド"を思い出し、会場周辺のロケハンをするという(番組オンエアこそ1月だが、イベント当日に巡るべき聖地巡礼スポットも教えてくれたが、これが後のいわゆる"ネタ振り"に)。

 すると「なんか違うな?」という声が。この自転車は借り物ではなく、あくまで購入品であることを確認してから、おもむろにサドルを抜くBenjazzyと、サドルを渡される前からニヤけ面のG-k.i.d。そのまま慣れた手つきで荷台の間にサドルを挟むと、Benjazzyの合図で一気に荷台の後ろ側を捻じ曲げる。もはや阿吽の呼吸。"鬼ハンスタイル "の改チャリが、ものの数秒で完成した。さらに「六角レンチありますか?」「ハンドルの位置、合ってないよ」という、とても20代後半の男子たちが交わす言葉だと思えない会話が飛び交っていたが、一瞬たりとも忘れてはならない。ここは、どこでもない川崎だ。

 そのまま、馴染みの街である川崎大師近辺をサイクリング。(あくまでメンバー同士だが)蛇行運転に煽り運転を繰り返し、この時代らしからぬドラテクをひとしきり楽しんだ後、YZERRがふと「次、左いきます」と一言。間もなく、なにかを察したBenjazzyが「ふざけんな」とツッコミを入れるも、時すでに遅し。もう目指す先は決まっている。

 辿り着いたのは、"ただいま"と"おかえり"の場所。"ただいま"を言ったのは、Benjazzy。映像では、プライバシーの観点からモザイクまみれだったが、なにを隠そうBenjazzyこと石川幸和の実家。つまりは、石川家に到着した(ちなみに二世帯住宅)。「また明日!」「また遊ぼ!」「じゃあね!」「今日の夜、行けたら銭湯行こうよ」「5時くらいでいい?」なんて会話もほのぼのバイブスで、とても首元に数百〜数千万円のチェーンを付けたラッパーがしているものとは思えない。頼むから、普段のライブやクラブ終わりにもこんなトークをしていてほしいと願うばかりだった。愛しすぎる。なお、石川家は疲れたら寝泊まりくらいは許してくれる模様。川崎区で石川家を探して、みんなも転がり込んでみよう!

 公園で昔話に花を咲かせてしばらく。最後の聖地巡礼スポットは、活動初期の楽曲「B.H.G」やYouTubeチャンネル「VICE Japan」のインタビューなどに登場してきた“あの橋”を見上げる場所。池上町公園の近くで、かつてメンバーが飛び込んでいた橋というエピソードを書けばピンと来るだろうか。忘れもしない、彼らの10代の頃の溜まり場である。ここで、YZERRの提案から始まったのが、池上町チャリレース(ロードバイクに乗っている点で、ほかメンバーに比べて有利な条件下にあることに言及しないのが、さすがYZERR)。この旧・溜まり場を起点に周囲を一周し、ビリになったメンバーは、自転車で30分以上の距離にあるちどり公園まで自力で戻らされるという最悪のルールだ。

 スタート時こそ、G-k.i.dのフライングがあったものの、途中時点でYZERRとVingoのビリ回避は確実。残すは、BenjazzyとG-k.i.d。ゴール前にはかなりの競り合いを見せたが、もつれにもつれてこれ以上ないデットヒートに。ここで、G-k.i.dがBenjazzyの自転車のハンドルに設置されたカメラを握り、彼の方に体重を寄せる。するとどうなるか? 当たり前ながら、待ち受けるのは大転倒だ。

 あまりの画力に、オンエア前から話題となっていたこのクラッシュシーン。雑感を並べれば、そもそも仲間を想う気持ちがないのか? 撮影だと忘れていないか? 腕の骨折など心配ではないのか? 東京ドームでの解散ライブやラストアルバムへの影響を考えないのか? さすがにバカな中学生すぎない? など、色々と感じるところはあるが、何度でも言いたい。ここは、どこでもない川崎だ。

 転倒時にチェーンの音が"カシャン"と鳴る国内有数の貴重なクラッシュは、3つのカメラで多角的に捉えられているため、ぜひ見逃し配信でご覧いただくとして、結果はそもそもG-k.i.dが失格。さらに、先にゴールインしたのもBenjazzyで、文句なしのビリ確定である(フライングまでしたのに……。G-k.i.dの幼少期もたぶんこんな感じだったのだろう)。だが、この結果に不服なG-k.i.d。本気の不機嫌で自転車を漕ぐこと30分間。ようやく辿り着いたちどり公園での嘆きの一言は「210円払ってバスで来なさい」だった。あまりにも大人の悟り。この数時間のすべてが無に帰す、身も蓋もないオチとなった。

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