『17LIVE』などのライブ配信アプリが流行した理由は? 行動デザイン学の識者が考察

行動デザイン学で考える「ライブ配信の流行」

ライブ配信での応援活動にも宿る“行動デザイン的考え方”

ーーファンとライバーの関係を行動デザインで説明できるか、という点についても伺いたいと思います。

國田:前回もお話ししましたが「マズローの欲求5段階説」(人間の欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層で説明する概念)でも説明できるかもしれません。5つの階層は基本的には自分自身がどう満たされるか、という個人的な欲求を示しているのですが、この中で唯一、「自己実現の欲求」だけは自分だけでなく他人を介しても実現することができます。例えば、自分は体の具合が悪くて富士山や伊勢神宮まで行けないけれども、誰かが自分の代わりにそこに詣でてくれることで自分もそこにいけたと感じられる、だからご利益があるというような感覚です。ライバーさんを応援する側も、自分では踏み出せないけども、応援することによってその人が自分の代わりにチャレンジして成長している、それをもって自分の欲求の達成とする、という感覚もあるのかなと。

ーー自分の代わりに甲子園に行ってほしい、みたいな感覚というか。

國田:人間は基本的にリスク回避志向が強いので、人と違うことをしないといけないときに自分ではできないけど誰かにやってもらいたい、というのはどの業界にも共通する考え方なのではないでしょうか。

ーー最後に、コミュニティとライブ配信について、國田さんが考えていることを聞かせてください。

國田:若者のコミュニティで言うと、友人と繋がるために共通のSNSをやっている必要があるじゃないですか。でもライブ配信は友達が見ているからという条件はあまりなく、むしろライバー側もリスナー側も現実のコミュニティとは切り離されている感じがすることも、今までのSNS文化との画期的な違いという気がします。

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