『プロセカ』はバーチャルの文化も、ボカロカルチャーも更新してゆくーーー『コネクトライブ 3rd ANNIVERSARY Memorial Stage』レポート
10月8日にアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下プロセカ)内で、ライブイベント「コネクトライブ 3rd ANNIVERSARY Memorial Stage」が開催された。“コネクトライブ”とは、仮想空間で参加する聴衆の反応にもキャラからのレスポンスがリアルタイムで返ってくる、“生感”がウリのバーチャルライブとなる。
本公演には初音ミクらバーチャル・シンガーのユニットを加えた全6ユニット・総勢26人のキャラクターと、各セカイのバーチャル・シンガーが出演。ライブは昼夜2公演が開催され、プロセカのこれまでとこれからを凝縮した計2時間超の多幸感に満ちた公演ともなった。
オープニングナンバーは2周年書き下ろし曲「Journey」(作詞・作曲:DECO*27)。昨年の周年コネクトライブで初公開した衣装を纏い、各ユニットストーリーの主人公格5人と初音ミクが登場する。舞台暗転ののち、続けてバーチャル・シンガーの初音ミクと巡音ルカが登場。“ネギトロ”コンビの代名詞といえる楽曲「ワールズエンド・ダンスホール」(作詞・作曲:wowaka)にあわせ、会場内は観客からのレスポンスやエフェクトでにぎやかに彩られた。
ユニット一番手を務めたのはバンド「Leo/need」。ステージに現れた4人は、“教室のセカイ”のバーチャル・シンガーを交え楽曲を演奏していく。
今回多くの聴衆を驚かせたのは、この楽曲の披露形式だろう。従来のコネクトライブは原則各曲をフルで聴かせる形だったが、今回は各ユニット関連曲をメドレー形式で展開。ギターのミクやレン、KAITO、ベースのルカとサポートメンバーを変えつつ、「needLe」(作詞・作曲:DECO*27)「ステラ」(作詞・作曲:じん)を始めとした5曲を続けざまに演奏する。
バンドの日常も垣間見えるMCでは、ユーザーからのメッセージによるリアルタイムなやりとりも楽しみつつ、音楽によって取り戻した絆を再確認する4人。“これからも誰かを繋ぐ音を奏でたい”という思いを新たに、衣装替えを挟んで「星を繋ぐ」(作詞:一二三、作曲:40mP)を演奏し、和気藹々とステージを去っていった。
続いては「Vivid BAD SQUAD」が登場。見事なフォーメーションパフォーマンスも交えつつ、「Ready Steady」(作詞:q*Left、作曲:Giga)「RAD DOGS」(作詞:q*Left、作曲:八王子P)ほか5曲を連続披露する。
MCでは“ストリートのセカイ”のKAITOと巡音ルカを交えつつ、じゃれ合う杏とこはね、そして冬弥の天然に呆れる彰人という、普段通りの彼らの一面も。人間とVOCALOIDのごく自然なコミュニケーションが、当たり前に現在進行形で存在する。大勢が夢見た光景が着実に実現しつつある一幕も、改めて見るとなかなか感慨深い。
「必ずみんなが見たことない景色を見せるから」という決意の言葉でMCを締め括り、ラストを飾ったのは「リアライズ」(作詞・作曲:柊マグネタイト / C'Na)。ビビッドなネオンカラーの衣装で、4人はこれからの活躍を思わせる力強いショーを魅せてくれた。
バーチャル・シンガー“大人組”のMEIKO・KAITOによる「on the rocks」(作詞・作曲:OSTER project)を経て、三番手として登場したのは「25時、ナイトコードで。」。メンバーの黒を基調とした衣装に対し、バーチャル・シンガーのみ白を基調とした衣装という、徹底したビジュアルもその異色さを引き立てる。
披露されたのは、「悔やむと書いてミライ」(作詞・作曲:まふまふ)「ロウワー」(作詞・作曲:ぬゆり)ほかメドレー5曲。MCでもほかユニットに比べ、バーチャル・シンガーがメンバーの“観測者”的立場を貫く点が印象的だ。
柔らかな純白に墨の散る衣装へと装いを変え、最後に披露されたのは「演劇」(作詞・作曲:ナノウ)。祝典らしからぬムードでありつつも未だ暗いトンネルの中という現在地を確かに示し、転じて物語にはまだ“これから”があると示唆する。このユニットにしか為せない形で、彼女たちは記念すべき舞台を最後まで彩った。
余韻を残しつつも、バーチャル・シンガーの鏡音リン・レン姉弟による「リモコン」(作詞・作曲:てにをは)から四番手「ワンダーランズ×ショウタイム」の登場により、ステージの空気はたちまちにして一変。「セカイはまだ始まってすらいない」(作詞・作曲:ピノキオピー)「potatoになっていく」(作詞・作曲:Neru)など5曲をメドレーで披露し、会場をあっという間に華やかなムードへと塗り替える。
MCでもにぎやかな“ワンダーランドのセカイ”の鏡音姉弟と共に、観客を楽しませるコミカルなやりとりをリアルタイムで繰り広げる4人。抜群のエンターテインメント性を誇りながらラストの「キラピピ★キラピカ」(作詞・作曲:nyanyannya(大天才P))まで、圧倒的なパワフルさと華やかさでステージを駆け抜けた。すべてのファンを等しく夢の国へと連れていく、そんな信念を感じさせる舞台を聴衆も大いに楽しんだことだろう。