ゲーム大会・「ROF-MAO」・公式番組　どこにでも顔を出す無尽蔵の体力と底の知れなさ

　不破湊の活動範囲の広さは、現在のにじさんじ内でも特筆すべきレベルにある。筆者が不破湊から感じるのは、「一体どこまでいけば底が見えるのだろうか？」という底知れなさ。彼の活動経歴を一瞥すれば、そのことがより特徴的に感じられるだろう。

　まず不破は現在、にじさんじ所属の男性メンバー4人で結成されたユニット・ROF-MAOの一員として活動している。剣持刀也、加賀美ハヤト、甲斐田晴らと結成したグループであり、2021年10月21日に結成されてから約2年近くも活動を続けてきた。

　男女問わず愛される「面白くてカッコイイユニット」を目指すこのグループ。毎週木曜日にROF-MAO公式YouTubeチャンネルで公開される数々の動画は、さまざまなバラエティ企画に体当たりで挑戦していく内容となっている。

　無人島でサバイバル生活をする。足つぼマッサージを受ける。チャーハン作りで真剣勝負。メンバー同士で本気の口喧嘩などなど……。VTuberという存在に慣れた人からすれば「これはVTuberなのか？」「もはやお笑いタレントや実写のYouTuberなのでは？」と、ある種の常識を揺るがされるような企画に面食らうだろう。

　体を張った企画に挑戦する一方で、彼らは音楽ライブなどにも積極的に起用されており、現在では“歌って、踊れて、面白い”という三拍子揃ったグループへと変貌を遂げつつある。

　2023年10月18日には初アルバム『Overflow』がリリースされる予定で、2024年4月21日には大阪城ホールでのファーストソロライブが開催予定となっている。

　同グループでの慌ただしい活動の傍ら、ゲーム配信ではその非凡なスキルを発揮することが多い。とくに「スプラトゥーン」シリーズにおいては、にじさんじ内でも指折りの抜きんでた実力の持ち主として知られている。

　シリーズ最新作『スプラトゥーン3』では最高ランクの「ウデマエS＋50」を誇っており、同じくウデマエSレベルの猛者たちを相手にしても、華麗なキャラ操作でほとんど被弾することなく相手をきりきり舞いにしてしまうレベル。

　しかも、試合のなかでスピーディーな展開が続いていても、投稿されるリスナーのコメントを逐一読んで会話をしようとするあたり、彼のゲームスキル・センスの高さがうかがい知れる。

　そのゲームセンスを活かして、これまで『Apex Legends』を用いた大型カジュアル大会に積極的に参加しており、『VTuber最協決定戦』『Crazy Racoon Cup』などに出場、様々な名シーンを生み出してきた。

　とくに印象深いものでいえば『第8回 Crazy Raccoon Cup』では、ストリーマーの関優太、歌い手の天月とともにチーム「スタミナ寿司」を結成、みごとに優勝を果たした。

　最終盤の局面、天月の「不破っち、一番上まで浮いて！」という声かけから「俺、勝つわ」と宣言する不破湊。着地と同時に華麗なエイムを披露し最後の敵を倒し切る。まるで少年マンガのような展開で見事チャンピオンに輝いた試合は、まさに名シーン・ハイライトと呼べるものだろう。

　デビュー後から先述したような高いゲームセンスが注目され、上位入賞候補・優勝候補に挙がることはあっても、ここ一番で実力を発揮できず、優勝には至っていなかった不破。そんななかでの大きなタイトル獲得ということで、不破本人のみならず、ファンにとっても大きな足跡として記憶されているはずだ。

　ROF-MAOのメンバーとして、ゲーム配信者として、それぞれに力を見せながら、にじさんじ内の公式番組においても引っ張りだこな売れっ子タレントでもある。

　公式クイズ番組『にじクイ』には2020年12月の放送開始から2年半にわたりレギュラーとして出演していただけでなく、各種企画でのゲスト出演もかなり多かった。

　2023年5月22日をもって同番組のレギュラーからは退くこととなったが、その理由は「番組開始当初に比べて多忙になってきた」からというもの。

　彼の番組卒業に関しては惜しむ声も非常に多かったが、ここまで記してきた彼の活動内容を鑑みれば、「いったい不破湊の体はいくつあるのだろうか？」と感じてしまうような八面六臂の活躍ぶりが分かるだろう。体調管理の難しさも含めて考えれば、卒業もやむなしといったところだ。

　それに、ほかにもにじさんじスタッフが大きく関わるような公式企画には、ゲスト役として起用されることが非常に多い。「来るもの拒まず」のスタンスでオファーを受けているのではないか、と思ってしまうほどの頻度で出演しており、にじさんじの公式企画となると「不破っちの姿を思わず探してしまう」というファンも多かろう。