モダン勢・ハイタニが躍進 EVO 2023『スト6』競技結果から操作タイプの議論を再考する
モダン勢・ハイタニが5位タイに。EVO 2023の結果から操作タイプの議論を再考
結論としてEVO 2023では、日本のハイタニが「モダン」を使用するプレイヤーとして唯一TOP6に進出し、5位タイという最終成績を残した。同選手は元プロゲーマーの肩書を持つストリーマーで、かつては、今大会でおなじくTOP6に残ったときど(最終成績は4位)、日本で最も有名な格闘ゲーマーであろうウメハラ、ヌキ、sakoらとともに「格ゲー五神(格闘ゲームジャンルにおいての5大・神プレイヤー)」に数えられたこともある。
7,000名超が参加するトーナメントのなかで、「モダン」を使用するプレイヤーがTOP6に1人だったことを、多いとみるか、少ないとみるかは、それぞれの考え方によるところもあるだろう。新興のビギナー向けの操作タイプが権威のある大会で成績を残したこと自体が、とても興味深く、今後議論が加熱しそうな結果となった。彼のような実績・経験ともに豊富な実力派が、世界大会に「モダン」を使用するプレイヤーとして出場し、さらにはこうして上位入賞を果たしたことで、多くのビギナー、ライトゲーマーは勇気をもらったに違いない。「操作を妥協しても、世界レベルで戦える」と、ハイタニは証明してみせた。この点に関して、制作側の思惑は一定の成果を上げたと言えるだろう。EVO 2023の結果を受け、今後、新規勢の参入、離反勢の復帰といったプレイヤー人口の増加があるのかもしれない。
反面、本来はビギナーに向けたはずの操作タイプが、トッププレイヤーに使用されていること、最高峰のひとつといえる大会で成績を残したことには、議論の余地がある。少なくともこの点は、制作側の当初の思惑から外れた結果となっているためだ。EVO 2023においては、上位の大半の選手が「モダン」の対極に位置する従来の操作タイプ「クラシック」を使用し、優勝したAngryBirdもまた同タイプの使い手だったが、結果として競技シーンの環境が激変する可能性が出てきた。『ストリートファイター6』の発売前後に懸念されていた「試合中の駆け引き」については、「クラシック」を使用したプレイヤーがうまく対応し、面目を保ったところもあるのだろう。しかしながら、人間の適応力に任せたゲームデザインをどう考えるかは、「クラシック」を使用する選手が多いこと、同タイプを使用した選手が優勝したこととは別の話である。
この考え方は、昨今トレンドとなっている“死にゲー”ジャンルでの難易度のインフレ化にも通ずる部分がある。どのラインを適切なゲームデザイン、ゲームバランスとするのか。現代のゲーム制作には、そうしたバランス感覚も求められていくのかもしれない。
あなたは、EVO 2023における「モダン」の躍進をどう受け止めただろうか。世論の反応を含めた今後の動向を注視していきたい。
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