バーチャルマーケットのあとは盆踊り! 夏の風物詩をVRChatで感じる

夏の風物詩をVRChatで感じる

VRの夏、VRChat盆踊りの夏

 この原稿を書いているのは8月6日、日曜日の夕方だ。その前日に、筆者は夏祭りに趣き、盆踊りを踊って、ビールを飲んでいた。とても楽しい思い出だ。そして、酒を抜きながら、その思い出を反芻すると――あのお祭りは全部VRの中で起きたのだと思い出す。

 8月5日に『VRChat』で開催されたイベント「寝転ん盆踊り2023」は、ユーザー主導で実施されてきた夏祭りイベントだ。実に今年で5年目の開催となる、老舗イベントである。

【寝転ん盆踊り2023】振り付け動画 背面あり

 住宅街の中にある、大きな公園に建てられたやぐら。その周囲を、ヴォーカルデュオ「AMOKA」のあいぽの歌に合わせて、人々が踊りながら歩いていく。日本の夏の風物詩・盆踊りである。振り付け動画も常に流れているので、踊りを知らない人でも安心だ。

 もちろん、やぐらを遠くから眺めているだけでもよい。かくいう筆者は眺めながらビールを叩き込む時間のほうが長かった。

 白眉な点として、会場数の多さがある。オフィシャル会場の数は実に43。1会場に40人まで入るため、単純計算で1720人まで参加できる。とはいえ、人気イベントであるため、どの会場もすぐに満員になり、有志によるサブ会場も順次作られていたため、実際はさらに多くの人が参加していたと思われる。

 なお、各オフィシャル会場は、『VRChat』の店舗型イベントやコミュニティがホストとなって開かれており、それぞれで異なるカラーの「夏祭りの会場」となっていた。先日、秋葉原で開かれた「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」にはあふれんばかりの人が訪れたが、そこでも感じられた「日本のVRChatコミュニティの熱量」を、ここでも感じた次第だ。

 奇遇なことに、この土日の『VRChat』は盆踊りが2日連続で続いた。8月6日に開かれたのは「VRおしゃれ盆踊り」。ファッションデザイナー・KEITA MARUYAMAによるイベント「おしゃれ盆踊り」のVRイベント版だ。

 このイベントが開かれるきっかけとなったのは、ブランド「KEITA MARUYAMA」のバーチャル進出である。「ATSUSHI NAKASHIMA」の新作コレクションのバーチャル版制作を手掛けた株式会社BALが、「KEITA MARUYAMA」から販売中の浴衣を、人気3Dアバター向けの3Dデータとして制作したのである。

 3種類の柄に、3種の結び方の帯、ロング丈かミニ丈を、自由に組み合わせることができる、おしゃれさんにはうれしい仕様だ。対応アバターも10体を超えており、発売直後はセールで手に取りやすい価格となっている。「寝転ん盆踊り2023」に着てきた人もチラホラおり、著名ブランドの衣服が、バーチャルの日常にも溶け込み始めているのを感じた次第だ。

 夏の祝祭『バーチャルマーケット2023 Summer』が終わった翌週に、おだやかな盆踊りを楽しめるというのも、なかなか風流なものである。余談だが、『バーチャルマーケット2023 Summer』期間中に実施された「1時間でTwitterに投稿された振り付けされたダンスを踊るアバターのビデオの最多数」というギネスチャレンジも、めでたく達成・認定されたようである。

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