にじさんじの大怪盗はなぜ人に優しく生きるのか ルイス・キャミーが信じる“幸せへの道筋”

初心者からその道の猛者へ にじさんじ屈指の雀士へと成長

「そんな環境でも、ノビノビとオタクができたの」と当時を振り返るルイス・キャミー。

 毎週金曜日の朝6時から行われている定期ラジオ「キャミラジ」では、雑談をメインとしながらオススメのマンガを取り上げる事が多い。

 そこで名前の上がる作品は『少年のアビス』『推しの子』『タコピーの原罪』『宝石の国』といったメジャーなタイトルから、『カタギモドシ』『WHITE NOTE PAD』『生き残った6人によると』といった隠れた名作や注目の新作など、新旧問わずさまざま。

 初配信では『月刊漫画ガロ』好きという共通項から『少女椿』についてえま★おうがすとにすすめたことを打ち明けており、かなりディープなマンガ好きといえそうだ。

 兄妹や友人からの影響でさまざまなジャンルのアニメやマンガなどを見聞きしており、多方面にわたって見識を持っているほか、ある程度の平成・昭和ネタにも通じており、多少の下ネタやエロネタを振られても許せる度量の深さも持ち合わせている。

 自身では友人が少ないと語っているものの、その明るい性格で男女・先輩後輩など立場を問わずに慕われている印象だ。

 彼女と親しい人物といえば、麻雀関係の番組・企画で絡むことが多い天開司、歌衣メイカ、麻雀プロの多井隆晴、村上淳、そして弟子入りした齋藤豪といった面々を思い出すかたが多いかもしれない。加えてにじさんじのなかでは同じイラストレーター・ハリオを“ママ”(※)に持つ繋がりから結成した桜凜月とのコンビ「ハリオ家」や、天宮こころ、レイン・パターソンとの「ロリコロール」でも活躍するなど、広く交友関係を築いている。

(※ママ……VTuberのキャラクターデザインを担当してくれたイラストレーターを呼ぶ際の愛称)

 こういった交友関係のなかでも、2019年デビュー組の面々とはやはり同期としての意識が強く、特にすこし先にデビューしていたフミ、直後にデビューした白雪巴とともに結成した「フルトイ」では共通の衣装をつくったり、オリジナル楽曲の制作したりするほどの仲の良さをみせている。

心予報 / Cover ロリコロール
【オリジナル曲】百鬼マスカレイド【フルトイ】

 前述したように、ルイス・キャミーというと麻雀を連想するファンが多いだろう。デビュー前から麻雀に興味をもっていたという彼女は、2020年1月初旬に自身初めての麻雀配信を開始。ほとんど初心者の状態から彼女はスタートした。

 それから約3年以上経過した現在、彼女はにじさんじでもトップクラスの雀士へと成長し、オンライン対戦麻雀ゲーム『雀魂』での最高ランクは「雀聖」。最高ランクの魂天ではないにしろ、現在では千羽黒乃や咲乃もこといった面々とあわせて、VTuber界でも屈指の人気・実力を備えた女性雀士のひとりに数えられるほどとなった。

 2021年6月9日からスタートした『雀魂』公式番組『社務所通信』(通称:しゃむつう)では、天開司とともに番組進行役を務めている。すでに名前を挙げた多井隆晴、村上淳にくわえて、朝倉康心、土田浩翔、鈴木たろう、松本吉弘、渋川難波、日向藍子など多数の麻雀プロをゲストに招いており、その活気の良さが人気を博している番組だ。

 ルイス自身も、そこでできた繋がりから自身の配信にもゲストとして呼び、麻雀の魅力をひろめつつ、自らの雀力を高めるための指南役として教えを請うなど、数年に渡って努力を続けてきた。

 彼女の麻雀スタイルといえば、手役をしっかり組んで高得点を狙いつつ、リーチをされた際にはしっかりとオリきる手堅い麻雀だ。

 配信に必要な雑談を適度にしながら麻雀を打ち、相手にリーチされると口数が一気に少なくなって「アタリ牌はどれか?」と考え込む姿を見せることも多い。動き少なくスッと集中状態に入る瞬間がハッキリと見てとれるのだ。

 麻雀を始めてからしばらくの間こそ大きな大会・企画などで上位に入ることは少なかったものの、2022年に開催された第1回『神域Streamerリーグ』において歌衣メイカ、白雪レイド、村上淳とともにチームアトラスの一員として参加すると、開幕直後から優勝争いに加わり続け、最終的にはほぼ独走状態に近い形で優勝を果たした。

 村上淳・白雪レイドの2人が苦戦を強いられつつ、逆に天衣メイカが主役級の活躍で大会MVPを獲得して優勝を牽引したが、ルイスも総合スコア・半荘最高スコア・4着回避率といった個人成績すべてで大会3位以内を記録するなど、優勝に大きく貢献したことを忘れてはいけないだろう。

 麻雀を学ぶうえでさまざまな番組を見ていたことも影響してか、麻雀の実況・解説が非常に冴えわたっており、にじさんじが関わる麻雀大会では欠かせない存在として不動の地位を築いている。対局の講評では、結果の振るわなかった選手であっても良かった点をうまくピックアップして褒めつづける姿が非常に印象的だ。

 そんなスタンスからうかがい知れる湯鬼、柔らかい声に笑顔を絶やさないルイス・キャミー、その言葉の節々からは貧しかった幼少期を乗り越えて生まれた、彼女の根の優しさ・真面目さ・健気さが漂っている。

 「ひとに優しく生きていたら、なんか幸せになれるんじゃないか?」と語った彼女だからこそ、多くのライバーに慕われ、結果が追いついてくるのだろう。願わくば、ルイス・キャミーに幸多からんことを。

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