『FF16』サントラに反映された重厚なゲーム体験 “ダークファンタジー”に寄り添った楽曲群の制作秘話とは

『FF16』楽曲制作チームインタビュー

『FF14』プレイヤーは歓喜する、“悲しき召喚獣”のテーマ

――また、Disc5の「Do or Die」「Titan Lost」「Heart of Stone」あたりは、『FF14』っぽくて、ある意味で祖堅さんらしいと思いました。

祖堅:冒頭で今回は重厚なダークファンタジーとお話をしたのに、「なんじゃこりゃ!」と思うかもしれませんが(笑)。その「なんじゃこりゃ!」にしたかったんです。これもゲーム体験に紐付いていて、オーケストラでやれなくもないけど、「もっとやっちゃったほうが、ゲーム体験が盛り上がるべ!」と思って、吉田直樹からのオーダーを無視して勝手にやっちまったんですよ。でも結果、チームからは大絶賛でした。「待ってたぜ!」「こういうやつだよ」という反応で、吉田直樹も発注とは違うけど「たしかにな……」と納得してくれました。

――有無を言わさぬ説得力があったんですね。

祖堅:『FF14』でやってきた経験値と、単純に僕が、こういうのが好きだからという。

――『FF14』もプレイしているプレイヤーには刺さります。

祖堅:「Titan Lost」は召喚獣タイタンの曲なんですけど、タイタンって過去の『FF』シリーズで脚光を浴びたこともないし、専用の音楽が作られたこともない“悲しき召喚獣”なんです(笑)。だけど『FF14』でたまたま、たくさんの光の戦士がタイタンによってボコボコにされてしまった経緯が印象づけられて、タイタンの音楽はこういうものだと、方程式ができていたんです。だから『FF16』でもタイタンを表現するにあたって、その方程式に則った感じです。

――悲しき召喚獣(笑)。

祖堅:『FF14』をプレイされている方だったら、「そうそう、タイタンはこうだよね!」って思うだろうし、『FF14』をプレイされていない方は、急にこれだからビックリしたんじゃないかな(笑)。

――Disc5の「Ascension」もオペラ調の展開があって良かったです。

祖堅:これはオーダー通りに作った曲です。これはバハムートのテーマなんですけど、展開的にどクラシックが合うかなと思って作りました。

――Disc6「The Riddle」ではテノール歌手の方が参加していますね。

祖堅:オーディンのテーマで、まさに柱となる20曲ほどのうちの一曲でした。

作品の雰囲気を重視して控えめにした“チョコボのテーマ”

今村貴文氏
今村貴文氏

――ちなみに『FF』シリーズではおなじみの、チョコボの曲が収録されていないようですが。

今村:ありますよ。Disc4の「Fanfarrado de Chocobo」です。

祖堅:『FF』ですから、ゲーム中にチョコボは出てきますし乗れもするんですけど、この作品の世界観とゲームプレイを鑑みると、チョコボにまたがって「♪テッテレテレテレ〜」ってあの曲が流れると、世界観ぶち壊し感が半端なかったんです(笑)。メロディーをマイナー調にアレンジしたチョコボ曲にもチャレンジしたんですけど、あの陽気なメロディとリズムには、何をしても焼け石に水で。でもアイコニックな存在として『FF』にチョコボは欠かせないから、どうやって表現しようかと考えたときに「ジングルであれば成立するじゃないか」と。

――あと「No Risk, No Reward」も変遷があるそうですね。

祖堅:これは紐解くと、Disc1の9曲目「Sixteen Bells」のアレンジです。この曲は、基本的に『FF16』のバトルのテーマ曲となっていて、中ボス戦になるとDisc3の3曲目「On the Shoulders of Giants」に変化し、大ボス戦になるとDisc4の27曲目「To Sail Forbidden Seas」になり、さらにリスキーモブ等のボスバトル曲が、このDisc6の「No Risk, No Reward」であるという。つまり同じメロディ、同じテーマを引用して、これだけバリエーションが豊富であるということ。ゲームを通して聴いたことのあるメロディがバンバン流れるけど、そこには理由があって、なぜそのメロディなのかは物語とキャラクターに紐付いています。OSTはその理由や紐付けを確認するには、うってつけのアイテムだと思います。

――では最後に、読者とプレイヤーにメッセージをお願いします。

石川:曲数の多い本作ですがメロディの活用箇所やシチュエーションに合わせたアレンジ方法に関してすごく推敲を重ねました各キャラクターと各国のテーマが、物語に合わせてありとあらゆるところに散りばめられています。マストではないですが、そこに注目いただけると、新たな気づきがあって、より深くゲームを楽しんでいただけるのではないかと思います。

今村:曲をいっぱい作りましたけど、ゲームに寄り添った結果この曲数になっていますし、いかにゲームに没入してもらえるかを考えて作りました。実際にゲームをプレイした方は、聴くとシーンが浮かんだり、ゲーム体験を思い出せるOSTになっています。ゲームを楽しんだ後はOSTを聴いて、また2周目3周目とやりたくなってくれたらうれしいです。

祖堅:まずはゲームを遊んでいただいて、「ゲームが面白かった」「ゲームサウンドが良かった」と思った方は、ぜひOSTを買っていただいて、通勤通学の移動中とか、家事の合間など、ゲームはできないけどその世界に浸りたいというとき、このOSTが少しでも手助けになればいいなと思います。これを聴いて、FF16の世界に思いを馳せてほしいですね。気に入っていただけたら、ぜひご購入をご検討ください。

■リリース情報

FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack
FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack

『FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack』
発売日:2023年7月19日(水)
品番:SQEX-11039-45
価格:¥6,600(税込)
仕様:CD7枚組
<ダウンロード配信>
配信先:https://sqex.lnk.to/vPfoY9
※各楽曲の配信状況はリージョンやサービスごとに異なります。
※詳細は各配信サービスをご確認ください。

『FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack Ultimate Edition』

FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack Ultimate Edition
FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack Ultimate Edition

発売日:2023年7月19日(水)
品番:SQEX-11031-8
価格:¥8,580(税込)
仕様:CD7枚組+ボーナストラックディスク1枚
発売元:株式会社スクウェア・エニックス

©SQUARE ENIX
LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:©2020, 2022 YOSHITAKA AMANO

■ゲーム情報

『FINAL FANTASY XVI』

FINAL FANTASY XVI
FINAL FANTASY XVI

ジャンル:アクション RPG
プレイ人数:1人
対応機種:PlayStation®5
発売日:2023年6月22日(木)

〈価格〉
デジタルデラックスエディション(ダウンロード):12,100 円(税込)
通常版(パッケージ・ダウンロード):9,900 円(税込)

商品詳細:https://jp.finalfantasyxvi.com/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる