『Weekly Virtual News』(2023年7月18日号)

VRへ踏み出す『Roblox』と、VTuberに接近する『ZEPETO』 そしてバーチャルマーケットはリアルへ

ついにMeta Questへ上陸。様々な動きが続く『Roblox』方面

 直近は『Roblox』の方角がにわかに盛り上がっている。特に、Meta Quest版の展開が発表されたのは大きなインパクトだ。7月13日、”今後数週間以内に”『Meta Quest 2』と『Meta Quest Pro』向けにベータ版アプリが提供されると告知された。すなわち、『Roblox』がVR対応を加速させるということだ。

 PCやスマホ、ゲーム機などからアクセスできる、世界規模でプレイヤーが存在する一大プラットフォームへ、いまのところ最も身近なVRヘッドセット『Meta Quest 2』からもアクセスできることになる。ユーザーへどのような影響をもたらすか、クリエイターのコンテンツは変化していくのか……筆者ふくめて予測を立てる人は多いが、『Roblox』に近い立場か、VRに近い立場かで見解は割れている印象だ。「最も人がアクセスし得るVR空間」たり得るかどうか、まずは現物をさわって確かめてみたいところではある。

 公式に告知されたVR対応以外にも、バーチャルライブを手掛けるVARKが突如「Roblox上でのVTuberライブ」開催を告知するなど、『Roblox』を舞台にしたコンテンツ発表・事業展開は、日本国内でもじわじわ増えている印象だ。6月末には電通グループがRobloxとパートナーシップ契約を締結しており、下半期へ向けて”なにか”が動き出す予感がある。

”VTuber風”アバター登場。VTuberに大きく近づく『ZEPETO』

 『Roblox』と並ぶ勢いの世界的なメタバース『ZEPETO』では、”VTuber風”のアバターが登場した。これまではややリアル寄りの、海外っぽいデザインのアバターを使えたところに、日本のアニメライクなデザインのアバターが新たに加わる。既存アバターとの互換性も担保しており、様々なアバターアイテムも適用できるとのことだ。

 プレスリリースでは、『ZEPETO』がVTuber市場をターゲットに定めた上での展開であると説明している。ワンオフな3Dモデル/Live2Dモデルはコスト的なハードルの高いVTuberに、手軽かつ豊富なカスタマイズ性を誇る『ZEPETO』アバターでチャレンジできるようにすることで、VTuber業界への進出を後押しする狙いがあるとのこと。既存サービスでは『REALITY』に近しい思想だ。

 今年の5月には、VTuber事務所「MAHA5JAPAN」所属の雅桜おみが『ZEPETO』でライブ配信を実施し、『ZEPETO』でのフォロワー数が5万人にも届くという話題もあった。『ZEPETO』側も大きく協力したVTuber進出の事例であり、今回の”VTuber風”アバターの発表も踏まえると、VTuber市場へ大きく接近しようとしていることがうかがえる。アジア圏に人気な『ZEPETO』が、VTuberを軸にどう拡大していくかは注視したい。

今年も開催された『バーチャルマーケット』と、まだまだ盛り上がりそうな『VRChat』

【VirtualMarket2023 Summer 開会式 Opening Ceremony】

 『VRChat』を舞台にした恒例のビッグイベント『バーチャルマーケット2023 Summer』が、7月15日に開幕した。今回も3つの企業出展ワールドと、11種の一般出展ワールド、2種のWebブラウザ会場が展開される。30にも届きそうな会場総数となっており、開催規模は例年を優に超えているだろうか。

 今回は、リアルを舞台にした特設イベントも開催予定だ。企業出展はもちろん、ユーザーコミュニティもブースを構え、VRChatユーザーが集まる秋葉原の富士ソフトビルの「HUB」、イベントスペースの「エンタス」まで巻き込み、盛大なイベントが展開される模様だ。無料で入場できるエリアも多く、体験コーナーも設けられるとのことなので、VRやメタバースを知らない人にとっては入口になるかもしれない。気になる人は7月29日か30日に、秋葉原に立ち寄ってみるとよいだろう。

 そして、土日に行われた『SANRIO Virtual Festival 2023』のクリエイターライブのリバイバル公演の最後に、2024年に次回のフェスが開催されることがサプライズ発表された。詳細は冬に明かされるとのことだ。

 参加者から大きな好評が寄せられているイベントが、こうして続いていくことは意義深いものがある。『バーチャルマーケット』と同様に、「毎年定番」になっていくことを期待したい。

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