制作現場での活用が想定できる程の高機能マシン

——今回、実際に使用してもらいましたが、使い勝手はどうでしたか？

田中：まずCPUの性能ですが、すごく処理能力が高いですね。制作ではかなり重いデータの写真素材を大量に見なくちゃいけないことがあるんですが、一気に表示しても時間がかからない。4Ｋの映像を制作してもまったくストレスを感じなかったですね。さらに（背面を見ながら）けっこう負荷がかかってるはずなのに、冷却用のファンの音がまったくしないんですよ。僕はファンの音がすごく気になるほうなので、これは嬉しいですね。

——映像クリエイターとしてディスプレイや音も気になったそうで。

田中：すごくキレイですね。印象的だったのは、黒の発色。まずRGBで指定できる最も黒い黒を作り、そこからグレーに向けた階調を作ると、最初の黒がはっきりと見える。もともとグレアパネル（光沢のあるパネル）は避けていたのですが、このPCの光沢は気にならないし、長時間使っていても目に優しいと思います。赤もすごく綺麗にでますね。ドルビーの音響システムも「Cirrus Logic チップ」を使っているだけあって、音もいいです。あと、僕はゲームも好きなんですけど「いいグラボを買ったら、とりあえずテストされる」という『Cyberpunk 2077』というゲームがあるんですよ。早速やってみたんですけど、すごく快適でしたね。『FINAL FANTASY』のベンチマークもだいぶハイスコアでした。

ーーその他、気になる所はありましたか？

田中：このトラックパッドの所にある独自の「ASUS DialPad」も面白かったですね。動画のコマを送る際などはキーボードだと思い通りの場所に止まらないこともあるのですが、ジョグダイアルのように細かく動かせるのが個人的には作業しやすかったです。今回、テスト用に重い4Kフル画質の動画を作ってみたんですけど、ちょっとずつ微妙な操作ができるのが良いんですよ。コマのシフトはこのダイヤルスタイルしかないと（笑）。

——実際の仕事の現場では、どんな使い方ができそうですか？

田中：実際の制作の現場ではかなり使えると思いますね。今の制作の現場では素材を4Kで求められることが増えていて。ひとつの映像の為に4Kの映像データを何枚も納品しなくちゃいけないことがあるんです。その際、普段あまり使わないファイル形式を使うことが多いんですが、もともとWindows寄りにできているらしく、Macで出力しようとするとエラーが頻出することがあって。

　そういう場合は現場で処理しなくちゃいけないんですが、最終的にOKを出す立場の人にチェックしてもらうときなど、ノートパソコンのほうが圧倒的に便利なんですよ。現場によってはデスクトップを持ち込むこともあるんですが、その場合（パソコンを設置した場所に）いちいち来てもらわないといけないですから。打ち合わせ中に「ここを直してください」とリクエストされる際にも、その場で対応できるのもいいですね。

——そんな具体例まで見えてくる程のマシンとは。プロのクリエイターにとっても十分なスペックを備えていると言えますね。

田中：そう思います。さきほども言ったようにスペック的には申し分がないし、しかも非常にコンパクトで軽量ですからね。よっぽどじゃない限り、これで十分ではないでしょうか。ちなみに僕が実際に現場で使うのだったらサブモニターを用意して二画面で展開して使いますね。奥にPC、手間にサブモニターやタブレットみたいな感じで。メーカーさんも使い方を色々と想定されるのですが、僕が本気で使うとしたらこのスタイルなので、もし機会あるならぜひ試してみたいです。

Profile：田中紫紋（Shimon Tanaka）
武蔵美術大学で視覚伝達デザインを学び、映像ディレクターとして数多くのアーティストPVやテレビ番組映像、CM等に関わる。世界的に著名なアーティスト『BABYMETAL』では作品全般のアートディレクションやライブ映像などを担当。

田中氏がアートワークを担当した「BABYMETAL」の最新ライブ映像作品（6/14発売）

『BABYMETAL RETURNS - THEOTHER ONE - 』（Blu-ray / DVD）

◎参考情報

ASUS Zenbook Pro 14 OLED （UX6404VI）』
https://www.asus.com/jp/laptops/for-creators/zenbook/zenbook-pro-14-oled-ux6404/