【特集】プレイヤーとゲームを繋ぐ“ゲーミングデバイス”、 その魅力と自分に合うギアの選びかた(Vol.3)

熾烈な競技シーンに耐えうるギアの条件とは!? プロゲーマー・Flaxが語る“ゲーミングデバイス選びで失敗を減らすコツ”

長時間練習やシーズン中の過酷さ、そしてホワイトノイズとの戦い……プロゲーマーが求めるギアの必須要件

――競技シーンを見据えたデバイス選びという観点から、Flax選手がデバイス購入時に注目するポイントやこだわりについて教えてください。まずは、マウスからお願いします。

Flax:マウスに関しては、ワイヤレス(無線)であること、軽量なこと、つかみ持ち(※2)した際のフィット感――この3つのポイントを重視しています。

 やはり、無線マウスを1回使ったらもう有線マウスには戻れないです。有線だと、たとえマウスバンジー(※3)を経由させたとしても、コードが追従してくる感覚を完全に消すことは難しいと感じます。なので、ワイヤレスであることは絶対に外せないポイントですね。

 また僕はマウスを動かす際、腕に力を入れて思いっきり振るタイプなので、なるべく軽いマウスを選ぶようにしています。長時間練習をするので、マウスが重いと腕が疲れてしまってパフォーマンスも落ちてしまうんです。

 あとは、持ったときのフィット感ですね。僕はつかみ持ち派なんですが……マウスに手を置いたときに、指の付け根から第一関節あたりにかけて、少しだけ空間ができるような形状のマウスが好みなんです。

【※2:つかみ持ち】……マウスを持つ際に、指先を少し立ててボールを握るような持ちかた。そのほかの定番パターンとしては、つまみ持ち、かぶせ持ちなどがある。

【※3:マウスバンジー】……有線マウスのコードを保持させ、マウス操作時のコードの抵抗感を抑制する便利グッズ。コードホルダーとも。

つかみ持ちでマウスを操るFlax選手。
W・A・S・Dキーでキャラクターを操作するため、最短のストローク設定にしているそう。

――続いてキーボードはいかがでしょう。

Flax:ふだんからチームのゲーミングベース(練習場)に集まって練習している関係上、持ち運びの手間を減らすためにも、また机の上をできる限り広く使えるようにするためにも、省スペースのキーボードを選んでいます。いわゆるテンキーレス、60パーセントキーボードと呼ばれるものですね。

 そのうえで、なるべくキー入力の反応速度が高く、アクチュエーションポイント(※4)が自由に変更できる製品を愛用しています。

 アクチュエーションポイントについては、キャラクターの移動に使用する、W・A・S・Dキーのみを最短のストロークで入力できるように設定。逆に、それ以外のキーは誤入力を防止するため、入力されるまでの猶予を少しだけ長めに設定しています。

【※4:アクチュエーションポイント】……キーを押し下げてから実際に入力がオンになるまでの深さ。たとえば「アクチュエーションポイント4.0ミリ」なら、キーを4.0ミリ押し下げると入力が反映される。

――細かな設定についても参考になります。マウスパッド選びではどんな点を重視されていますか?

Flax:マウスパッドは、とにかく耐久力重視ですね。

 マウスパッドは使い続けているうちに摩耗し、大なり小なり感覚が変わっていくものですが、よりよいパフォーマンスを維持するためには極力そうした感覚の変化を抑えるべきだと考えています。

 その点で、耐久力が低い製品だと短いスパンで買い替えねばならず、買い替え前後での感覚の変化も大きくなりますし、単純に買い替えが手間にもなるわけです。

 『VALORANT』の競技シーンでは、ひとつの大会が1~2ヵ月程度の期間で開催され、シーズン中は大会を連戦することにもなります。そんな最中でマウスパッドを買い替えて感覚が変わってしまうと、それだけで命取りになりかねません。

――ちなみにマウスパッドの買い替えタイミングは、どのように判断していますか?

Flax:製品ごとの耐久力にもよりますが、少なくとも目に見える汚れがあったり、摩耗して表面が白っぽくなっていたり、擦れ跡がついたりしたら、迷わず買い替えていいと思います。

 僕は耐久力が高めのマウスパッドを使っていて、かつ多少使い込んだくらいの状態が好みなので、3~4ヵ月に1回程度のペースで交換しています。ただ、見た目上はきれいであっても「滑りが悪くなってきたな」と感じたときには、すぐに買い替えてしまいますね。

――見た目、あるいは感覚で判断するということですね。ヘッドホンやイヤホンなどの、サウンドデバイスのこだわりについても教えてください。

Flax:大前提として、『VALORANT』のオフライン大会では、観客や会場の音が選手に聞こえてしまうのを防ぐため、選手たちは運営側が用意したヘッドホンを装着する必要があります。

 ヘッドホンからは遮音のためのホワイトノイズが流れ続けているので、ゲーム内の音やボイスチャットの音声を聞き取りやすいよう、選手は自前で用意したイヤホン(ゲーム音&ボイスチャットを出力)をつけ、その上からヘッドホンを着用するスタイルが競技シーンでは一般的です。

 そうした理由もあり、ふだんの練習から有線イヤホンを愛用しています。この製品はノイズキャンセリング機能が極めて優秀で、オフライン大会の際のホワイトノイズも完璧に遮音してくれるんです。

――ゲーマーの多くは自宅でのプレイが主体になりますから、非常に興味深いお話です。オフライン大会では、ノイズキャンセリング機能が重要なんですね。

Flax:はい。競技シーンを見据えるのであれば、イヤホンでのプレイに慣れておきたいところです。

 また、このイヤホンは単体だと細かな音響設定ができないので、僕は持ち運び可能なUSB接続の外付けサウンドカードを併用しています。これを介することで、ゲームプレイ用や、音楽を聞くとき用など、自分好みの音に設定できるようになります。

 僕は、練習の休憩中に音楽を聞くことも多いので、そういった面でも重宝しています(笑)。

――つまり、自宅で気軽にゲームを楽しみたい人にとっては、内蔵機能で音響設定ができるようなゲーミングヘッドセットがおすすめということでしょうか?

Flax:そうですね。REJECTは今年(2023年)から、ソニーマーケティング株式会社さんが提供するゲーミングギアブランド「INZONE」よりスポンサードをいただき、「INZONE H9」というゲーミングヘッドセットを使わせていただいています。

 『INZONE H9』は音の抜け感がよく、立体的に聞こえるので、『VALORANT』でもキャラクターの足音が聞き取りやすいです。またイヤーマフも肉厚なので長時間のプレイにも向いていると思います。

 ノイズキャンセリング機能のおかげで周囲の環境音をシャットアウトしてゲームに集中できますし、ワイヤレスなのでストレスフリーです。僕の目から見てもこうしたゲーミングヘッドセットは魅力的に映りますね。

ゲーミングヘッドセット『INZONE H9』。

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